[↓2021年]

2022年に観た映画の一覧です

星の見方(以前観たものには付いてません)
★★…生きててよかった。
★…なかなかやるじゃん。
○…観て損はないね。
無印…観なくてもよかったな。
▽…お金を返してください。
凡例
#通し番号「邦題」監督/製作年/製作国/鑑賞日/会場[星]

#37「ガザ 素顔の日常」ガリー・キーン,アンドリュー・マコーネル/2019/アイルランド=加=独/Aug. 7/横浜シネマリン○
ハマスに牛耳られイスラエルから完全封鎖された10km×40kmの長方形のガザ地区に暮らすパレスチナ人の日常を伝えるドキュメンタリー。この“日常”が僕らのそれとはまったく異なることは想像できるが、観てみるとその厳しさはそんなものではなかった。それでも、それが日常となればそこを標準として喜怒哀楽が生まれる。カメラはそんな人びとの暮らしを追う。が、イスラエルから突如打ち込まれる砲弾、瓦礫から見える人の手、イスラエルに大型パチンコで石を投げる若者たち、それに対する迎撃、負傷した者を手当てする医者、これがリアル。出てきたおっさんは奥さんが3人いて子供が30人以上。これ以上いると養えないので4人目の奥さんは諦めたという。これがパレスチナ人の逞しさなのか? 長方形の一辺が地中海なのは不幸中の幸い。5km沖までに制限されていても、見た目無限。
#36「プアン 友だちと呼ばせて」Nattawut Poonpiriya/2021/タイ/Aug. 6/UPLINK吉祥寺○
王家衛プロデュースのタイ映画。末期ガンで余命いくばくもない男AoodがNYにいる旧友Bossをタイに呼び出し、男の元カノ巡りを手伝うというロードムービー。舞台はタイだが、回想シーンとしてNYが挟まれる。最初の3人(Alice, Noona, Roong)までが割と淡々と進むので、なんだかなー、と思って観ていると、予想外の4人目Primが出てきておもしろくなった。というか、最初の3人は前座だったんだな。それまで半分他人事だったBossを巻き込む三角関係へと展開していく。ハッピーエンドと言っていいと思う。映像やストーリーに王家衛の影響が感じられた。この監督の作品を観るのは初めてなので、元々なのか王家衛のファンだったからなのか王家衛が提案したからなのかはわからない。4人の女性のうちNoona役のChutimon ChuengcharoensukyingとPrim役のViolette Wautierは出色で、やはり二人とも人気俳優(モデル?)のようだ。Aoodは丸坊主。でも化学療法はやっていないと言う。おかしい。NY時代の姿も明らかにカツラだ。おかしい。
#35「ムクシン」ヤスミン・アフマド/2006/マレーシア/Jul. 31/イメージフォーラム★
4Kデジタル修復版。初めて観たのは15年前(もちろんフィルム)。いま読むと、当時は本作よりも『グブラ』を気に入ったようだ。今回のアディバ・ヌール追悼上映ではそれをやらないので比較できないが、きょうはとても感動した。とはいえ、いつものヤスミン節。マレイ人も華人もない。主人とメイドもない。ハッピーな両親。ひと夏の初恋。自転車乗り、凧揚げ、木登り。最高だ。Mukhsin役は『タレンタイム』ではギター弾いてた親孝行のSyafie Naswip。Sharifah姉妹大活躍。大人になったOrkedとの対面、浮遊するOrked。ザッツ、シネマである。そして劇終後、監督の両親、監督自身、撮影スタッフ登場してのフィナーレ。動く監督の姿にはあらためて動揺する。Adibah Noorも監督と同じ51歳で亡くなったそうだ。R.I.P.
#34「Blue Island 憂鬱之島」陳梓桓/2022/香港=日本=台湾/Jul. 24/ユーロスペース○
終映後、共同プロデューサーの馬奈木厳太郎氏があいさつに立ち詳しく説明してくれたので、ここに書くのがそのメモみたいになるのを恐れている。フィクションを混えたノン・フィクション、ドキュメンタリーという構成が冴える。文革、六七暴動、天安門事件、そして雨傘運動を経験してきた世代がいまの香港で感じている暗い将来を語る。もちろん香港・中国で上映できる内容ではなく、出演者を含む関係者に多くの現勾留者がいる事実が憂鬱を客席に蔓延させる。香港人が被ってきた抑圧がいまの日本国内にも起ころうとしていることを、この映画を能動的に観にきたあの場の観客は感じたはずだ。馬奈木氏は香港との違いは日本国民が声を上げないところだと言った。確かにそういう面はあるが、衰退途上国日本には保守層、つまりそのような抑圧を抑圧と思わないひとがどんどん増えているのではないか。おそろしいことだ。
#33「グレイマン」 Anthony Russo, Joe Russo/2022/米/Jul. 17/kino cinema横浜みなとみらい○
Dhanushがハリウッドに出るってんで、観に行った。なかなか出てこない。あ、一瞬。あれ? また出なくなった。やきもきしていたところ、後半でようやく堂々の登場。堂々のアクション。Tamil friendはいい奴だった。さて、主役はRyan Gosling。人気あるんだね、このひと。で、その相棒(?)にAna de Armas。このかわい子ちゃんも最近よく見る。(考えてみりゃ、ふたりは『Blade Runner 2049』コンビだね) 次作ではMarilyn Monroe役らしい。 ほとんどの登場人物が凄腕の殺し屋で、CIA内部のいざこざを世界にまたがる大事件に仕立てた大げさな展開。アクションが『007』なみに派手だが、Ryan GoslingはNo. 6のためか、タフであっても超かっこいいわけでもセクシーなわけでもない。悪の大ボスが出てこなかったところをみると、続篇の準備ありそう。Ana de Armasも出てくるといいな。Dhanushも死んでないし、レギュラー化したりして。うん、それがいい。それに決めた。
