[↓1998年][↑2000年]
1999年に観た映画の一覧です
今年の標語: 観る映画は吟味して。“アジア”の文字にだまされるな。
現在のBest10です。(旧作は含んでいません。ただし日本初公開作は新作扱い)
- #21「永遠と一日」テオ・アンゲロプロス/1998/仏=伊=ギリシャ
- #36「Hole」蔡明亮/1998/台湾=仏
- #2「恋の秋」エリック・ロメール/1998/仏
- #28「八月のクリスマス」ホ・ジノ/1998/韓国
- #50「ダークネス&ライト」張作驥/1999/台湾
- #43「あの娘と自転車に乗って」アクタン・アブディカリコフ/1998/キルギスタン=仏
- #57「風が吹くまま」アッバス・キアロスタミ/1999/仏=イラン
- #56「シチリア!」ジャン=マリー・ストローブ,ダニエル・ユイレ/1998/仏
- #75「ゴースト・ドッグ」ジム・ジャームッシュ/1999/米=日=仏=独
- #5「ルル・オン・ザ・ブリッジ」ポール・オースター/1998/米
- 星の見方(以前観たものには付いてません)
- ★★…おーっ、生きててよかったっ!
- ★…なかなかやるじゃん。
- 無印…どーってことなし。
- ▽…金返せーっ!
- 凡例
- #通し番号「邦題」監督/製作年/製作国/鑑賞日/会場[星]
- #78「御法度」大島渚/1999/大島渚プロダクション=松竹/Dec. 19/渋谷松竹セントラル
- オーシマ復活である。新撰組に入隊した美少年がひき起こす隊内の統制の乱れを耽美に描く。坂本龍一の音楽が画にマッチしていたと思う。役者に素人臭いのばかり集めたのはおそらく意図的だろう。監督には末長く前衛的な作品を発表し続けて欲しいものである。ところで、シュウドウという言葉を聞いたのは初めてだ。(いばれるものでもないだろうけど。) 主役の松田龍平は、遺伝子がこの世をすべて支配していることを確認させる顔をしていて、恐ろしい。
- #77「リトル・チュン」陳果/1999/香港/Dec. 11/国際交流フォーラム
- 1997年7月に向かう香港の様子を、2人の子供の目から語らせる。ひとりは香港生まれの男の子、もう一人は不法移民の女の子である。期待と不安、不法移民たちは息を潜めて返還の日を待つ。その一方で、生粋の香港人にとっては何も変わりはない。日々の暮らしが滔々と続くだけである。舞台の中心となるのは、油麻地あたりの下町。匂ってきそうなほど、あの辺の雰囲気がそのままフィルムに定着していた。終映後トイレに行くと、舞台挨拶した主演の男の子も入ってきた。祥仔特製のレモネードは作っていないようだった。
- #76「DEAD OR ALIVE 犯罪者」三池崇史/1999/大映/Dec. 11/中野武蔵野ホール
- 東京国際映画祭の《ニッポン・シネマ・ナウ》で上映され、タブー無視の描写と驚きのエンディングでアジア映画賞審査員の間で議論を呼んだと崔洋一審査員長が話していた作品。なんだか気になるので観に行った。ガンをぶっ放して胃からラーメンが飛び散るオープニングのシーンなんて文字通り序の口である。(これくらいのネタばらしはどうってことない。) エンディングは…、開いた口が塞がらなかった。『キッスで殺せ』とケタ違いの迫力(?)である。一度目はともかく、こういうのって何度観ても面白いのだろうか?
- #75「ゴースト・ドッグ」ジム・ジャームッシュ/1999/米=日=仏=独/Dec. 4/シネ・アミューズWEST
- 日本の武士道の教科書“葉隠”を座右の書とする殺し屋“ゴースト・ドッグ”の、サムライになりきってクールに生きる様を、お得意のコミュニケーション・ギャグを折り込みながら描いた佳作。題名(役名)や、2回ほど登場する黒犬が連想させるのだろうが、命の恩人のイタリアン・老マフィアへの忠義を貫く姿は、侍というより忠犬である。吠えないから怖い。最後の決闘シーンはクロサワへのオマージュだったが、それよりも注目なのは、“森のお城”への殴込みシーンである。ゴースト・ドッグが周潤發に見えた。とんき(@目黒)に行きたいがため渋谷で観たのだが、この劇場はよかない。無理してもシャンテで観て、蓬莱屋に行くべきだったと反省。とんきは最高なんだが。
- #74「ハイロー・カントリー」スティーヴン・フリアーズ/1998/米/Dec. 4/シネマライズ
- “最後のカウボーイ”の物語。カウボーイの誇り,男の友情,女に対する愛。これらすべてが絶対であり、この順序に優先する硬派なヒーローである。ペキンパーが映画化を企画しながら断念したというが、納得だ。ま、それが観に行った動機なわけだけれど。こういう物語では、女性は必然的に添え物,飾り物であり、薄っぺらな描写は気の毒なくらいだ。舞台は二次大戦前後のニューメキシコ。広大な自然を称賛するせりふがあったが、残念ながらそれは画面からは十分伝わってこなかった。
- #73「メキシコ無宿」蔵原惟繕/1962/日活/Nov. 21/草月ホール
- 宍戸錠が、“頑張ったご褒美”で海外で撮らせてもらったもので、ご褒美というくせにメキシコロケクルーはたったの4人だったらしい。それから容易に想像できるように、簡単にいえば粗雑なできだ。錠の唄う主題歌そのままだ。メキシコに行ってからも凄いが、導入部の横浜でのエピソードも凄い。錠は“危険屋”という職業なのだが、これが文字で描写できないくらい抱腹絶倒である。(映画の内容がまったくわからない文章になってしまった。) 『赤道を駆ける男』同様、こちらもレアもの。でもそのうち、チャンネルNECOでやりそうな気もするな。おっと、チャンネルNECOといえば上映後の対談で四方田犬彦氏が絶賛していた、芦川いづみ様ご出演の『硝子のジョニー』が今週放送される。予約、予約。
- #72「赤道を駈ける男」斎藤武市/1968/アロー・エンタプライズ/Nov. 21/草月ホール
- 小林旭100本記念映画で、彼自ら採算度外視で制作に当たったという豪華ブラジルロケ作品。なわけで知らない制作会社だが、監督は斎藤武市、配給はしっかり日活で、中身はまんま『渡り鳥』である。『赤道を越える渡り鳥』に改題していただきたい。違いは、クラブで踊るのが白木マリでないこと、祭(当然リオのカーニバルだ)でなぜか旭が舞台に立って唄いだしたりしないことくらいだ。むちゃくちゃレアな作品であとはいつ観られるか…。“明日の朝、イグアスの滝で待つ。政”こんな書き置きで、会えるのか?(^o^)
- #71「和製喧嘩友達[パテベビー短縮版]」小津安二郎/1929/松竹蒲田/Nov. 20/フィルムセンター
- 10日前に同じプログラムを観たのだけれど、今度はいつ観られるかわからないのでもう一度観に来た。この作品には、その頃の小津に見られるハイカラ趣味とギャグが溢れている。あの時代、労働者階級(トラック運転手)がテーブルに椅子で暮らし、毎朝サニーサイドアップを食べるなんて、まさか、そんな、だって、だけど♪((C)paris blue)だ。さて、次回のフィルムセンターは“ハワード・ホークス映画祭”。こいつは企画もので特別の料金体系なので、普段ロハで観に来る謎のコンビニ袋をたくさん持ったじいさん、ばあさんもいない。安心だ。
