小津安二郎とは誰か
小津安二郎は日本の映画監督です。はっきりいって世界一です。一度でも彼の作品を観れば誰も、特異ながら落ち着いた美しい画面、ちりばめられたユーモア、そしてその裏にある人生観にひき込まれるに違いありません。 1903年12月12日生、54本の作品を撮った後、1963年12月12日没。還暦を迎えた誕生日に人生を終えるという、わざとじゃないかと思わせる律義さ。このことが象徴するように、彼の作品は端正で几帳面です。代表作は『麦秋』(1951/松竹)、『東京物語』(1953/松竹)。 “ぼくの生活条件として、なんでもないことは流行に従う、重大なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従うから、どうにもきらいなものはどうにもならないんだ。” この言葉からもわかるように、小津安二郎は映画に対してとても頑固でした。極端に低いキャメラ・ポジション(ローポジ)からのフィックスショットを単純なカットでつないでいくという徹底したスタイルをもっていました。 “僕はトウフ屋だからトウフしか作らない” 世の中には“小津安二郎作品はどれも同じでマンネリ”という人がいるようです。実はこのマンネリが僕にとって小津の最大の魅力になっています。同じようなテーマ、似たような登場人物の名前、いつもの俳優陣、どこかで聞いた台詞。彼の作品はひとつでは完結していません。たくさん観れば観るほどそれらの繋がりが見えてきて楽しくなる相乗効果を持っています。 “小津ごっこ”という遊びがあります。小津安二郎作品中の登場人物の台詞や言い回しを真似て会話することを指すのですが、これをWebでやろうと思いついて始めたのが、このサイトです。小津作品を観たことがない方にはピンと来ないことが多いかもしれません。そんな方にも、これを機会に彼の作品をひとつでも観てみようと思ってもらえたら嬉しいです。
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