#32「リコリス・ピザ」 ポール・トーマス・アンダーソン/2021/米/Jul. 9/TOHOシネマズ新宿★
Phantom Thread』の監督で、かつ評判がいいので観に行った。アメリカンなボーイ・ミーツ・ガール映画。主演のふたりは本作が初出演。女の子が絶望的に好みではないが、まあそんなことはどうでもよいほど、確かによい作品だった。10歳年上の女性に一目惚れするマセた15歳の少年が彼女に猛烈アタック(死語)。でもストレートにはいかず、ふたりの成長とともに距離をとったり縮めたりが抜群。1970年代のカルチャー、音楽、クルマ、ファッションが満載のラヴコメディーになっていた。疾走シーンはもちろん『『汚れた血』』だな。脇については、Sean Pennはすぐにわかったが、Tom Waitsが登場したのに気づかず。いいじいさんだね。Bradley CooperのFerrari Daytona、ガラスぶち壊してもったいない。本物かね。この劇場初めて来たけど、25時の回があったりして、さすが歌舞伎町と妙に感心した。
#31「エルヴィス」 バズ・ラーマン/2022/米/Jul. 2/丸の内ピカデリーDolby Cinema○
これまでの人生、Elvis Presleyにはほとんど縁なくレコード類も持っていない。Marilyn Monroeと並ぶ、戦後アメリカのアイコンという認識だ。本作は彼のスターダムの表裏をマネージャーの視点で描いたもので、デビュー〜最盛期〜衰退期〜死という安易なタイムラインにマネージャーの出自と思惑を編み込んだ多面的なシナリオ。ふんだんに盛り込んだ楽曲とあわせ、この長尺作品をインターミッションなしで一気に観られるエキサイティングなものに仕上げている。Elvisを演じたのはAustin Butler、マネージャーのParker大佐はTom Hanks。『Once Upon a Time in Hollywood』でやばい奴を演ってた俳優だな。(そいやSharon Tate殺人事件の話も出てきた。) 太ったElvisしか知らない僕は、こんな痩せてていいのかと最初思ったが、若けりゃそりゃそうか。後半にはちゃんと太ってた。一方、Tom Hanksの太り具合にはたまげたよ。Dolby CinemaってのはIMAXのDolby版かな。音響はAtmosみたいだし。
#30「イントロダクション」 ホン・サンス/2020/韓国/Jul. 1/ヒューマントラストシネマ有楽町○
まだインドにいる頃にリリースされて、バンガロール国際映画祭に来ないかなぁ〜、と叶わぬ期待をもっていたモノクロ作品。次作とまとめて今回観られた。のだが、この60分余りの3部構成の短尺でうとうとしてしまい、特に第2部の記憶があいまいで、キム・ミニを見逃した。ま、それもホン・サンス的。主人公はシン・ソクホで母親がジョ・ヨンヒって、次作と同じ。つまり俳優に挫折し、韓国料理屋になったということ。まあ俳優を志したのは伯母の影響ではなく、キ・ジュボン演じる俳優だが。恋人にパク・ミソ。キム・ヨンホ演じる父親は韓方医。漢方との違いがよくわからないけど、朝鮮人参とか多用するのかな。キム・ヨンホといえば『アバンチュールはパリで』。渋いおじさんになってた。同作にはキ・ジュボンも不思議な役で出てたね。目がすっかり覚めた第3章は海辺の居酒屋。みんな酔っ払う。で、酔った勢いか酔い覚ましか、シン・ソクホが寒そうな海に無邪気に入っていくシーンがよかった。
#29「あなたの顔の前に」 ホン・サンス/2021/韓国/Jul. 1/ヒューマントラストシネマ有楽町★
サンス、サンス、ホンサーンス♪ 最近2作の同時公開、めでたい。まずは最新作。ホン・サンスが死を意識し始めた。変わらず背景の説明を省き、アメリカから突然帰国した壮年の元女優(イ・ヘヨン)が妹(ジョ・ヨンヒ)と映画監督(クォン・ヘヒョ)に会う。自身が幼年期を過ごした旧宅を訪問する。イ・ヘヨンがすばらしい。クォン・ヘヒョは相変わらず。このふたりが会う居酒屋“小説”って、以前出てこなかったかな。ちょっとどの作品か思い出せないけど、やはりクォン・ヘヒョが出てきたような… ともかく、この居酒屋でのふたりの会話がホン・サンスならではなのだが、今回はここで意表を突いた展開となる。そして、ラストシーン。これがまた最高だ。ジョ・ヨンヒの息子としてシン・ソクホなる知らない俳優が出てた。なんかぬぼーっとしてるけど人気あるの? ところで、今回は久しぶりに1日に映画を観た。昔は1,000円くらいだった気がするけど、いま1,200円。まあ1,900円を考えるとお得はお得だけど。
#28「アリーガル」 Hansal Mehta/2015/インド/Jun. 26/キネカ大森○
公開時は字幕なしで観た。学内権力抗争に巻き込まれ、陰謀により同性愛者として排除される言語学者かつ詩人の教授は、自身は大きな抵抗は見せず諦念からか好きなウィスキーを舐める。が、時代のうねりがこの事件に反応し、大学を糾弾する裁判に発展。その末に教授に職と名誉が戻ってくるも、本人は静かに人生を終える。Manoj Bajpayeeの抑えた演技が秀逸で、暗いトーンの映像と相まって上品な作品に仕上がっている。一方でインド人が大好きな裁判シーンはややコミカル。字幕があるからこそ楽しめるパートだ。興味深いのは、舞台はAligarh Muslim Universityで、そこの教授である主人公はBrahmin、つまりヒンドゥー教徒であることだ。酒を飲むからそんなに敬虔ではないようだがヴェジタリアンであり、新聞社インターン(Rajkummar Rao)と食事する際にカーストの違いから同じ器の料理を食べない。宗教の違い、カーストの違い、この辺り、インド社会の芯のようなものが垣間見えるよね。