- #70「突貫小僧[パテベビー短縮版]」小津安二郎/1929/松竹蒲田/Nov. 20/フィルムセンター
- カニパンのエピソードは有名だが、確かにあのカニパンは不自然な割れ方をしているようだ。(実は予備知識がないとそれがカニパンだとは気がつかない。) 突貫小僧は、いたずらではあるが眼鏡をかけて坊ちゃん刈りの、いいとこの息子のような風情だ。と改めて考えてみると、彼は結構、腕白ではあるがお坊ちゃんを演じているのだ。『淑女は何を忘れたか』とかはその典型だ。そう感じさせないのは、あの顔のせいであることはいうまでもない。
- #69「大学は出たけれど[マーヴェルグラフ短縮版]」小津安二郎/1929/松竹蒲田/Nov. 20/フィルムセンター
- 一度は自分から断った会社へふたたび高田稔が訪問する日。外は土砂降りの雨である。小津作品での雨は極めて珍しい。あとは『浮草物語』とそのリメイク『浮草』くらいじゃないかな?ところで、クレジットには“監督 小津英雄”とある。昔はそんな名前も使っていたのだろうか。でも、うちに帰って2枚あるLDを調べてみたら、クレジットはどちらも“安二郎”だった。ついでにいうと、そのうちの一枚は今回観たのとはソースが違うらしく、若干時間が長いようだった。こっちの方が貴重じゃん。
- #68「ストトン節」池田義信/1924/松竹蒲田/Nov. 20/フィルムセンター
- 飯田蝶子が、夫が帰ってきたかと思って表に出ると、誰もいない。空には笑顔の月。妻子を追い出した男が、これからの女給との甘い生活を思い浮かべて独り芝居するときに使われるモンタージュ。カフェーで衝立の向こうに隠れる女給とその夫の透視。などなど、映画が可能にする“遊び”をふんだんに盛り込んでいる。こういうのを観て昔の人は驚いたり喜んだりしたのだろうな。いまだって十分新鮮に見えるのはなぜだろう?そこにはSFXとは明らかに違う何かがある。
- #67「ぼくたちはここにいる」趙崇基/1994/香港/Nov. 20/キネカ大森3
- 幼友達のゲイ3組が社会で静かに生きる様を描いたもので、友情を越えた絆を中心に3人のドラマ(失恋,女性との恋,AIDSによる死)が展開する。この作品では劉青雲が主演の1人を演じているのだが、役としては2枚目である。それを示唆するせりふがたくさん出てくる。果たして彼は2枚目なのか?大いに疑問だが、香港ではそうなのかもしれない。これはひとつのカルチャーギャップだ。この溝が埋まらなければ民族対話は無理かもしれない。(大げさ)
- #66「君のいた永遠」張艾嘉/1999/香港/Nov. 13/横浜オデヲン座
- 張艾嘉(映画監督役で出演)が、自分の想い出話を映画化して、自分の役をかわいい梁詠[王其]にやらせようという虫のいい話(と決めつけるのは意地悪か)。金城武やら莫文蔚やら、僕の苦手な俳優さんが出てきて疲れた。疲れたのは劇場にも問題があったようだ。毎週毎週上京するのは経済的にも時間的にもむだだと考えて、今週は関内で観ることにしたのだが、この辺にはろくな劇場がない。椅子は座り心地がよくないし、スクリーンも小さい。やはり交通費を余計に払ってでも東京で映画を観る意味があることを実感した。
- #65「シュウシュウの季節」陳冲/1998/米/Nov. 13/関内アカデミー1
- 撮影許可が下りず、こっそり撮ってアメリカで製作したという。確かにこのテーマを中国政府が“はいどうぞ”と認めるとは、現状では到底考えられない。少女・秀秀の蒙古人・老金とのつつましい生活描写など、観ていてほっとするが、彼女が帰りたい一心で共産党関係者に体を提供し始めたあとは、悲惨のひと言で何の救いもない。シナリオをここまで残酷にする必要があったのかちょいと疑問が残った。下放される前の石鹸のエピソードなどは、監督の想い出が反映されているのではないかな。
- #64「忠次旅日記[英語字幕付]」伊藤大輔/1927/日活大将軍/Nov. 12/フィルムセンター
- これを観るのは二度目。いかにも後付けの説明字幕が目についたが、前回もあったかどうか記憶が怪しい。さうだ、一度目は弁士がいたのだ。このフィルムは、もともとふたつだったのを、断片を拾ってひとつの作品としたため、撮影が前半と後半で異なる。国貞忠次はもちろん大河内傳次郎。落ちぶれていく大親分はど迫力であるが、身分を隠して若い番頭を演るのはちと無理があるよなあ。中気(痛風?)で右腕が使えなくなったとこは、丹下左膳のようでもある。
- #63「長恨[部分]」伊藤大輔/1926/日活大将軍/Nov. 12/フィルムセンター★
- 10分程度の断片だが、最初から最後まで延々と大河内傳次郎の殺陣が続く、迫力いっぱいのフィルム。“叫ぶ”字幕と併せて、音がないことが全く気にならない。それにしても、他の巻は紛失したようだが、クライマックスの巻だけがうまいこと残っていたものである。
- #62「和製喧嘩友達[パテベビー短縮版]」小津安二郎/1929/松竹蒲田/Nov. 10/フィルムセンター
- とにかく観に行くことに意義がある、この世にはもう残っていないと思われていた小津の初期サイレント作品。プリントは、『突貫小僧』と同じくコレクターの手にあった9.5mm版かなんかを復元して35mmにブローアップした代物。むちゃくちゃ短縮してあるので、全体の話はわかるが、細部はよくわからない。しかも元プリントの問題なのか、フォーカスが甘く、字幕を読み取るのに時間がかかった。こういうとき、アメリカなら上映中に“Focus”といって騒ぐやつが必ずいるものだが、日本の客は上品なのか諦めているのかとても大人しい。
- #61「突貫小僧[パテベビー短縮版]」小津安二郎/1929/松竹蒲田/Nov. 10/フィルムセンター
- このバージョンは、“発見”後に観たものとは違うようだ。といっても元のプリントは同じはずだ。よく憶えていないのだが、もっと下品なタイトルバックだったような気がする。不評だったので変えたのかも。内容は、坂本武と斎藤達雄の人攫いコンビが、さらったクソガキ突貫小僧にさんざん弱らされるナンセンスもの。『生れてはみたけれど』で見せる斎藤達雄の顔芸がここでも見られる。だからどうした、といわれると困る。
- #60「大学は出たけれど[マーヴェルグラフ短縮版]」小津安二郎/1929/松竹蒲田/Nov. 10/フィルムセンター
- この作品のプリントは約10分しか残っていない。それなのに話が最初から最後まで、途中に長い説明字幕をはさみながら、きちんと終わるのが不思議だった。改めて本を調べて納得。もともと長かったのが、興行中の映写トラブルかなんかで切れた部分を捨ててつなぎ直しているうち、とうとうあの時間になったらしい。ほかのプリントはなくなってしまったため、それが正式に保存されているというわけだ。観賞後に一句、“金あれば、やってみたいなサンデー毎日”。
- #59「ストトン節」池田義信/1924/松竹蒲田/Nov. 10/フィルムセンター
