[↓2025年]
2026年に観た映画の一覧です
- 星の見方(以前観たものには付いてません)
- ★★…生きててよかった。
- ★…なかなかやるじゃん。
- ○…観て損はないね。
- 無印…観なくてもよかったな。
- ▽…お金を返してください。
- 凡例
- #通し番号「邦題」監督/製作年/製作国/鑑賞日/会場[星]
- #12「按摩と女」清水宏/1938/松竹大船/Mar. 1/シネマヴェーラ渋谷★
- 何度も観ているが映画館では一度だけ?の清水作品の傑作の一本。これを上回る大傑作『簪』の習作、あるいは姉妹作みたいな、たわいもない温泉もの。日守新一と徳大寺伸の按摩コンビが最高だ。ギャグが冴えている。冒頭の、清水が大好きな山道の移動撮影は至福の時間だね。本作ではバスでなく馬車が走る。徳大寺伸と高峰三枝子の川原での石投げはやはり『有りがたうさん』を連想させる。親と離れた淋しげな爆弾小僧もしかり(とはいえ、こっちは随分いたずらだが)。近衛敏明らの男性ハイキンググループに対する女性ハイキンググループに三浦光子がいるのになぜか今回初めて気がついた。フィルムの劣化なのか、右端1/4がずっと白んでいたのが残念。
- #11「家庭日記」清水宏/1938/松竹大船/Mar. 1/シネマヴェーラ渋谷◯
- 清水でミッチー。ならば必見ものだが、なぜかこれまで機会がなかったフィルムセンター所蔵作品。親友同士、佐分利信と上原謙、それぞれの家庭事情を描く100分。2部構成なのはその時代では大作だったのかな。佐分利のお嬢さまな奥さんは高杉早苗(なんかアブナイ名前)、上原のスレッスレ奥さんは我らがミッチー(桑野通子)。そう、有りがたうさんは再会した酌婦と一緒になり、下田を後にしていたのだった。なので、口調がときどき昔に戻るミッチーが、やはり“いいひとだったわねぇ”、でこの映画も終わらせる。せっかく佐分利の元カノで美容師の三宅邦子とその妹でアシスタントの三浦光子が、銀座で薬局を開いた大山健二とともにドラマを盛り上げていたのにね。川が流れる山道の移動撮影が印象的。三宅邦子って桂綸鎂に似てない?(逆か) 上原謙は大連のことをタイレンと発音してた。納得いかない。高杉とミッチーが観に行く映画は何かな?
- #10「イスラエル主義」Erin Axelman, Sam Eilertsen/2023/米/Feb. 23/東京ジャーミイ◯
- ラマダン真っ最中の東京ジャーミイでドキュメンタリー『Israelism』上映イベントに参加。途中でお祈りのための休憩が入った。(僕は席で再開をじっと待っていた) これまで僕は、アメリカが極悪イスラエルを絶対支持する理由はユダヤ系大富豪米国人が国を牛耳っているからだと思っていた。さにあらず。アメリカのユダヤ人には生まれながらにしてシオニズムで洗脳される強固なシステムがあった。これは恐ろしい。イスラエルへの遠足、Birthrightなんて、マルチみたいなもんである。この作品では洗脳状態から目覚めた人たちが紹介されていて、事態改善への希望を僅かながらも感じた次第。ちなみに本作は10.7より前に完成しているとのことで、ガザへの注目はほぼなかった。上映後にあった明治大学のハディ・ハーニ氏と丸川哲史氏による解説・質疑応答が非常に興味深く、これから日本で起ころうとしている憲法改正(悪)論議の話まで発展。参加者の中にはやはり現政権支持者がいたらしく、やや不穏な雰囲気に陥りかけた。残念ながら時間切れで中途退出。
- #9「踊子」清水宏/1958/大映東京/Feb. 23/シネマヴェーラ渋谷◯
- 高所から仲見世〜浅草寺を望む冒頭の移動撮影に釘付け。どこから撮ったんだろう。これを始めとしてとにかく移動が多い清水作品。浅草六区を舞台に、魔女・京マチ子が静かに暴れる。太地喜和子と京マチ子は苦手である。序盤のブリッ子ぶりは誰が見ても(ストーリー上)嘘だとわかる。バスの車掌を辞めて上京してきた男癖も盗み癖もあるこの恐ろしい妹を夫(大映だから船越英二ね)もいるアパートに受け入れ、夫の子供かもしれない京マチ子の赤ちゃんを育てる淡島千景のお人好し度に呆れる。でも、清水が描きたかったのはこの淡島千景だろう。船越英二と同様にダメダメな(つまり京マチ子とデキてしまう)田中春男は、3人が勤めるレビュー・シャンソン座の演出家で、笑いのない役だった。最後に、故郷に帰り保母さんになった淡島千景の周りに子供たち。これこそ、清水映画のしるしだ。京マチ子のサービスショットなんかいらないよ。