#27「ベイビー・ブローカー」 是枝裕和/2022/韓国/Jun. 26/ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場○
家族のようにあるいは家族を装って旅する、いずれも何か(誰か)を失っている4人(+2人)の物語。ここでいう“家族”は日本の一部の人たちが重視しているそれとは異質のもの。政治的ポジションから右傾化する日本では持ち上げられにくくなったように見える監督は、フランス、韓国と渡り歩く世界一級の映画作家である。カンヌで主演男優賞を獲ったソン・ガンホはいつも通り、貫禄の演技。ペ・ドゥナももうベテランの域だ。イ・ジウンは超人気歌手とのこと(すみません、存じ上げませんでした)。こちらも堂々の赤ちゃんを捨てた母親ぶりだった。赤ちゃんポストの問題と最近話題の中絶禁止問題はダイレクトにつながっている。女性を一方的に非難することは間違いだ。観覧車のシーンは、ゴンドラが狭いために監督はその場におらず撮ったそうだ。なのにちゃんと是枝映画になっている。ところで本作の英題は『Broker』だと思うが、日本のポスターには『Baby Broker』とあるのが謎。
#26「シャンカラーバラナム 不滅のメロディ」 K. Viswanath/1979/インド/Jun. 11/キネカ大森○
この作品を芸道物と呼ぶのは抵抗があるな。オリジナルはテルグ語だが、観たのはタミル語版。約40年前の作品を4Kリストアしたらしい。いや、おもしろかった。どれくらいって『デーヴダース』の10倍くらいかな。歌も踊りも同じくらいあったし、こちらもカースト制度の深刻な害悪が描かれているのだが。Braminである名高いインド伝統音楽歌手が、彼に憧れる娼館に生まれた歌と踊りが大好きな娘を支援しようとして社会から抹殺される。娘は生まれた息子を密かにすっかり落ちぶれた(がしかし変わらず崇高な)彼の許に置き恩返しを図る。歌手とロックバンドとのやりとりがよかった。しかし、一旦身を隠した娘がどうやって財を築いたのかが最後まで謎だった。ここまで“娘”と書いてきたが、演じたManju Bhargaviはばりばりのドラヴィダ人で僕には年齢が推定できず。Wiki見たら当時25歳くらいだったようだ。ついでに“伝統音楽”はCarnaticでKarnataka発祥らしい。それでKarnatakaに招待されたのかな?
#25「デーヴダース」 Sanjay Leela Bhansali/2002/インド/Jun. 11/キネカ大森○
この監督の映画は20年前も同じだったということがよくわかった。とにかく派手。派手なもの好き向けのつくり。豪華なセットに、絢爛な衣装、大勢のダンス。日本におけるボリウッドのイメージはこういう映画なんだろう。で、本作はShah Rukh KhanとAishwarya Rai、Madhuri Dixitという大スターの共演。主役級の女優をふたり起用するのもこの監督の特徴か。ミュージカル性が他作品よりも強いところは興味深かった。Devdas (SRK)が英国から帰ってくると母親が大騒ぎする冒頭の長回しはちょっとだけ溝口っぽかったかな。カースト違いの幼なじみ同士(SRKとAishwarya Rai)の恋は悲劇に終わるわけだが、そこに至るまでのSRKの堕落ぶりは、それを触媒するJackie Shroffの大げさな演技と相まって痛々しかった。娼婦であるMadhuri Dixitを徹底的に蔑むSRKの態度には腹が立った。ほんと、カースト制度ってやつはえげつない。いろいろ書いたけど、感想をひと言でまとめると、疲れた、だね。
#24「マドラス 我らが街」 Pa. Ranjith/2014/インド/Jun. 10/キネカ大森○
このタミル映画をバンガロールで観たのは8年前。当時は英語字幕もなくただ画面と雰囲気だけで本作のすばらしさを堪能したものである。北チェンナイの団地で起こる政争、つまりふたりの地域実力者のいざこざの元凶が広場に面した団地建屋の壁面に描かれた肖像画だという、とてもタミルナドゥ的な話が、主人公Karthiの親友Kalaiyarasanとの絆とCatherine Tresaとの恋愛の2軸で進められる。Karthiの名前がKaaliでITエンジニアのくせに(というのは変だけど)短気で喧嘩っぱやく、これが災いする。彼らが熱中するのがクリケットでなくサッカーなのはなぜだろうか。単なる監督の趣味? また、至るところにBlue Boysが出没するのに改めて注目。このようなスタイルはめずらしいと思う。インド音楽界はまったくわからないので彼らの人気も知らず。ゲスト出演だったのかプロモーションだったのか。いまも健在なのか。日本語字幕の存在はありがたいね。“まっちゃん”の意味もわかるしね。
#23「シティ・オブ・ジョイ」 ローランド・ジョフィ/1992/仏=英/Jun. 10/キネカ大森○