- もちろんサイレント作品だが、蓄音機から流れる“スットトン、スットトン”という字幕を観ていると、自然と『ちびまる子ちゃん』のエンディング・テーマが浮かんでくる。おそらく、あんな節ではないとは思うけれど。それはさておき、カフェーで“〜節”みたいなもんががかかっているのが妙だ。客が手拍子して盛り上がりながら、カツライスなんぞ喰っておる。話は、女給に惚れた男が妻と息子を捨てて女給と結婚しようとするが、女給に旦那がいることがわかり、目を醒して元のサヤに納まるというもの。
- #58「ヘンリー・フール」ハル・ハートリー/1997/米/Nov. 10/シネ・ヴィヴァン・六本木
- 『FLIRT/フラート』の一年後に作られた作品。ここまで公開が遅れたのは、日本にはハートリー・ファンが少ないのかな。面白くなかったわけではないが、内容については省略して、会場について書き留めたい。シネ・ヴィヴァン・六本木は今年限りで閉館するそうだ。思えばこの記録を付け始めてから最初に観た『ラ・パロマ』がかかっていたのはここだった。あの頃は“シネセゾンクラブ”なるものがあって、入会すると、電話予約もできたしパンフレット引換回数券みたいなのもくれたっけ。閉館の理由は知らないが、文芸坐のような老舗の映画館のみならず、ここのようなミニ・シアターのさきがけまでなくなってしまうのは淋しいかぎりだ。
- #57「風が吹くまま」アッバス・キアロスタミ/1999/仏=イラン/Nov. 7/シアターコクーン(TIFF)★
- お祭りの最後は、キアロスタミの新作で。この監督とはあまり相性がよくないのだけれど、久しぶりに、寝ずに、最後までいけました。映画という、無から2時間の小世界を創造する仕事を、粘土細工をひねるように仕上げてしまう職人芸には唸るばかり。ひとりだけ画面に映して会話の相手を見せないテクニックはその一端。それに、イランの村の風景の相変わらず美しいこと。風になびく黄金の麦畑。階段状の白い村。そこをモグラのように縦横に行き来する住人達。しあわせだ。来年もあるといいね、映画祭。
- #56「シチリア!」ジャン=マリー・ストローブ,ダニエル・ユイレ/1998/仏/Nov. 7/シアターコクーン(TIFF)
- これね、面白かったですよ。60分ちょっとという上映時間も◎です。ただ残念なのは、そんなに短かったにもかかわらずうとうとしてしまって、細部まで味わえなかったこと。ある男が故郷のシチリアに帰って母親に会う話なんだけど、母親との再会以外にいくつかのエピソードがあって、これがどれも味わい深い。朴訥とした会話と静寂(このとき映像もほとんど動かない)が交互にやってきて、スタンダード・モノクロの画面と相まって独特のリズムを作り出していました。
- #55「シュリ」カン・ジェギュ/1999/韓国/Nov. 6/渋谷公会堂(TIFF)
- 自分が韓国人であれば、そのエンターテイメント性よりも、ストーリーのベースである南北分断状況の緊迫感を再認識して戦慄を覚えるだろう。が、幸か不幸か、日本人である。冷静に観れば、これはいささか人がときにあっけなく、ときに残虐に死に過ぎることを除けば、ハリウッド製ジェットコースタームービーと同じ範疇にあるということがわかる。主人公とその恋人の本当の関係も、見え見えのバレバレ。それでもこの映画は、日本で(も)大ヒットするだろう。僕も結構楽しみました。これは特別招待作品で、ゲストに監督と、主演のハン・ソッキュ (『 八月のクリスマス 』)が来て会場は騒然。観客では中嶋朋子や南果歩を見かけました。ハン・ソッキュも舞台挨拶後、客席で鑑賞。あまり気づかれてなかったようだけれど。
- #54「真夜中まで」和田誠/1999/東北新社/Nov. 6/オーチャードホール(TIFF)
- 李嘉欣が出演している和田誠の新作。舞台挨拶とティーチインにも彼女がやって来た。特にファンでもないので、彼女の話は置いておいて…。どうにも納得がいかない点がある。それは携帯電話。現在の東京における生活・経済活動に携帯電話が重要な地位をもっていることはまぎれもない事実である。本作では、戻らなければならないジャズバーに真田広之は連絡を取りたいはずだ。それなのに李嘉欣の携帯を借りるという発想が湧かないのは不自然である。連絡を取れないことで話が面白くなるのはわかるが、それはご都合主義というものだ。シナリオを作る際には、そういうところをよく考えていただきたい。時間がリアルタイムで進行するというのはいいと思うけど。
- #53「母親三十歳」宋存壽/1973/台湾/Nov. 5/シアターコクーン(TIFF)
- 病気の夫と子供たちを見殺しにして不倫した母を捨て、台北で母親を恨み続ける息子を、かつての二枚目明星秦漢が演じる。夫の死後2度再婚しながら、だらしない生活を続ける母親は、大学を卒業したくましく成長した息子を頼りにしようと接触を試みるが…。今回この監督の作品を3つ続けて観たわけだが、どれも“あれっ”という印象を受ける場面がいくつもあった。特にあとの2作はシナリオ自体はわかりやすいものだが、登場人物に感情移入しづらい面があり、興行的にどうだったのか他人事ながら気になった。“台湾ニューウェイヴの父”らしいので、そう考えれば納得もできるか。
- #52「窓の外」宋存壽/1972/台湾/Nov. 5/シアターコクーン(TIFF)
- 本映画祭の個人的メイン上映。林青霞、まぼろしのデビュー作だ。この作品がいまになって日本で観られようとは、神様,お釈迦様,市山様だ(よって別の意味で★★)。高校生だぞ。若い、かわいい。作品は、その高校生と担任教師の恋愛という紋切型。しかし、『古鏡幽魂』でもおやっと思ったが、その演出は妙ちきりんなものだ。登場人物の心変わりの早いこと早いこと。そしてまたそのエンディングの奇異なこと。淡水や二水がロケで登場。
- #51「古鏡幽魂」宋存壽/1974/台湾/Nov. 5/シアターコクーン(TIFF)
- 胡金銓映画でお馴染みの石雋演じる公子が写経のため借りた幽霊屋敷で、井戸に飛び降り自殺した若き日の林青霞に誘惑される。林青霞は毒龍と呼ばれる妖怪に脅され、井戸に人間を誘い込み殺していたのだ。しかし、デキた人間である石雋は誘惑に乗らず、逆に林青霞を助けたうえ、デキてしまう。まあたわいもない幽霊ものだが、しまいにハリボテの龍が出てきてたまげた。
- #50「ダークネス&ライト」張作驥/1999/台湾/Nov. 4/オーチャードホール(TIFF)★
- 去年『チュンと家族』を観て、僕の期待する監督のひとりとなった張作驥の新作がコンペに出品。今回は基隆を舞台に、全盲の両親と知恵遅れの弟と下っ端やくざのボーイフレンドをもつ女の子が明るく自然体で生活する姿を描く、これまた秀作である。女の子とボーイフレンドの初デートの描写など、青春映画として宝物クラス。めでたく、アジア映画賞を受賞。(結局、東京グランプリと東京ゴールド賞まで採ってしまったらしい。)
- #49「フラットタイヤ」黄明川/1999/台湾/Nov. 3/渋谷エルミタージュ(TIFF)