- #8「ANIMAL」Sandeep Reddy Vanga/2023/インド/Feb. 14/チネチッタ
- Ranbir Kapoorが苦手なくせに、予告篇で200分越えボリウッド作品を観ることにした。この判断は間違いだったと素直に認めよう。ファザコンのRanbir Kapoorが、大富豪である父親(Anil Kapoor)を殺そうとした黒幕に対し復讐するため何百人も殺しまくる。父親は死んでいないにも拘らずだ。正義の希薄さ、執念の異常さ、低俗さ、そして美学のかけらもない残虐極まりない殺し方。ウンザリした。経営するSwastik Steelの醜悪なマークは吐き気がするほど。面白かったのは一ヶ所だけ。敵を迎え撃つために特注したモンスター機関銃について、“Idea in Delhi, Designed in Bengaluru, Manufactured in Maharashtra”と武器商人Upendra Limayeがうそぶくところ。Ranbir Kapoorを二役化し、『ANIMAL PARK』と銘打ってパート2を企画しているらしいが、まさにボリウッドの世も末である。稼げりゃなんでもいいのか? Rashmika Mandannaもボリウッドでこんなのに出てないで、ちゃんと南インド映画界で稼いでください。
- #7「キラー・オブ・シープ」Charles Burnett/1978/米/Feb. 14/シアター・イメージフォーラム◯
- 監督がUCLAで修士号を取るために撮ったもので、挿入されている多くの楽曲について許可を得ていないという理由で日の目を見ていなかったらしい。晴れて4Kレストアされ、権利問題も処理されたようだ。中身は、LAの黒人家族の厳しい暮らしを綴ったモノクロスタンダード作品。ストーリー(起承転結)はない。子供たちは無邪気に遊び、父親(主人公)は屠殺場で淡々と羊を捌く。屠殺場のシーンはなかなかえぐかった。順次殺されるために、押し合いながら前進する羊たちは、もがきながら希望なく生きる人間に対する皮肉だろうか。そんななか、ドラッグや酒に溺れたり強盗などで犯罪者になってしまわず、真っ当に生きようとする主人公に対する監督の眼差しは温かい。あの時代、黒人同士でも“Nigar”とか使ってたんだな。上映後、ピーター・バラカン氏と大和田俊之氏のトークショー。恥ずかしながら内容に付いていけなかったのは、僕があまり洋楽を聴いていなかったから。でも小林克也の『ベストヒットUSA』は見てたなあ。単に記憶がないだけか。
- #6「ツーリストファミリー」Abishan Jeevinth/2025/インド/Feb. 7/新宿ピカデリー◯
- 経済危機のスリランカからインドに密入国した4人家族が、Chennaiで自分たちの居場所を見つける話。父親はSasikumar Mahalingam (ときどき見るね)、母親はSimran (美人)。家族を援助するSimranの兄にYogi Babu。Yogi Babuはほとんどカメオ出演。で、Rameswaramで家族を見逃す警官はRamesh Thilakで(シャレか?)、Chennaiで家族に部屋を貸すInspectorはBagavathi Perumal (インドのジャン・ギャバン)だった。迷い犬の話とか爆弾事件とか詰め込んだ割には2時間余りに要領よくまとめてある印象だが、仏のようなSasiが周りをハッピーにしていくヤワヤワの人情もので、映画ならもう少しピリッとして欲しいと思うが、世間の評価は違ってかなりヒットしたようだ(だから日本にも来ている)。スリランカ訛りのタミル語がキーポイント。これはきっとタミル人以外にはわからない。とはいえ、方言をネタに笑わすことには居心地の悪さをいささか感じたことは記しておこう。エンドロールを眺めていたら“Set assistant Japan”てのが見えた。Japanってひとの名?会社名?
