出来ごころで紳士録

第2位 鶴田 浩二 つるた こうじ

出演作 (製作年) 役名
お茶漬の味 (1952) 岡田登(ノンちゃん)

二代目ノンちゃんの鶴田浩二である。高橋貞二のところで触れたように、鶴田浩二も新・松竹三羽烏のメンバーだった。松竹時代の彼は、その飄々とした風貌と喋りで、なかなかの青春スタアだったようだ。これには僕も納得だ。

その飄々さによって彼はノンちゃんに抜擢されたわけだ。桑野通子のところに書いたように、ノンちゃんの初代は佐野周二である、というのは僕の独自理論であって、巷では鶴田浩二をもって初代とする向きが多いかと思われる。佐野周二はただの“岡田さん”であって、その名が登であるかどうか不明だし、誰からも“ノンちゃん”なんて呼ばれていないのだ。しかし、『お茶漬の味』が『淑女は何を忘れたか』のリメイクであり、『お茶漬…』の岡田登=ノンちゃんが『淑女…』の岡田さんの生まれ変わりであるという事実を知れば、佐野周二もやはり登という名でノンちゃんという称号を与えられても当然だと思える。考えてみれば、佐野周二の役もちょいと惚けた呑気な学生役だったではないか。

鶴田浩二といえば、松竹時代よりも『博奕打ち』シリーズなどの東映任侠ものが有名で、確かに彼は素晴らしい。『お茶漬…』の頃にはない貫録と、表情による演技。これは年季が生んだものだろう。でも若いころの松竹時代もかなりいい線いっていると思う。

鶴田浩二を第二位に据えたのは、小津映画におけるノンちゃんというキャラクターが僕は大好きであり、その中で鶴田版がベストだからだ。

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Last update: 2/5/2002

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