- 仏像や観音像や蒋介石像など台湾中のありとあらゆる像を、借金しまくりながら撮り続ける男と、そんな男に愛想をつかしながらも同居を続ける女がいて、2人の距離がどんどん離れていくのはサブストーリー。本作品の主眼は歴史に翻弄される台湾である。ティーチインでの印象からしても、この監督はかなり政府に不信感を持っているようだ。映画中、あの呉鳳の像が倒されるシーンがあり、ティーチインで呉鳳についての解説が監督からあった。呉鳳は大日本帝国がプロパガンダ用にでっちあげた人物だそうだ。ひとつ賢くなった。
- #48「アパートメント」ヴィエト・リン/1999/ヴェトナム/Nov. 3/シネセゾン渋谷(TIFF)
- 解放戦争終結後、ジャングルからホーチミンに出てきて、とある元ホテルに暮らすことになった人々の 10年にわたる生活変化をつづった、グランドホテル形式の作品。ローバジェットであることも手伝ってか、はっきりいって映画的にはたいしたことはなかったが、実際にヴェトコンだったという監督(女性)のもってる思い出が詰め込んであるようで、各エピソードは大変興味深いものだった。本上映は、カネボウ女性映画週間の一環であり、毎度のことながら観客は圧倒的
におばさんである。映画が始まる前には親玉のおばさんの舞台挨拶もあって、このパワーに圧倒されてしまった。
- #47「正義の華」マノップ・ウノムデート/1999/タイ/Oct. 31/渋谷エルミタージュ(TIFF)
- アートフィルムと大衆向けエンターテイメント映画というのは、なかなか両立しないものである。ティーチインで監督が明かしていたが、最初後者として企画されたものの、監督の芸術家としての欲が前者へと作品を向かわせ、興行的には失敗した。確かに順序を入れ替えたストーリーテリングは、注意深く観なければ置いてけぼりを喰らうだろう。でも、そこを乗り越えればとても面白いのだ。基本的にフィルム・ノワールだが、登場人物がデフォルメしてあり、コミックセンスが溢れている。監督の話から、どうやらルーツは日活無国籍アクションのようだ。宍戸錠が好きなんて、いい人じゃないか。古谷一行似の“死の花”なるニックネームをもつ刑事がおかしかったなぁ。
- #46「ルナ・パパ」バフティヤル・フドイナザーロフ/1999/タジキスタン/Oct. 30/渋谷ジョイシネマ(TIFF)
- 秋になったら東京国際映画祭。今年はニッポン・シネマ・クラシックがないというけしからん開催形態だが、この不景気ではしかたないのか。来年はぜひ復活させてもらいたいものだ。鑑賞一本目はコンペ参加作品。『コシュ・バ・コシュ/恋はロープウェイに乗って』の監督さんである。ファンタスティックでクレイジーでちょいと悲しい話だ。主人公の住む街を望む湖や延々と続く荒原が美しい。でも、あんまり行きたくないかな、悪いけど。
- #45「ポーラX」レオス・カラックス/1999/仏=独=スイス=日本/Oct. 9/シネマライズ
- 大傑作『汚れた血』により頂点に駆け上がった後、呪われた映画人生を送っているカラックスの新作。裕福なうえに作家としての名声もモノにし、幸せな結婚を前にした青年が、自分とは異母姉弟だと名乗る女の出現をきっかけに地獄へ堕ちていく壮絶なストーリー。重い。重すぎる。監督自身の境遇に投影して見ざるを得ない。噂にあったように、やはり引退したほうが幸せだったかも。それでも、前半の白を基調とした幸せな日々の描写は絶体的に美しく、監督の異能さを発散していた。ところで、シネマライズでやってるから、という理由でガールフレンドと来ている高校生の君、ちゃんと監督を調べてからにした方がいいよ。“なんなのこのエーガ、全然わかんなかったぁ”なんて言葉、聞きたくないでしょ?
- #44「義人呉鳳」千葉泰樹,安藤太郎/1932/日本/Oct. 2/イメージフォーラム
- 日本人が台湾で撮った、一種のプロパガンダ映画。清時代、台湾に着任していた役人が、“蛮人”と呼ばれる先住民族のために献身する。首狩りをやめさせたり、飢饉があると私財を投げ打って助けたりし、とうとう命を献上する。どうやら実話らしく、最後にその役人・呉鳳を祀った廟が阿里山にあるのが映される。『台北の女学生』なる短編を併映。昔の台北の様子が色々見られるのかと期待していたら、ひどいフィルムだったうえに、半分以上は“台北の女学生”が日本に修学旅行に来た記録フィルムで、出てくるのは鎌倉やら日光やら。だまされた気分である。
- #43「あの娘と自転車に乗って」アクタン・アブディカリコフ/1998/キルギスタン=仏/Oct. 2/キネカ大森2★
- 中央アジアの国キルギスタンの長編映画第一作。ウキウキするような題名だが、これは邦題。でも、原題の『養子』よりずっといい。知ってしまった自分の出生の秘密のショックを克服しさらに一段大きく成長する少年。淡い想いを抱いていた少女をデート(自転車での散歩だが)に誘ったところで映画は幕を閉じるが、その後も少年がたくましく成長していく姿をくっきりと観客に見せる説得力がある。ところで、解決が長引いている日本人ら致事件でテレビによく出てくる“人権活動家”のナントカさんは、いつも妙な帽子をかぶっているので変人か?と思っていたが、この映画を観て、キルギスの男性があの帽子を普通に着用していることがわかった。ごめんなさい、ナントカさん。人質、お願いしますね。
- #42「シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦」アディティア・チョープラー/1995/印/Sep. 25/新宿東映パラス2
- 同じくシャー・ルク・カーンの『ラジュー出世する』も観たこの劇場は、お気に入りのひとつだ。客席が急な階段状になっていて、どこに座っても前の客の頭が気になることは絶対にない。作品だが、前半はロンドンを中心としてヨーロッパを巡る“出会い”篇。休憩を挟んで後半は、インド・パンジャブに舞台を移して“お父さんに気に入られるまで頑張るぞ”篇。…特に記しておくべき事項はないです。開映前に、Spice girlsの足下にも及ばない“マサラガールズ”なるコギャルあがりのグループが出てきて、変な歌を口パクしたのには閉口した。
- #41「母の旅路」清水宏/1958/大映東京/Sep. 24/フィルムセンター
- 生まれも育ちもサーカスで、純粋だが世間知らずの女。実業家の家に生まれたものの勘当され、サーカスに拾われた男。二人の間に生まれた超できのいい娘。この3人が織りなす家族ゲーム。勘当した父の墓参りに行ったことがきっかけで、サーカスから抜け、実家に。にわか社長夫人が必然的に引き起こすドタバタ。苦悩する娘。この上映では、テントから邸宅へ住まいを移す重要なところで映写がストップ。映写機のベルトが切れたという。その後は一台の映写機で、途中フィルム交換の中断を入れながらの上映。ストップした巻の続きの映写はなし。残念でした。おわびの招待状をもらいましたが、残念でした。((C)徳大寺伸)
- #40「絶唱」滝沢英輔/1958/日活/Sep. 22/フィルムセンター