1990年代のKolkataが見られるという意味で興味深い欧州映画。原作を読んでいないので、失意の主人公Patrick Swayzeがなぜ行き先にインドを選んだのかはわからない。一方、Om Puri (若い)がBiharから一家でKolkataにやってくる理由は明確である。奥さん役のShabana Azmiがきれいだった。彼女は『Neerja』でSonam Kapoorの母親役で最後に演説してたひとだな。KolkataのHowrah Bridge近くのスラムを舞台に貧しいひと向けの診療所とリキシャワーラーが地元実力者の横暴な息子に立ち向かう。最後に主人公が自分の居場所を見つけてハッピーエンド。こういう抑圧→抵抗→解放のストーリーは地域を問わず、大衆(≠支配者層)にウケる永遠の定番だ。リキシャワーラーOm Puriの息子が映画好きで、医師Patrick SwayzeにKrishna Theatreに連れて行ってもらう。その帰りに“Anil Kapoorはランボーより強い”と言っていた。そうだそうだ。美人の娘も生まれるぞ。
#22「Vikram」 Lokesh Kanagaraj/2022/インド/Jun. 5/キネカ大森○
またインド映画新作を観に行った。ここは本当に日本なのか? 会場はインド人でいっぱい。当然、本篇が始まってもケータイ照らして席探し。なことはともかく、評判がよかったのにKarthiがやや苦手なので敬遠した『Kaithi』つながり作品。本作にはKarthi出てこない。で、おもしろかった。主演は先日“何してるの?”と書いたKamal Haasan。失礼しました。67歳、がんばってます。悪役にVijay Sethupathi、秘密捜査チームのリーダーにFahadh Faasilという布陣。舞台はふつうにChennai。行方不明となった麻薬原料を巡る黒社会と警察と謎のマスク集団が入り混じり、一度で理解するのは日本語字幕があっても難儀そうな憎悪渦巻く話。3人の迫真の演技に脳は麻痺するのであった。特にVSPの金歯入れた悪党ぶりは特筆もの。硬派映画ゆえ、綺麗どころはいない。その代わり、実はエージェントのアンティがかっこよかったよ。タミル式ドーサイはいらないけど、ビリヤニはおいしそうだったな。さらに続篇あるらしい。今度はSuriyaか。英語字幕あった。
#21「歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡」 ベルナー・ヘルツォーク/2019/英=スコットランド=仏/Jun. 4/岩波ホール○
ヘルツォーク作品はほとんど観ていないし、ブルース・チャトウィンも読んだことがないというシチュエーションではあるが、あと2ヶ月で閉館してしまうという岩波ホールに行っておくという目的もあり、慌てて『パタゴニア』を車中で読みながら出京。ブロントサウルスのくだりからひきこまれ、それが映画でもいきなり出てきてすっかり居心地がよくなり、途中で若干ウトウトしてしまった。典型的なNomadのチャトウィンが歩き回った、パタゴニアをはじめとする世界を彼の死後にヘルツォークが訪れるドキュメンタリー。チャトウィンの生前の映像や本人による朗読を混じえ、彼の世界あるいは生に対する見方を振り返る哲学的かつリアルな、キンスキーが暴れるのとはまったく異なる体験だった。まずは『パタゴニア』を読み終えよう。記録(≠記憶)によると岩波ホール初見参は1986年『パパは、出張中!』。長い間ありがとうございました。
#20「クライ・マッチョ」 クリント・イーストウッド/2021/米/May 28/早稲田松竹○
90歳を越え、さらに映画を撮る、自ら演じる、まさにマッチョなイーストウッドである。とはいえ歳には勝てず、さすがに渋さを過ぎヨボヨボになってきた。『東京物語』の笠智衆の歩き方によく似ているのだ。そのビジュアルでロマンスを演じるってのはどうなの。というか、何歳の設定なんだろうか。でも、全体としては、西部劇(?)にもかかわらずドンパチもアクションもなく、肩の力がまったく抜けたいい感じの作品に仕上がっている。西部劇と書いたが、ジャンルとしてはロードムービーである。少年と鶏を車に乗せ、メキシコシティから一路テキサスをめざす途中で、いくつかの事件、出会いがあるというわけ。セリフの1/3以上はスペイン語だった。イーストウッドが下痢して野●しようとするシーンがあるのだが、直前に車を乗り逃げされ、それどころではなくなった。ショックで治ったのかな。『マディソン郡の橋』との2本立てだったが、そちらは観ずに劇場をあとにした。
#19「シン・ウルトラマン」 樋口真嗣/2022/円谷プロダクション=東宝=カラー/May 28/新宿ピカデリー○
そそるオープニングから猛スピードで背景を説明する映像がシリーズもののように流れ、あれよあれよとその世界に入っていく。『シン・ゴジラ』の監督による『ウルトラマン』。また政治家を含む日本政府内部の混乱が皮肉に描かれている。総理大臣は嶋田久作。禍威獣やら禍特対といったむりやり感のある言葉づかいにはやや抵抗を感じたものの、オリジナルのサウンドを多用していたりCG全盛の時代にかなりアナログ風味を残した映像は、『ウルトラマン』を知っている世代だけでなく現代の若い観客にもウケるだろう。斎藤工と長澤まさみの関係は、ハヤタとフジではなくダンとアンヌに近かったね。随所で楽しめたけど、一番気に入ったのは禍威獣が日本にしか現れないことをさらっと言っているところかな。次点はマイティジャックの壁紙。カラータイマーと“シュワッチ”をなくした理由はなんだろう? さて、つぎは『仮面ライダー』だね。
#18「K.G.F: Chapter 2」 Prashanth Neel/2022/インド/May 7/池袋HUMAXシネマズ○
