出来ごころで紳士録

第8位 中村 伸郎 なかむら のぶお

出演作 (製作年) 役名
東京物語 (1953) 志げの夫・金子庫造
早春 (1956) 東和耐火煉瓦・荒川総務部長
東京暮色 (1957) 雀荘・壽荘の主人・相島栄
彼岸花 (1958) 平山の友人・河合利彦
秋日和 (1960) 間宮の友人・田口秀三
秋刀魚の味 (1962) 平山の友人・河合秀三

中村伸郎といえば、『彼岸花』,『秋日和』,『秋刀魚の味』で演じた中年トリオ・アミーゴスの、最もいたずらな男という印象が強い。 トリオ・アミーゴスのメンバーを整理しておこう。

作品 メンバー1 メンバー2 メンバー3
彼岸花 佐分利信 中村伸郎 北竜二
秋日和 佐分利信 中村伸郎 北竜二
秋刀魚の味 中村伸郎 笠智衆 北竜二

メンバー1は落ち着いたトリオのリーダー格、メンバー2はおっちょこちょい、メンバー3はいつもダシに使われる道化役という位置づけだ。見てわかるように北竜二がかわいそう。また興味深いのは『秋刀魚の味』で中村伸郎がリーダーにのし上がったこと。そのために残念ながら彼の剽軽さが十分に発揮されたとはいいがたい。

トリオ・アミーゴスでの剽軽さよりも、僕が彼の演技で好きなのは『東京暮色』での山田五十鈴の連れ合い・相島のようなトホホ役のときである。五反田で雀荘を経営していて、客の注文に応じて外の飲食店に出前を頼みに行ったりする、なんとも風采のあがらない男だ。

一番好きなのは、相島に北海道に行く話が起きて、その決断を山田五十鈴に催促するときだ。北海道に一緒に行ってくれることを望んでいるがそれを強く言えないらしく、駄々っ子みたいに“この寒いのに室蘭くんだりで一人じゃ寝られないよお。ねえ、行っとくれよ、一緒によぉ”なんていうのだ。

このカラーは『東京物語』で見せた、義父母に気を使う髪結いの亭主役と同じものだ。また、『秋日和』での、原節子との縁談が持ち上がった北竜二を羨ましがる場面でもちらっと見られる。

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Last update: 2/5/2002

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