- 舞台は第二次大戦を中心とした松江とその近辺。物語は、小林旭と浅丘ルリ子の、離れても崩れることのない愛情を軸に進むのだけれど、その周りの変化が妙。まず、地主の息子とその家の山守の娘が駆け落ちし労働者としての暮らしを始めるまでは、“左”っぽい匂いがぷんぷん。次に、夫が出征してからは急速にありきたりな反戦映画。そして、ここからがすごい。夫が大陸から帰ってくるのを目前にして妻は死んでしまうのだが、夫が枕元に座ると死人の目がパッと開くのだ。オカルトだ。夫は妻を屋敷に連れて帰り、死体に花嫁衣装を着せて、遅れた結婚式兼告別式をいとなむ。純愛ものも、ここまで来れば石井輝男と紙一重である。
- #39「母のおもかげ」清水宏/1959/大映東京/Sep. 11/フィルムセンター
- 半年前に母を亡くした少年のところに、継母がやって来る。実母への思慕が強烈に残る少年は、継母に対して素直に甘えることができない。あるとき、大事にしていた実母の形見の鳩を連れ子の義妹が逃がしてしまう。切れる少年、絶望する継母。しかし最後には、継母の胸に飛び込む期待通りの結末。やはり清水は子供を撮るのがうまい。『風の中の子供』で、潔白が証明されて帰ってきた河村黎吉演じる父の周りを子供たちが隠れんぼのようにして父親を呼ぶ幸福な場面があるが、本作品ではこれが壁に吊るされた継母の洋服に対して行われる。少年が微笑む唯一のシーンである。
- #38「浮草」小津安二郎/1959/大映東京/Sep. 11/フィルムセンター★★
- 驚くなかれ、我が家にはトイレットペーパー画面の小津作品がある。Video CD版の本作品である。いつだったか台湾の書店で見つけたもので、国内でいくら探してもLDが見つからず絶望していたのでそのときは何も考えずに購入した。帰国後、プレーヤーにかけて愕然。画面の下半分が黒帯で、そこに中国語字幕が…。このおかげで冒頭のビール瓶も半分しか見えない。まともに観るには、こうして映画館に出かける必要があるのだ。大映に出かけて撮った本作品は一味違った小津が味わえる。移動する灯台(これには本当に目を疑う)、俯瞰、雨、罵り合うふたり。
- #37「日本誕生」稲垣浩/1959/東宝/Sep. 10/フィルムセンター
- 珍品です。原節子が天照大神を演ってます。東宝の1000本製作記念映画とかで、お金かかってます。円谷英二の特撮で、キングギドラの祖先(?)八岐大蛇がしっかり出てきます。原をはじめ、出演陣はむちゃくちゃ豪華。それらがみんなトホホな衣装で古代人やら神様やら演じる姿は、仕事とはいえ、ご苦労さんです。志村喬・鶴田浩二兄弟が治める西の国の女性達は、インド人かペルシャ人かという格好をしていたぞ。日本武尊(演じるは三船敏郎)は西アジアまで遠征したのか?
- #36「Hole」蔡明亮/1998/台湾=仏/Sep. 4/シネマライズ★
- 蔡明亮とミュージカル、唄は葛蘭の往年のヒットナンバー。なんとも期待させる組み合わせだ。公開初日第一回に行くしかないじゃないか。…剥がれ落ちる壁紙、タプタプの床、いつもの蔡明亮ワールドが展開。と思えば、楊貴媚が突然'50年代風コスチュームに変わり口パクで踊りだす。この堂々とした脈絡のなさ。しかし、本作品の驚くべきところは、実はミュージカルにあるのではない。階下の女が“台湾熱”にかかったのを嘆き、そして救いの手を穴から差し伸べるシャオカン。この監督にして初めてハッピーエンドなのだ。なぜ、会場はガラガラなんだ。みんな『孔雀』なんて行かないで、こっち観ようよ。
- #35「明治天皇と日露大戦争」渡邊邦男/1957/新東宝/Aug. 28/フィルムセンター
- 珍品です。アラカンが明治天皇を演ってます。新東宝の威信をかけて、お金かかってます。特撮もがんばってるし、行軍シーンのエキストラの数は並じゃない。それにしてもこのテーマは…敗戦後12年しかたってないのに…。ちょいと前に偽満州国の歴史本を読んでいたので、挿話の理解が早くて助かりました。バルチック艦隊を迎撃するところで、軍艦マーチが流れる中、“ホンジツテンキセイロウナレドモナミタカシ”の電文が読まれる。もちろん頭の中では、加東大介が下唇突き出して海軍式敬礼してました。“こうじゃない、こうっ。”(『秋刀魚の味』を観てね。)
- #34「夢幻琉球つるヘンリー」高嶺剛/1998/高嶺プロダクション/Aug. 28/UPLINKファクトリー
- ホッタラー、ホッタラー♪というわけで、金門王・李炳輝が映画に登場だ。この監督は常に沖縄のルーツを求めて、本州生まれにはよくわからないファンタジックな世界を繰り広げるが、今回のは一段とパワーアップしていて、眠気まで襲ってきた。陳湘[王其]まで出てきた台湾ロケシーンはしっかり観たけど。(別にけなしているのではありません。きっと上野耕路の音楽が影響しているに違いない。)
- #33「アルナーチャラム/踊るスーパースター」スンダルC./1997/印/Aug. 21/テアトル新宿
- 『踊るマハラジャ2』は観なかったけれど、これはなんとなく気分が乗って観に行くことにした。つづけざまに行くと“もう勘弁してくれい”なのに、時間がたつとまたインド映画が観たくなる。どれを観ても紋切りのストーリーなのは、そんなことも影響しているのかも。たまに観るなら、同じでいいのだ。ラジニのウィンクと女優の揺れるお腹が、観たいときにいつでも観られるようになっているのがインドなんだ。
- #32「孔雀KUJAKU」杜可風/1998/日本=香港/Aug. 15/シネ・アミューズEAST
- お気に入り歌手のひとり、許美靜が映画に出演。監督はゆれゆれキャメラの杜可風。主演は浅野忠信。←これがお盆のど真ん中にもかかわらず、会場が一杯だった原因だろうか。作品は、“落書き”という表現がぴったりきそうな代物で、ついうとうとしてしまった。お金払った自分を叱咤。こないだの『モーテルカクタス』でもそう思ったけど、そろそろこのオーストラリア人とは手を切るときかもしれない。許美靜はビデオクリップと同様、無表情でした。
- #31「ビッグ・ヒート/復讐は俺にまかせろ」フリッツ・ラング/1953/米/Aug. 13/三百人劇場★
- 上司の制止を聞き入れず事件に深入りしてしまった刑事が、最愛の妻を爆殺される。悪に迎合する警視総監をののしり辞職した男は復讐に向かう。ハードボイルドであるが、呉宇森などとは異なり、無茶苦茶クールである。男の友情なんかそこにはない。女性にも優しい。真棒。(あ、呉宇森も好きです。)
- #30「運動靴と赤い金魚」マジッド・マジディ/1997/イラン/Aug. 7/シネスイッチ銀座2
- 例によって例のごとくの子供映画。各エピソードやショットの位置づけ、つなぎの意図が不明で、全体としてのまとまりはいまひとつなのだが、子供の純真さ、ひたむきさを見る作品だと思えば、それはきらきらひかりだす。女の子たちが校庭で“わたしたちは国の花です。指導者の命令に従います。”と一斉に唱えるシーンが、見る者を一瞬暗い思いにさせる。
- #29「人情馬鹿」清水宏/1956/大映東京/Jul. 1/フィルムセンター