オリジナルであるカンナダ語版のあとでテルグ語版を観る。どちらが発話されているか識別はできるが内容までわからないので大勢には影響がない。前作と違い、言語違いによるシーンの入れ替えもなさそう。とにかく映像と英語字幕を追い続ける。Rockyのマザコンがインドの一大事となる壮大な物語。カラシニコフやBig Mamaによる圧倒的な火器攻勢から鎚は剣より強しという基本まで、RockyとSanjay Duttの死闘はつづく。たまに入るギャグ、Nepotisimのくだりとか、Jimmy Carterの登場とか、必要かな。息抜き狙いなら、頻繁に戻ってくる現在シーンがあるし、お茶汲みのおっちゃんもいるし。さて、エンディングはChapter 3の計画があることを明確に示している。どういう設定なのか興味津々。まさか、Rockyには双子の弟がいた、とかじゃないよね。音響がいまひとつだった。せっかくならIMAXで観たかった。本作にも出演しているMohan Junejaの訃報がこの日あった。R.I.P。
#17「Kaathuvaakula Rendu Kaadhal」 Vignesh Shivan/2022/インド/May 4/SKIPシティ映像ホール○
また、観たかった新作を日本で速攻上映。日本のインド人コミュニティすばらし。今度は“Lady Superstar” Nayanthara作品。婚約者のVignesh Shivanが監督で共演がVijay Sethupathiとくれば誰もが『Naanum Rowdy Dhaan』を想起するだろうが、今回はあれほどの快作にはならなかった。もうひとりの共演者が最近絶好調のSamantha。NayanとSamantha同時に好かれるVSPという二等辺三角関係。ぜいたくだ。残念ながら話はつまらなかったので、ひたすらNayanとSamanthaを拝むのが吉。そういう意味で満足である。今回はSamanthaへの対抗上Nayanも若いときのようにがんばって踊ってた。VSPとふたりとの重婚式(?)では、ヒンドゥー教徒のNayan側とイスラム教徒のSamantha側で客席を幕で分け、前者はベジ、後者はノンベジで、互いに料理を密かに交換していた。イスラム教徒もあのベジ料理は好きなのだろうか。興味深い。晩ご飯にビリヤニを食べ、帰宅途中にチョコアイスバーを買って帰った。
#16「パリ13区」 Jacques Audiard/2021/仏/May 2/新宿ピカデリー★
デプレシャンの『そして僕は恋をする』以降、個人的にはひさびさにフランス映画らしさをフルに感じる恋愛映画。原題は『Les Olympiades』で13区にあるニュータウンのこと。ドイツ出身の建築家Michel Holleyの設計で、なかなかかっこいい。治安のよしあしは不明だけど、今度行ってみよう。国語教師の陽気なアフリカ系青年Camilleと自分の立ち位置が見定まらない台湾系女性Émilie、ボルドーからやってきたEma Watson似の謎めいたアラサーNoraの移ろう関係を18禁にもかかわらず爽やかに描写している。モノクローム作品だがCamgirlのAmber SweetがPC画面で“営業”する一シーンだけカラー。説明的で余計なエピソードは一切ない。しかも、はっぴいえんど。コテコテのインド映画まみれからこういう映画に戻ってくるとほっとする。ときどきはこういう作品に触れたいものだ。もちろんインド映画もいい。でもスパイス飽和状態がつづくと精神衛生上よくないよ。
#15「男たちの挽歌」 呉宇森/1986/香港/May 2/新宿武蔵野館○
『ならず者』と『恋する惑星』の間の香港のイメージをくれる映画。(ついでにいうと台北も出てくる。) 懐かしい。36年前の作品だが、初見は1993年。その頃、香港映画を結構集中して観てはまっていったわけだ。2丁拳銃をぶっ放す周潤發メインのイメージが強いが、主演はあくまで狄龍。警官を志す弟(張國榮)が父親(田豐)の死を境に、かつては慕っていた極道の兄(狄龍)を憎むようになる。足抜けし服役後は的士運転手となった兄は弟との和解と弟の身を守ることに苦悩するというテルグ映画にはないファミリーストーリーで、建て付けは日本の仁侠ものである。いまはもう存在しない香港がそこにある。市民の味方、皇家警察。あの頃は仲のよかった呉宇森(監督)と徐克(プロデューサー)も出演。Wiki見たらインド版リメイクがあるんだね。観てみたいけど、Sanjay Duttか。Jacky役はKarisma Kapoorだし、金出したくないな。
#14「ドライブ・マイ・カー」 濱口竜介/2021/『…』製作委員会/Apr. 23/TOHOシネマズシャンテ○
アカデミー賞作品賞ノミネート、国際長編映画賞受賞の昨年度作品。帰国してようやく観られた。村上春樹の同名小説が原作とのことだが、幸か不幸か読んでいない。始まってみれば、いつものムラカミテイストなストーリー。インテリ濱口監督がどのように料理しているのか。これまで濱口作品は観たことがなかったのだけど、今回、村上春樹原作以外に、舞台が広島、主演が西島秀俊というポイントから興味を持っていた。西島秀俊は僕が若い頃にお世話になった方の息子なのである。顔似てるよ。タイトルからしてクルマも重要なキャラ。赤いSAAB 900 Turboである。これを寡黙な三浦透子が運転する。かっこいいよね、SAAB。広島市環境局中工場もかっこよかった。多言語版『ワーニャ伯父さん』とシンクロする現実に苦悩していた主人公はふっ切れた。ラストシーンまでの過程を推測するのは楽しいが、答がオープンなのでWordleよりむずかしいな。緑内障とほほの傷のエピソードは弱い気がした。何か見逃したかも。