- #5「アル・リサーラ」Moustapha Akkad/1976/リビア=モロッコ=エジプト=サウジアラビア/Feb. 1/ユーロライブ◯
- イスラム教の教祖・預言者ムハンマドを描いた映画だという。むちゃ面白そう、ということで200分超え+トークショーで1時間増しの上映を観にいく。偶像崇拝を禁じているだけあって、ムハンマド自身は出てこないし、声さえもない。側近が“師曰く”で伝えるのみ。徹底している。製作上の制約からなのか史実なのか、瞑想中のムハンマドが突如啓示を受けた、という始まり。信心のない者には納得できないよなぁ。7世紀に突然現れた新興宗教がここまで大きくなったのはなぜなのか、アッラー以外認めない原理が何か魔力のようなものを持っている気がした。今回上映されたのはデジタルリマスタリングしたアラブバージョン。なんとAnthony Quinn主演の英語バージョンもあるらしい。カダフィ大佐の話まで出てくる、製作の背景などを紹介するトークショーの情報量と面白さに圧倒された。監督が『ハロウィン』シリーズのプロデューサーだったとか驚き。ところで、ムハンマドとかクルアンとかマッカとか、昔はマホメット、コーラン、メッカって習ったよね。
- #4「ビッグ・シティ」Satyajit Ray/1963/インド/Jan. 31/川喜多映画記念館◯
- 去年渋谷で観そびれた面白そうなサタジット・レイ作品が鎌倉に来た。『チャルラータ』のMadhabi Mukherjeeが、銀行員のAnil Chatterjeeの許に嫁ぎ、義父母と義妹と一緒に暮らしている大都会Calcutta。生活の苦しさから専業主婦をやめて編み機の訪問販売員になったところ、持ち前の聡明さを発揮し、生活は楽になるも夫婦間、家庭内でさざなみが立つお話。美人妻を世間に出すと心配が絶えないね。自立していく女性を描くのかと思いきや、最後は夫婦、家庭ともハッピーエンドの文部省推薦的模範映画であった。同僚のEdithは、部屋にCary Grantのポスター貼ったり、4-letter wordを吐いたりする、ラスグッラ嫌いな英系ハーフ(?)で、イギリスから独立してまもない頃のインドの事情を垣間見せていて興味深かった。銀行の取付け騒ぎもあの頃は多かったのかな。(どんどん悪化する日本社会でそんなことが起こらないことを祈る) そういえば、社長室に日本の着物姿の女性が写っているポスターが貼ってあった。なんだろ?
- #3「アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス」Jun Robles Lana/2022/フィリピン/Jan. 25/シアター・イメージフォーラム◯
- COVID-19パンデミック終盤の静かなレストランで、大学教授(Romnick Sarmenta)と学生(Elijah Canlas) 2人の会話が交わされる、基本これだけの映画。登場人物は(確か)たったの7人。興行成績は知らないが、製作費は最高に安かったんじゃないかな。英文小説家であるパートナーが自殺したらしいゲイの教授と、その自殺の原因は自分ではないかと心配する学生が、会話の途中で突然件の自殺したパートナーに憑依するところ(本人がしていたであろうメガネをどこからともなく出してきてかけるのがおかしい)が新鮮ではあるが、なんということもない端正な作品だなと思って観ていたら… 終盤、学生が書いたというタガログ語小説の原稿をきっかけにあれよあれよという間にドロドロの展開になって、たまげた。映画的に極めて面白いシナリオ。ただし、エンディングにオチがあるのかと思ってクレジットを凝視していたのに、肩透かしに終わった。SNSを駆使する悪魔的学生の好物はアップルパイ。マックのが美味しいらしい(ダウト)。
- #2「マライコッタイ・ヴァーリバン」Lijo Jose Pellissery/2024/インド/Jan. 18/シアター・イメージフォーラム◯
- 『Jallikattu』(未見)の監督、Mohanlal主演のマサラ・ウェスタン。思いっきり引いたロングショット、荒野、決闘、それっぽい音楽。これを西部劇と呼ばずしてなんとする。年齢不詳のMohanlalは無双のガンマン、ではなく格闘家。師父のHareesh Peradiと弟分のManoj Mosesとつぎの対戦相手を求めてさすらっている。いつもは悪役のHareesh Peradiが、なんかいい役。ということは… 滞在先での女との出会い。凶暴な相手。そのひとつはRacistなポルトガル人が牛耳る要塞都市。ここの様相は『RRR』+『K.G.F』だな。香港(あるいは中国)電影における皇軍の描写のような紋切りではあったが。そしてクライマックスのTiruchendur templeのお祭りシーンのビジュアルも圧巻だった。Part 2があるらしい。しかもMohanlalが2役。物語のスタート地点はわかったが、どう展開するのかまったく予想できない。となると、来たら観に行くんだろうな…
- #1「プシュパ 君臨」Sukumar/2024/インド/Jan. 17/有楽町ピカデリー◯
- “Icon Star” Allu Arjun主演のヒット作パート2がようやく来た。Reloadedバージョンで224分はさすがに長すぎる。日本でインターミッションなしの理由は何だろう。ダンスシーンも多かったが、取って付けたSreeleelaのItem Numberは不要だ。内容はPart 1での予告(?)通り、狂ったIPSオフィサーFahadh Faasilとの対決がメイン。で、冒頭は横浜港(と称するどこかの港)。紅木の密輸先は日本というわけだ。和風レストランのセットや三味線の造形が怪しい。柱には“寿司、納豆、豆腐、カシ”の表示。こういうところに納豆はなかろう。そんなことはともかく、ひたすらPushpaが暴れる展開はいささか食傷気味になった。でも、姪が拉致された先での、手足を縛られた状態での格闘はよかったな。Rashmika Mandannaとのラブラブなシーンも楽しかった。今回、新たにJagapathi Babuが登場。本作ではいつものダンディーさと異なるビジュアルで、どうやらPart 3 (へー、あるんだ)での相手はこの政治家のようだ。何年後?
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Updated: 3/3/2026
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