- 木暮実千代からホクロを取って少し太らせたようなキャバレー歌手(あ、角梨枝子ですね)が、自分にいれあげて会社の金を使い込んだ男(菅原謙二)を助ける。変な話である。人情物と呼べるウルルン性もなければ、戦前作品のようなノホホン性もない。そんな中途半端なとこに追い打ちをかけるように、ちょい役の浪花千栄子の出番がなぜか長い長い。でも、このオバハンはいつ観てもスコーンッと抜けていて、気持ちがよい。
- #28「八月のクリスマス」ホ・ジノ/1998/韓国/Jun. 5/シネマスクエアとうきゅう★
- 自分の死期が近いことを知っているあなたは、着々と“準備”しながらその日を待つ、表面上静かな、その実、絶望の生活を送っている。そんなとき、とてもかわいい女の子が現れ、どうやらお互いに惹かれたらしい。さあどうする?…音楽の入れ方と編集がちょいと残念だけれど、同時録音のとても素な感じの映像が、ほのぼの感と切なさをうまく醸し出している。主演の2人の魅力も大きいですね。ところで、板の間にある電話台、あれがよかった。あれ、おくれ。
- #27「浪人街」マキノ雅弘/1957/京都映画=松竹/May 29/三百人劇場
- フィルムの状態が最悪。タイトルがなかったのを皮切りにぶつぶつ切れるし、何を言ってるのかよく聞き取れない。これが57年の作品とは。すごく眠かったのだが、なんとかセーフ。最後のチャンバラシーンがえかった。上映後、三田線を神保町で下りて、スヰートポーヅの鍋貼で夕食。ビールがうまい。幸せだ。
- #26「海辺のポーリーヌ」エリック・ロメール/1982/仏/May 29/ACTミニシアター
- 僕にとって最初に観たロメール作品ではないかと思うのだけど、記録が見つからない。変ですね。なぜか今ごろ再プリントされて上映されているのを観に行った。場所は、最近めっきりご無沙汰のACT。靴をぬいで、座椅子のようなものに寝そべって観る。居心地がよさそうに聞こえるけど、これがなかなか窮屈だ。作品は“喜劇とことわざシリーズ”の一編で、口は災いの元、黙っていれば丸く収まるのを、実直な青年がいろいろ追及して、結果としてみんなを気まずい雰囲気にさせてしまう、いささかかわいそうなお話。上映後、これまた久しぶりの夢民で昼食。幸せだ。
- #25「日本大侠客」マキノ雅弘/1966/東映京都/May 15/三百人劇場
- 主役は鶴田浩二。この人の軽妙さは『お茶漬の味』で確認済だが、本作は役が(“大侠客”という題名がついているにもかかわらず)侠客でないので、それが存分に発揮できている。
善人役の常連出演が少なく、そのために意外な人の出演があったり、悪役専門の人が善人だったりして、なかなか興味深かった。
中でも、『按摩と女』の徳大寺伸の顔が見られたのは収穫。
じいさんになっても、背低いね。
- #24「日本侠客伝 関東篇」マキノ雅弘/1965/東映京都/May 15/三百人劇場★★
- 『緋牡丹博徒』とか『昭和残侠伝』とか『渡り鳥』といった往年のシリーズ物プログラムピクチャーは大好きなのだが、悲しいかな、しばらくするとどれがどれだったかわからなくなる。
『日本侠客伝』シリーズもしかりで、本作を観るのは2度目。例によって、劇場に向かう途中、どんな話だったかなぁ…とまことに頼りなかったが、始まると即座に記憶が甦った。
健さんが《船長》で、やたらと軽いやつだ。丹波も出る。
マキノは、常に動くキャメラが華麗だ。
また、実にシネマスコープにマッチした構図を見せる。
加藤泰には少々負けるかもしれないけれど、北島三郎の下駄など細かいギャグもでき、メロドラマも湿っぽいマキノの魅力も捨てがたい。
- #23「旅役者」成瀬巳喜男/1940/東宝/Apr. 25/三百人劇場★
- これ《芸道物》ですか?旅芸人一座の“馬の前脚”役が主人公(演じるは、藤原釜足改め鶏太)。後脚5年・前脚10年のキャリアでその仕事に誇りをもっている彼は、ある町で酔っ払いが大事な馬の頭を潰してしまったことが元で職を失う。やけっぱちになった彼が出た行動は…。とにかく笑えました。『秀子の車掌さん』といい、成瀬はコメディも結構イケます。
- #22「芝居道」成瀬巳喜男/1944/東宝/Apr. 25/三百人劇場
- これは一度フィルムセンターで観た。長谷川一夫と山田五十鈴コンビ出演の《芸道物》のひとつ。太平洋戦争も日本が相当苦しくなってきたときの作品であり、かなり軍部のご機嫌をとった跡が見て取れる。成瀬のような作家には難儀な時代だ。志村喬が、主人公のライバルの興行師を演じているが、その格好が戦後の『昭和残侠伝』などで見せる親分にそっくりである。
- #21「永遠と一日」テオ・アンゲロプロス/1998/仏=伊=ギリシャ/Apr. 17/シャンテ・シネ2★
- 妻を亡くし、自分も不治の病に侵されて、二度と出て来られな
いとわかっている入院を明日に控えた老小説家が、祖国を脱出したものの、生きていくあてもないアルバニア難民の少年に街で出会う一日の物語。もちろんアンゲロプロスなので、この一日と、老作家が妻と過ごしたある夏の日、そして彼が研究する“言葉を買う”詩人のオスマン帝国占領時代の3つの時間が同一シーンで移行あるいは混在する。老作家が3つの時間を行き来するのだが、面白いのは、どの時間にいても“現在”の姿をしていることだ。老作家はブルーノ・ガンツ。すっかりいいじいさんだ。なんだか『アメリカの友人』が観たくなってきた。
- #20「ワンダフルライフ」是枝裕和/1998/テレビマンユニオン=エンジンフィルム/Apr. 17/シネマライズ
- 『幻の光』から3年。監督の名前も忘れていたが突如新作が舞い込んできた。死者が天国に行く前、ある施設に一週間ほど滞在する。そこでは、自分の人生で最も印象に残った思い出と共に永遠の時を得るためにこれをビデオで再現するという、なんとも僕はお願いしたくないような業務を行っている。死者が担当者を前に自分の思い出を話すのだが、出演者にプロの俳優のほか素人さんが混じっており、本当の思い出を素のままで喋る。そのために多分にドキュメンタリーの要素を含んでおり、完ぺきに作られた前作の映像とは正反対のなごみ性をもっていた。主演は、ARATA,小田エリカなど僕の知らない人たち。監督とともに舞台挨拶に立っていましたが、考えようによってはちょいとふかっちゃん似の小田の挨拶がおつむ弱そうだったのにがっかりしました。
- #19「猿の惑星
ニュープリント新訳版」
フランクリン J. シャフナー/1968/米/Apr. 3/シネ・ヴィヴァン・六本木
- ストーリーのわかりやすさとラストの衝撃で(この部分は自説)、同じ年に公開された『2001年宇宙の旅』より遥かにヒットしたというSF大作。
僕も小さい頃この映画が評判になっていたことを記憶しており、その余波で作られた日本のTVドラマ『猿の軍団』なるものを見ていた。“さるのぐんだんっ、さるのぐんだんっ♪”
まあいいや。とにかく、映画は今回初めて見た。確かに面白かった。たいしたエンターテインメントだ。
しかし、大人の頭では色々なことにつっこみを入れたくなる。
なぜ、猿は英語を喋るのだ?よろしい。それは地域的な問題かもしれない。
それでも、なぜテイラーは猿が地球の言語である英語を喋ることに腰が抜けるほど驚かないのか?