#13「K.G.F: Chapter 2」 Prashanth Neel/2022/インド/Apr. 17/SKIPシティ映像ホール○
COVID-19のせいで公開が遅れて帰国までに観られないことがわかったときの落胆たるや。しかし在日インド人コミュニティの力は公開即日上映を日本で実現。その日はしごとの関係上行けなくなったが、ヒンディー語版だしまあいいかと。で、この日のカンナダ語版上映会に川口まで赴いた。諸々考慮すると2,800円は高くない。外国人料金ではなかったことを祈る。『K.G.F: Chapter 1』から3年、Rocky Bhai登場時は興奮した。実際に訪れたK.G.Fで歩いた道が出てきて、また興奮。正直なところ、成り上がりストーリーのChapter 1の方がおもしろいし、GarudaがSanjay Duttに勝っている。それでも続篇としての本作は合格点である。語り手はAnant NagからPrakash Rajに交替(なぜ?)。PMのRamika SenはIndira Gandhiだと思うが、なんで名前変えたのかな? 演じるRaveena TandonはSrinidhi Shettyなど足元にも及ばない美人だった。最後のオチにはいささか驚いた。どぜうがもっといるといいね。
#12「アネット」 レオス・カラックス/2021/仏=独=白=米=日=墨=瑞/Apr. 9/ユーロスペース○
帰国一本目はカラックス。超ひさしぶりだけど、相変わらず濃い映画を撮るひとだ。驚きのミュージカル、しかもほぼすべてのセリフが歌。これをAdam Driverが主演するという。相手役はMarion Cotillard。(李香蘭+Anna Karina)/2って感じ。コメディアン(Adam Driver)とオペラ歌手(Marion Cotillard)の恋の末生まれるアネット(ふたりの娘)は文字通りのあやつり人形。この設定で魅せる映画を撮ることができるカラックス。『ポーラx』で暗い気持ちになり、以降はあまりチェックしていなかったが、話は重いもののカラックスらしい作品がまた観られたことはよかったよ。オープニングとエンディングにカラックス自身が登場。Adam Driverに過去暴力を受けたと主張する6人の女性に水原希子がいるのはすぐにわかったが、Angèleもいるのにまもなく気がついた。Super Bowlが“Hyper Bowl”なのは商標の問題だろうか。日本のミニシアター、シート小さい、スクリーン小さい、観客静か、と改めて感じた。
#11「RRR」 S. S. Rajamouli/2022/インド/Mar. 28/Delite Cinema○
インド最後の映画観賞は、つい2日前に観た作品のヒンディー語版。ボイスオーバーがヒンディー語になった以外、キャスティングもシーンも同じだったようだ。Ram CharanとJr. NTRが演じた人物は実在のヒーローらしい。じゃあたまたまRamaという名前だったので、Ram Charanに神様のRamaの格好をさせたということか。3時間というインド映画でも長尺な作品の前半のハイライトは、英国人Governerの邸宅で開催されたパーティーでのダンス合戦。西洋のダンスとテルグ映画ダンスの好対照はエキサイティングで『フレンチカンカン』のクライマックスを思い出した。後半のハイライトは地下牢に入れられたRam CharanをJr. NTRが助け出し刑務所を脱出する際の戦い。脚を負傷して動けないRam CharanをJr. NTRが肩車して襲ってくる兵士(?)をダブルライフルでバッタバッタと倒していくのは香港映画ばりに爽快だった。で、Jr. NTRが好きになるOlivia Morrisって何者かね。残念ながら今回も字幕付けてくれなかった。
#10「RRR」 S. S. Rajamouli/2022/インド/Mar. 26/Bhumika Digital 2K Cinema○
Baahubali』のRajamouli監督の新作はCOVID-19の影響で公開が延びに延びてバンガロールを離れる直前の3/25が初日。これまたせっかくなのでカットアウトのあるMajesticのシネマで観ようということになった。とにかくド派手な、これぞインド・エンタメ映画という感じだが、大英帝国による支配への抵抗という硬派なテーマなのでダンスシーンは一度のみで(エンディングにもある)、基本はRam CharanとJr. NTRの男の絆による1920年あたりの流血抗争の物語である。予告篇でRam Charanがいろんな格好で出てくるので複数の時代を語るものかと思っていたら違ってて、当人の立場がいろいろ変わっていくのであった。Ajay DevgnがRam Charanの父親役で、Alia Bhattが同許嫁役でボリウッドから出演。Ram CharanがRamaでAlia BhattがSita、ふたりは離れて暮らしている、というのはインド映画伝統の設定。覚悟していたが字幕はなかった。こんなにテルグ語話者がいるのか、バンガロール。英語の台詞にテルグ語をボイスオーバーするのやめてほしい。せめてテルグ語字幕にして。
#9「James」 Chethan Kumar/2022/インド/Mar. 19/Anupama Theatre○
