第3位：高橋貞二 | No. 3: Takahashi Teiji

出来ごころで紳士録

第3位高橋貞二たかはしていじ

出演作 (製作年) 役名

早春 (1956) 青木大造(ノンちゃん)

東京暮色 (1957) 川口登(ノンちゃん)

彼岸花 (1958) 近藤庄太郎(コンちゃん)

三代目襲名のノンちゃんである。この高橋貞二という人は、佐田啓二，鶴田浩二と共に新・松竹三羽烏を構成していたアイドルだったらしい。ぷっ、である。彼はどうみたって二枚目ではなく、三枚目かいいとこ二枚目半というところだ。

なぜ青木大造という名で、ノンちゃんというあだ名なのだろう？　これはまさに高橋貞二という役者のキャラクターから来ているに違いない。いつも惚けた味で呑気で陽気なノンちゃんである。どんなに呑気かというと、どうやら水商売らしい奥さんが妊娠したといっても、容易に喜ばない。“そんなはずねえんだけどなあ”と半信半疑なのである。検査のお金がないもんだから“今度の月給日まで待てよ”なんて言って赤ちゃんが大きくなることもわかっていないらしい。と思うと忘れたみたいに犬を口笛で呼んだりして。“人生は憂鬱だよ”なんていっても誰も信じちゃくれない。実生活でも相当呑気だったらしく、ついに赤木圭一郎よろしく交通事故で早死にしちゃった。生きていればもっともっと楽しいことがあったはずなのに、まったく呑気なことである。

彼は小津のお気に入り俳優だったそうだ。生きていれば『彼岸花』以降も続けて起用されたに違いない。そのときにはどんな役が与えられたのか考えてみるのも楽しそうだ。しかし、彼が佐田啓二のやった一連の役がやれるとは思えないし、『秋刀魚の味』で吉田輝雄の役が似合うとも思えない。彼のために特別に役を作ってあげる必要があるのかもしれない。それくらいの役なら小津は雲呼荘でひょいとひねり出すだろう。

ノンちゃんは『彼岸花』では、なぜかコンちゃんとあだ名を変えられた。それでも呑気な性格は変わりようがない。やはり高橋貞二のベストといえば、このコンちゃんだろう。西銀座のバー・ルナでの佐分利信や桜むつ子とのやり取りは爆笑ものである。この辺については重複してしまうので、カロリー軒のピーナツのコーナーを読んでいただきたい。

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Last update: 2/4/2002