なぜその土地には猿と人間と馬しか動物がいないのか?
なぜかなり原始的な生活をしている猿が“planet”などという、到底必要のない単語を知っているのか?
などなど謎は尽きないが、長くなるのでこの辺で。
- #18「1000の瞬き」
劉鎭偉/1994/香港/Mar. 28/ラフォーレミュージアム原宿
- 『都市情縁』が変な邦題(飲茶倶楽部での公募だったか?)で公開。
この監督は色んな映画が撮れる人で、僕は割と好きなのだ。
しかぁし、これはとことん香港人の好きそうなウェットな話で、しかも、ストーリー中で説明しているにもかかわらず、結末を画面で見せないと気が済まないという、心の中で“もう勘弁してくれーっ”と叫ばずにおれないような一品でした。
観衆のお涙を乞うチープな音楽も最悪。
『恋する惑星』より少し前に撮ったものだと思われ、まだ改装前のMidnight Expressで呉倩蓮らがダベるシーンがある。
- #17「おもちゃ」
孫瑜/1933/中国/Mar. 21/国際交流フォーラム
- 《上海映画特集》の目玉。
サイレント映画を胡弓の生演奏付で上映するのだ。
作品は阮玲玉の代表作。
いやあ、胡弓の響きっていいですね。
おかげでまたまた前半ウトウトしてしまいました。
阮玲玉はこないだ観た『新女性』より2歳若いだけなのに、見違えるように可愛かったぞ。
娘役は李莉莉。
この時代に太もも出して、健康美を売り物にしていたんですね。
- #16「深夜の歌声」
馬徐維邦/1937/中国/Mar. 14/国際交流フォーラム
- 張國榮主演でリメイクされた『夜半歌聲』のオリジナル作品。
当時すごいヒットだったということだが、確かに大衆を動かすドラマ性がある。
リメイクにはない政治性も、パワー倍増に一役買っている。
しかしながら個人的には、ひどく芝居がかった演技が気にかかって、入り込んでいけなかった。
続編があるというのだが、面白いのだろうか?
同じ怪物もの(?)の『フランケンシュタイン』などは続編の『フランケンシュタインの花嫁』の方ができがいいのだが、この法則は一般には成立しないぞ。
- #15「新女性」
蔡楚生/1935/中国/Mar. 13/国際交流フォーラム
- 上海映画史上伝説の女優・阮玲玉主演。
絶えず自立を志す女性が、社会の圧力にどうしても勝てず、遂に悲しく死んでいく物語。
絶望的な映画である。
サイレントゆえに、少し睡魔に襲われてしまった。
モンタージュを多用した賑やかな映像は、ソ連映画の影響か。
阮玲玉といえば僕の頭の中では張曼玉なので本物はどんなだろうと期待してしまうが………ちょいと残念。
- #14「ケーブル・ホーグのバラード」
サム・ペキンパー/1970/米/Mar. 13/シネマカリテ3★
- スローモーションの王者・ペキンパーの、スローモーションのない、ドンパチもほとんどない、インディアンも出てこない異色の西部劇。
仲間に裏切られ、砂漠のど真ん中で死にかけた男ケーブル・ホーグが、偶然泉を発見して安定した暮らしを得る。ペテン師牧師との友情、元仲間への復讐、そして娼婦との恋。
観ていて心温まる一方で、ペキンパーの映画がこのままで終わるはずがないという不安がちらつき始めた頃、なんとも不甲斐ないがカッコいい最期を迎える。
映像テクニックがいまとなっては多少陳腐に見えるのは仕方ないか。
- #13「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ」
洪金寶/1997/香港/Feb. 27/キネカ大森1
- 『ワン・チャイ』シリーズ第6作は、久しぶりに主役が李連杰に戻ったとともに、監督に洪金寶を据え、舞台を開拓時代のアメリカに設定した西部劇だ。
サンフランシスコにほど近い金鉱の町で、白人からの差別に耐えながら暮らす中国人達をなぜかビリー・ザ・キッドと共に助け、合衆国で最初のチャイナタウンを作る黄飛鴻。
李連杰の武術はいつ見ても迫力があります。弟子役の
くまきんきん
も大活躍。
インディアンを白人が演じているのが白けたなぁ。
- #12「忠烈図」
胡金銓/1975/香港/Feb. 11/BOX東中野
- 倭寇征伐の話。
例によってむちゃくちゃ武芸の達者なヒーロー達(そのひとりに喬宏)がいて、中国沿岸を荒らしている倭寇・博多津をやっつける。
博多津を演じているのは洪金寶。
変な侍風の着物着て顔におしろい塗って、手裏剣投げる。
登場するときには雅楽が…。
日本の時代考証もしっかりやってくれ、監督。
子分に元彪も登場して(成龍も出てたらしいけど、気づかず)、
歴史を感じさせる一本でした。
関係ないけど、小屋から出たら雪だった。
- #11「龍門客棧」
胡金銓/1967/台湾/Feb. 11/BOX東中野★
- BOX東中野では、昨年初頭に三百人劇場でやっていた台湾映画祭のアンコール上映をやっている。
そのときに都合が悪くて観られなかったものを、今回せっせと観ている。
本作品は1995年の東京国際映画祭で『血斗竜門の宿』として観ているので無理に観ることもなかったのだが、なぜかスケジュールに入ってしまった。
とにかく、これは胡金銓の最高傑作のひとつ。
徐克がリメイクした『ドラゴン・イン』も、面白いし張曼玉や林青霞も出ているのだが、オリジナルの魅力にはやはりかなわない。
何度観てもワクワクする。
この頃の台湾映画の制作力は相当なものだ。
若き日の苗天が東廠の極悪人として出演。
- #10「光陰的故事」
陶徳辰,楊徳昌,柯一正,張毅/1983/台湾/Feb. 6/BOX東中野
- 『坊やの人形』と並んで、
台湾ニューウェイヴの記念碑的作品といわれるオムニバス映画。
楊徳昌を監督に配した2作目が光る。
解説を読むと、主人公の幼なじみ(?)のチビを演じているのは
『冬冬の夏休み』の冬冬だそうだ。
全然気づかなかったぞ。
本作品は以前テレビで放映されており、ビデオに録ってあったので、何度か観ているはずだが…
しかも、3作目と4作目の記憶がない。
どうやら、楊徳昌を観終わった時点で満足して毎回やめていたようである。
- #9「君を送る心綿々」
梁哲夫/1965/台湾/Feb. 6/BOX東中野
- これまたプロットのいい加減な、その分笑える作品。
日本統治時代。台中のある教師が日本人を殴ってしまい、南部へ強制労働に送られる。
恋人が面会にやってきたとき空襲があり(なぜ日本の施設に空襲があるのか謎である)、そのどさくさに脱走を図って失敗。
ついに地獄の海南島に送られるが、そこでも脱走。
銃で撃たれ、死んだかに見えた。
残された恋人は、死んだという言葉を信じ、娘を連れ台北に上京。
あてもなく絶望の淵に立たされていたとき、助けてくれた医者に見初められ、ついに結婚式の日が…。
- #8「梅花」
劉家昌/1975/台湾/Feb. 6/BOX東中野
- 梅は中華民国の国花であるから、作品を観なくてもこの作品が愛国映画で、それはつまり抗日映画であることがわかる。
光復から30年たってから制作されたもの(もちろん占領中にそんなものが作れるわけもないが)だが、その頃の台湾映画の中心的なテーマだったのだろう。
非常に雑な作りなのも同時期の傾向なのか?
