ライスカレー“ライスカレー”と呼ぶか“カレーライス”と呼ぶかはどうでもよい。 また“ライス”である必要もない。(ナンやチャパティの方がうまいときだってある。) 要は“カレー”である。 小津はたいしてカレー好きではなかったようで(※1)、作品にはほとんど出てこない。(カレーは肴にならないもんね。) ※1:日記によれば、小津はカレー(ドライカレー)を実生活で結構食べていたようだ。したがってこの推測は間違いくさい。 そんな中で『東京の合唱(コーラス)』だけは別格だ。 主人公・岡村(岡田時彦)の学生時代の体育教師・大村(斎藤達雄)は、退職後、芝白金で洋食屋を営んでいる。 岡村は社長との諍いから保険会社をクビになり再就職先を探している最中、職安で大村と再会。 大村は就職先をあっせんするという条件で岡村に洋食屋を手伝ってもらうことにした。 この洋食屋こそが“カロリー軒”であり、その看板料理がライスカレーである。 店先には“一皿満腹主義”の看板があり、どうやらライスカレーの他にもカツレツがあるようだが、映画ではライスカレーしか登場しない。 カロリー軒で同窓会が開かれる。 同窓会の最中に文部省から岡村の就職先が見つかったという速達が届いて大団円となるのだが、この同窓会で供される料理もライスカレーなのだ。 ライスカレーを肴にビールで乾杯というのは、なんとも妙な光景である。 同窓会というのは小津の大好きなモチーフで、本作品のほかにも『父ありき』,『彼岸花』,『秋刀魚の味』で見られるし、『東京物語』では3人ではあるが尾道の旧知が集まって飲み明かす。また、これも同窓会とは少し違うが『早春』では旧軍隊仲間で集まる宴会がある。なかでも『秋刀魚』での元教師・ひょうたん(東野英治郎)のおかしさは特筆ものである。が、これは“鱧の吸物”のコーナーに譲ろう。 また、同窓会では必ずといっていいほど合唱がある。 『合唱』では寮歌が、『早春』ではツーレロ節(アキラのではない)、『彼岸花』では「青葉繁れる桜井の」が唄われる。誰ともなく唄いだして皆がついていくのがむちゃくちゃ不自然である。 (同窓会にはもうひとつ、笠智衆の隠し芸が見られるという面もあるが、これも他の機会にする。) 『合唱』のほかにカレーが出てくる作品はないかというと、ふたつある。 ひとつは『東京暮色』だ。 中村伸郎と山田五十鈴が経営する五反田の雀荘・寿荘。 ここである客が、中村に“ポンチ軒のドライカレー”の出前を注文する。 ここでのカレーは、こき使われる中村を喜劇化するための道具にすぎず、たいした意味はない。 もうひとつは『父ありき』。中学の寄宿舎で、津田晴彦が友人と雑談中、一人が「めしの上に黄色いのがかかったの」の話をする。「うめえけど、辛れえな」などと微笑ましい。津田はその後、父・笠智衆と出かけた料理屋で満腹になった後「あ、ライスカレー食やよかったな」という。戦時中、庶民にはなかなか食べられないごちそうだったのだろうか。 『東京暮色』でも『父ありき』でも、ライスカレーは話に出てくるだけで、実物は登場しない。 じんちーのカレーリピーターインド料理屋やカレー専門店は腐るほどあるのに、なぜか繰り返し出かけて食べるメニューがあるものです。 ここでは3つだけ紹介。
夢民は、大学時代は一週間に3度は昼に食べに行っていたカレー屋で、中でもこのベーコンエッグ野菜カレーがお気に入りだった。 辛さがマイルドからいくらでも加減できる(僕は3番か5番)のがいいし、食後にくれるライオネス・コーヒー・キャンディーが泣かせる。 いまでも、有給休暇をとったときなど時間が合えば食べに行くことがある。 現在は古いお店は取り壊され、場所を少し移してきれいなお店に変わった。 なんとレトルトパックまで売っている。 あの味を出したくて少し研究もしたが、さすがカレー一皿で成り上がったおじさんの技に到達するには、だいぶ鍛練を積む必要がありそうである。 知らないうちに南池袋店なんてものができていた。こっちに行けばビールも飲める。ただしスーパードライだが。
日テレの真ん前にあるインド料理屋のアジャンタは24時間営業。 いつ行ってもうまいカレーが食べられるなんてうれしいじゃありませんか。 ここでいつも注文するのはキーマ。 おそらくここのカレーの中では一番辛い。 普通キーマというと汁の中にひき肉が浮いているという感じだが、ここのはドライタイプで汁がほとんどない。 肉は鶏。 作るときに水を加えず、鶏の油だけで炒めているような印象だ。 まるごと入ったカルダモンやシナモンが風味を高めていて、脳天から吹き出す汗もさわやかに感じます。 有楽町阪急や池袋西武の地下にイートインがあったけど、どちらもなくなってしまいました。 食べたくなったら本店に行こう。
神保町に行ったときの定番は、スヰートポーヅの鍋貼かここのカレー。この界隈はカレーの激戦地といわれていて、本当はいろいろ行ってみたいのだけれど、行く頻度が少ないだけについつい“いつもの”味を求めてしまう。 一階の作りは、よく駅前などにあるカレース○ーションとかの風情で、食券を買ってカウンターに座る方式なので、ちょいと味について疑いを持ってしまうかもしれないが、食べてみれば必ず納得。スパイスの使い方が独特で、病みつきになる。辛口指定。二階にはテーブル席もあるので二人(以上)で行くときはこちらへ。 じんちー厨房に入るカレー作りというのは、小学校のときに家庭科だったか林間学校だったかで習ってからずっとやってます。 といっても、いわゆる“おふくろカレー”の域を抜けたのは大人になってから。 よく作るのは基本中の基本であるチキンマサラと失敗の少ないキーマ。最近やっと“自分の味”みたいなものが出てきた気がします。 自分のレシピを確認する意味でここに書いておきましょう。 このレシピで作ってもおいしい保証はありませんので、悪しからず。
僕は簡単主義なので、面倒なことはだいたい省略して簡単な方法を選んでます。 タマネギのみじん切りもチョッパーを使ってラクチンポン。 ただし、炒めるのだけは別です。 これは省略できないし、ここがカレー作りの愉しみなのでもったいないです。 分厚い鍋を使い、最初のうちは強火でがんがん水分を飛ばし、水分がなくなったら焦がさないように丁寧に混ぜます。 ところで、インドカレーといえばナンがつきものです。 どこかの家電メーカーで、家庭用電気タンドゥーリを開発しませんかね?どこかで。 Copyright © 2000-2002 Jinqi, All Rights Reserved. |