去年急逝したAppu, Power Star, Puneeth Rajkumarの遺作。バンガロールは本作一色で盛り上がっている。じゃあ単館で観ようってことで、Majesticに赴きモーニング・ショウ(10:30am開演)。空いていた。李小龍の『死亡遊戯』みたいに撮れていないシーンを吹き替えで無理やり完成させたわけではなく、ちゃんと最後までPuneethが動いていた。ただし、カンナダ語版なのに声が違うなあと思ったら、ボイスオーバーはShiva Rajkumar兄貴がやったらしい。兄貴はPuneethの育ての親(?)役でも特別出演。話はありきたり。滅法強い警備員が実は秘密任務を受けた陸軍少佐。ちょっといくら相手がマフィアだからって殺しすぎ。硬派ってツラでもないのにPriya Anandとのロマンスもない。遺作だからって容赦しないよ。現実にとてもいいひとだったんだろうけど、役者としてはやはり親の七光りだったと思う。字幕なかった。
#8「Hey! Sinamika」 Brinda/2022/インド/Mar. 5/Balaj Theatre○
インド映画界で一番きれいな女優はNayanではなくAditi Rao Hydariである。鼻がもう少し小さいともっといい。演技についてはまだ成長の余地があるが(と今回も思った)、歌とダンスは一流。Hyderabadが生んだこのインド版Audrey Hepburn主演のコメディーはDulquer Salmaanとの共演で、なぜかタミル映画。監督はこれがデビュー作だがこれまで映画のダンスシーンを担当してきたひとらしい。なので本作にもふんだんにダンスシーンが組み込まれる。喋り続ける夫(DQ)から逃れるためカウンセラーKajal Aggarwalに夫への誘惑を依頼するがふたりが接近するにつれ後悔し寄りを戻そうとするたわいもない話の舞台は、Cochinに始まり、Chennai、Pondicherryと移動する。タミル映画なんだから一曲くらいはサリー姿のおばちゃんが混じって踊るシーンを入れて欲しかったな。Yogi Babuがどうでもいいエログル役で特別出演。僕もDQみたいな声だったらなー。字幕あった。このローカル単館はなんのチェックもなし、国歌もなし。
#7「Gangubai Kathiawadi」 Sanjay Leela Bhansali/2022/インド/Feb. 27/PVR: Forum Mall, Koramangala○
こないだのベルリン映画祭でプレミア上映されたSanjay Leela Bhansaliの新作。主演はAlia Bhatt。『Gang』っていうからドンパチものかと思ったら、Kamathipuraの娼館主の話だった。実話ベースらしい。恋人に売られたAlia Bhattが一娼婦から地域の議員(Presidentと言ってた気もするが)までなる過程を思い出形式で語る。歳とってなかなかいい演技しているな。いにしえのMumbaiセットは、いかにも“セットです”という感じに作られていて映画に雰囲気を与えるのに一役買っていた。でも、どうもBollywood映画にはワクワクしなくなったなあ。Alia Bhattが選挙での勝利スピーチをする会場のイラニカフェの名前が“Yazdani”だったぞ。直前に観たHuma Qureshiがアイテムナンバーで踊ってた。HQデーか。あとはCREDのあんちゃん(Jim Sarbh)が出てたな。きょうのPMはIndira Gandhiでなく、そのお父さんのJawaharlal Nehru。Manmohan Singhはよ。字幕なかった。
#6「Valimai」 H. Vinoth/2022/インド/Feb. 27/PVR: Gold, Forum Mall, Koramangala○
ごま塩頭Ajith Kumarの新作だが、これまでの作品とちっとも変わらない。やたらと強いスーパーコップ。MaduraiからChennaiに呼ばれて巨大ギャングを征伐する。これに家族の絆が絡む南インド仕様。Ajithの兄役になぜかAchyuth Kumar。相棒に苦手なHuma Qureshi。スーパーコップは何人も非情に殺したギャングをやはり何人も非情に殺す。殺しのライセンスをもっているのだろうか。怖い。建前として物語は就職できない若者に焦点を当てている。これはいまのインドが抱える社会問題なのかな。もしそこに目新しさがあるのだとしても、全体としては旧態依然。まあ『水戸黄門』みたいなものだと思えばいいのかもしれない。ダンスシーンはBollywood並みに派手だがタミルのおばちゃん達が出てこないのが不満。ごま塩頭と書いたけど、本作では髪を染めてた。でも若くは見えない。アクションスターはつらいよ。そういや、Kamal Haasanは何してるの? 最近のHaasan一家は低調だね。字幕あった。
#5「Majestic」 P. N. Satya/2002/インド/Feb. 19/Prasanna Digital 4K Cinema○
Darshanは最初からChallenging Starだったのか? そんなはずはないので、冒頭部分は今回のリバイバルに際して付けたのだろう。Darshanのデビュー作である。登場時のルックスに当惑する。知っているDarshanに見えないからだが、デビュー作ということは当時の観客の一部はこれがDarshanかと思ったに違いない。目が青くて歯が汚いRowdy。やることも残虐。で、Sparsha Rekhaに近づくためイメチェンすると、知っているDarshanを若くした姿になった。恋人のために更生しようとするが、悲劇的な結末を迎える。ダンスシーンは四度あったが、その度に一階席の観客がスクリーン前に出て踊り出すという、単館ならではの楽しいできごとがあった。そういえばオープニングのBangalore紹介シークエンスには、在りし日のSantosh TheatreとNartaki Theatreの勇姿も見えた。単館、カットアウトと共になくならないでほしい。20年前の作品でもあり最初から字幕は諦めていた。よって詳細は不明なままである。