ストーリーの中心となる兄弟の、兄の方の奥さんは日本軍の将校との噂がたち自殺してしまうのだが、旗包姿が妙に色っぽかった。
(全然感想になってないですね。:p)
- #7「天下第一」
胡金銓/1983/台湾/Jan. 30/BOX東中野★
- 中国五代十国時代(唐と宋の間らしい)。
怪しい道士の与える毒薬で頭のちょいとおかしい皇帝を治すため、敵国にいる名医を連れてこようと周囲がどたばたする話。
ドミノ倒しのドミノがひとつずつ増えていき、なかなか解決の一押しまでたどり着けないもどかしさ。
クライマックスにさしかかり、さあいよいよだ、とワクワク身構えて観ていると…。おーっ、意外な結末。
胡金銓ではかなり後期の作品だと思うけど、まだまだ枯れていませんね。
実に面白い。
- #6「ボクらはいつも恋してる!金枝玉葉2」
陳可辛/1996/香港/Jan. 30/シネマミラノ
- タイクツな時間を過ごしてしまいました。
実にくだらん映画です。
日本公開が遅れたわけは、余りにもくだらないからスポンサーがつかなかったからではないかとまで思わせる。
張國榮か袁詠儀のファン以外には観る意味なし。
これが『ラブソング』と同じ監督の作品とは。
くだらんゲスト出演にもうんざり。
許鞍華だけには驚かされたけど。
- 番外篇
「デジタル小津安二郎展」
Jan. 24/東京大学総合研究博物館
- 『世界の小津安二郎シンポジウム
』で坂村健の宣伝していた件の展示会をやっと見に行った。
メインは『東京物語』の
修復だが、やはり小津やキャメラマンの厚田雄春の遺品や書き込みの入っ
た脚本とか貴重なものに目が行ってしまう。
冷たいの雨の降る中、赤門くぐった甲斐ありました。
そうそう、銀座から本郷へ向かう途中、あの『「A」』の主役(?)、
オウムの荒木広報副部長が地下道をひとりで歩いておりました。
まだ、東京が本拠地なのね。
- #5「ルル・オン・ザ・ブリッジ」
ポール・オースター/1998/米/Jan. 24/シネスイッチ銀座★
- 『スモーク』などで知られる小説家・脚本家の初監督作。
わがままなサックスプレイヤー・ハーヴェイ・カイテル。
トイレの壁に貼ってあるたくさんの女性の写真をぼんやり見ながら用を足し、ゆっくりステージに向かう。
写真の中にはミラ・ソルヴィーノの顔もあった。
その直後、クレイジーな男がクラブに入ってきてガンを乱射。
カイテルは流れ弾に当たり倒れてしまう。◇◇◇
肺を片方なくしサックスの吹けなくなった彼は、
妙な石をきっかけに、女優を夢見るウェイトレス・ソルヴィーノに出会う…
◇◇◇
脚本がいいので、ぐんぐん画面に引き込まれていく。
ウィリアム・デフォーが、天使とも悪魔ともつかない役で登場しカイテルを*裁く*。
そういえば彼は、ヴェンダースの『ファラウェイ・ソー・クロース』でも悪い天使を演じていたっけ。
- #4「ロンゲストナイト」
游達志/1997/香港/Jan. 16/俳優座トーキーナイト
- なんでこんなものを観に行ったかというと、主演が梁朝偉なのでツレが観たいといったのだ。
普段はレイトショーなのだが、この週末だけ夕方もやるというので久しぶりに六本木にまで足を延ばした。
予想通り、劇場前は劉青雲ファンの女性(?)で一杯だ(^^)。
この監督は香港の若手筆頭株らしいが『パラダイス!』という作品の予告篇を観て個人的にはアカンと思っており、本作品も当然前評価は低ランクだった。
のだが、なかなか面白かったのだ、これが。
内容はいわゆるノワールで、主演の二人(つまり前出の二人です)がとことんダーティ。
これでもか、これでもか、と繰り出されるえげつないシーンの連続で、
梁朝偉のヒーロー像を期待して集まった女性ファンには気の毒なくらい。
最後の“鏡の間”対決には笑ったが、ストーリーもよく考えられていて最後まで飽きなかった。
でも『パラダイス!』は観ないよ。
- #3「モーテルカクタス」
パク・キヨン/1997/香港=韓国/Jan. 16/キネカ大森3
- なんでこんなものを観に行ったかというと、撮影が杜可風なのでツレが観たいといったのだ。
でっかく外した。
収穫は、韓国の“モーテル”は日本と同じでラブホテルとニアリイコールであることがわかったこと、
温泉マークが韓国にもあること(もっとも併合中に日本が持ち込んだものかも)くらいだ。
オムニバスってのは、単に話が複数あればいいってもんじゃないよ。
- #2「恋の秋」
エリック・ロメール/1998/仏/Jan. 9/シャンテ・シネ2★
- 恋に恋する女性を撮り続けもうすぐ半世紀。
ロメールじーさんは今年も絶好調です。
“四季の物語”シリーズ最後の作品で、
今回は意表をついて、主人公はおばさん。
夫にはとうに死に別れ、現在はワイン作りに精出して、
男には興味ないとはいうけれど、やっぱり寂しい45歳。
息子のガールフレンドは、高校教師の元彼をくっつけようとするし、
親友は、新聞の交際欄に勝手に投稿し、代理で品定め。
さて、彼女と第二の青春を送る男性は見つかるのか?
- #1「あ、春」
相米慎二/1998/松竹/Jan. 9/テアトル新宿
- なんと富司(藤)純子と藤村志保が同一フレームに収まるという
一大事で1999年は始まった。
こんなことで小躍りして喜ぶやつも少ないだろうけど、
いやあ興奮しました。
逆タマで山の手の一軒家に住んでいる証券マン。
バブルがはじけ会社が危ない噂が立ちはじめた頃、
幼い頃死に別れたはずの父親を名乗る浮浪者が
うちを訪ねてくる。
最初は信じられず、追い返そうとするが…。
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