#4「Veeramae Vaagai Soodum」 Thu Pa Saravanan/2022/インド/Feb. 5/PVR: Gold, Forum Mall, Koramangala○
KollywoodのベストアクターはDhanushで間違いないが、かっこよさではVishalが勝っている。固そうな体で繰り出すオーソドックスな格闘、踊れないダンス、狭い演技の幅。でも観ていてかっこいい。おそらく立ったときのモビルスーツみたいな姿勢のよさとあの目つきだと思う。新作は、息子の犯罪を隠蔽するため誰でも平気で殺す悪党に妹を殺され、そいつに立ち向かう無職(?)の男の話。相棒にYogi Babu (こいつも無職?)。相手役にDimple Hayathi (彼女は銀行員)。Ileana D'Cruz似の美人だけど、添え役。この3人は同級生という設定。残虐な上に重要人物も早々に犠牲になるので、観ていて気が重くなる。警官である父親は上司の悪事に何も言えない意気地なしでモヤモヤ。格闘シーンだけは楽しめたな。悪党を仕留めた最後にVishalは職を得るのだが、なんなんだこの結末は。よくわからん。というのも字幕がなかったからである。ワナッカム、マッチャン、タンビー程度のタミル語知識ではどうにもならないよ。
#3「Ombatthane Dikku」 Dayal Padmanabhan/2022/インド/Jan. 29/INOX: Mantri Square○
2017年のタミル映画『Kurangu Bommai』のカンナダ・リメイクらしいが、オリジナルはさいわい未見。オープニングにPuneethに捧ぐと出た後, DarshanとかAryaも出てきて派手な感じ。本篇が始まってみると、字幕がない。ここで撃沈を確信。 映像が素人っぽいし、俳優は魅力がないし、同じ型のふたつのバッグが引き起こすよくあるドタバタかと思ってボーッと観てた。そしたらそのうちそのバッグが同じものだということがわかり、いまだに話には付いていけないものの俄然おもしろくなってきた。なるほどリメイクしたくなるようなシナリオのようだ。主人公の男(Loose Mada Yogi)と恋人(Aditi Prabhudeva)がドーサの話をしてた。カーリーじゃなくてマサラでベンネ載せてとか(画面から想像)。そういうの、楽しい。引ったくり役のPrashanth Siddiはインド人には見えないのだけど調べたらSiddi族というアフリカ由来の少数民族のひとらしい。インドは広い。しかし、いかにもの低予算映画には英語字幕は付かないということは肝に銘じておかなくてはならないな。
#2「Hridayam」 Vineeth Sreenivasan/2022/インド/Jan. 23/INOX: Garuda Mall○
週末外出禁止令が解除され、ようやく新年2本目。劇場は50%キャパで安心。『Premam』を思わせる、Pranav Mohanlal主演の青春ものである。というわけでヒロインはふたり、Darshana Rajendran (前半のカレッジ時代)とKalyani Priyadarshan (後半の社会人時代)。最近Kalyani Priyadarshanはよく見るね。マラヤラム映画界でいま一番売れている気がする。面白いのは舞台がチェンナイの工科大学 (KC College of Technology; 実際にはKCG College of Technology) でそこで学ぶケララ人学生コミュニティーが中心となっているところ。こういうシチュエーションは結構あるのかな? 全体としてちょっと理想化しすぎている気がした。カレッジのSecret Alleyのエピソードが締めのパートで出てくるのもクサい上に捻りがない。時の流れをケータイで表現するのも。異常に評価が高いのは、新作映画にみんな飢えているからなのか? 英語字幕あった。
#1「83」 Kabir Khan/2021/インド/Jan. 1/Metro INOX Cinemas (Mumbai)○
2022年最初はムンバイでヒンディー語作品を観る。一応劇映画だよね。1983年のクリケット・ワールドカップでインドチームが優勝したというインド人なら誰でも憶えている、広島人にとっての1975年のようなできごとを記録に沿ってなぞる。主演はRanveer SinghでキャプテンKapil Devを真似る。額と歯が特徴的。他のメンバーも容姿含めモノマネしていたようだ。とにかく結末はわかっているし、お気楽に観られて高揚感も保証されたお正月映画であった。プロデューサーのDeepika Padukoneがカメオで(え?違うの?) Ranveer Singhの奥さん役。劣勢だからとマッチの途中でパスを破り捨ててスタジアムを出、盛り返すと慌てて戻るも入れてもらえない情けないエピソードは本当にあったのだろうか? またIndira Gandhiが出てた。わかりやすいPMだから? ぜひ将来はManmohan Singhをばーんと出す映画を誰か撮ってもらいたい。こういう映画だと以前は必ず国旗がバーンとはためいて観客全員起立だったけど、時代は変わった。字幕、当然なし。

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Updated: 8/7/2022

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