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2013年に観た映画の一覧です

今年の目標: まだないよ。

星の見方(以前観たものには付いてません)
★★…生きててよかった。
★…なかなかやるじゃん。
○…観て損はないね。
無印…観なくてもよかったな。
▽…お金を返してください。
凡例
#通し番号「邦題」監督/製作年/製作国/鑑賞日/会場[星]

#61「Endrendrum Punnagai」 I. Mueenuddin Ahmed/2013/インド/Dec. 31/PVR Koramangala○
コリウッド作品。主演はJiiva。はじめて見たがインドの織田裕二って感じ。少なくとも顔の浅黒さは同じだ。相手役はTrisha Krishnan。彼女もはじめて。取り立ててずば抜けた点はない。Jiivaには二人の親友がいて、そのひとりがSanthanam。『Theeya Velai Seiyyanum Kumaru』にも出ていたコメディアンだ。ストーリーはラブコメ。Jiivaの子供の頃から母親がいなかったことによる女嫌いと父親との確執がキーポイント。しごとを通じ徐々にTrisha Krishnanと打ち解け、接近する。小規模だがちゃんとItem Numberもあるし、お決まりのスイスロケもある。のだが、このロケはちゃんとストーリーに組み込まれている点がよかった。Trisha KrishnanとJiivaを争う(?)トップモデルを演じていたのはAndrea Jeremiahという女優で、外国人かと思ったられっきとしたチェンナイ人だった。元々は歌手らしい。インドの人種多様性は中国の比ではない。カメラトリックを利用したSanthanamによるドリフコントシーンの意味が謎。
#60「Dhoom 3」Vijay Krishna Acharya/2013/インド/Dec. 21/PVR Koramangala○
今年最後の目玉大型作品。IMAX版があるのに普通上映のチケットを買ってしまい大後悔。二度観る作品でもないし…。主演はAamir Khan (×2)とAbhishek Bachchan。華に女王Katrina Kaif。Aamir Khanを観るのははじめてだけど、なぜか以前から“印度の若大将”のイメージ。Abhishek Bachchanはアンディ・ガルシアみたいでなかなか渋い。Katrina Kaifの出番は余り多くないが、しなやかなダンスは貫禄十分だった。舞台は大半がシカゴ。ハリウッド映画のお決まりカーチェイスが盛りだくさん。道がいいからね。Aamir Khanの乗るBMWバイクのボンドカー並みの装備に唖然。ムンバイのスラムでAbhishek Bachchanがオートをぶっ飛ばすシーンとの対比がなかなかよかった。ストーリーはいわゆる復讐ものだが、あそこまでやるとは、Aamir Khan、相当執念深いよ。Intermissionがえらく長くCMが多かったのに閉口。End rollではKatrina Kaifのダンスがあって、さすがに大半の観客は座って観ていた。それにしても最近のCG技術は素晴らしいね。
#59「R... Rajkumar」Prabhu Deva/2013/インド/Dec. 7/PVR Koramangala○
主演は首クネクネShahid Kapoorと怒った顔が綺麗なSonakshi Sinha。前評判はすこぶる悪いが、僕には面白かった。これも“ロミオとジュリエット”にアイデアをもらったフシがある。敵側の娘Sonakshi Sinhaに一目惚れしたShahid Kapoorが、強引にSonakshi Sinhaと結婚しようとするボスに戦いを挑む。Sonakshi Sinhaを見るとヘナヘナになるShahid Kapoorがむちゃくちゃ強くて爽快。その戦いぶりにはかなりカンフー映画の影響が入っているようだ。映画中のマフィアが香港(には見えなかったので、ロケ地は別だろう)を拠点としていたのとは無関係だと思うけど。Item Numberのひとつの舞台にチャイニーズな公園が出てきた。あそこはどこだろうか? 辺り一面白い塩湖みたいなところでも踊ってた。あそこはどこだろうか? ボリウッドってほんといろんなロケ地を選んでるよね。まあたまに合成もあるけど。しかしいい加減ヒンディー語がわかるようになりたい。Sonakshi Sinhaが孤児だなんてWikipediaを読むまでわからなかったよ。
#58「ブエノスアイレス恋愛事情」グスタボ・タレット/2011/アルゼンチン=スペイン=独/Nov. 23/K's Cinema○
ブエノスアイレスの建築物を執拗に追うマニアックさにまず惹かれる。なるほど、ブエノスアイレスはヨーロッパに近いとなんとなく思っていたけど、計画性のなさからして日本に近いんだな。パートナーがおらず○○恐怖症を患う都市生活者の男女が出会う、Boy meets Girlもの。女性は『シルビアのいる街で』で“シルビア”を演じていたピラール・ロペス・デ・アジャラ。愛読書(?)は“ウォーリーをさがせ”で、現実でもウォーリーを探しているのである。最後に男性が赤白縞の楳図かずおシャツを着て出現したのには笑ったが、おとぎ話として微笑ましく観ることができた。ビールがスーパードライだったり“じゃが玉ストッカー”がキッチンにあったり鉄腕アトムのTシャツを着たりで、監督はかなりの日本好きのようだ。ふたりともマックユーザーなのにWindows Liveでチャットするのに納得いかない。女性が以前勤めていたビルとしてKavanagh buildingが登場。16年前に行ったとき見ておけばよかったよ。一瞬だけ出てきたオベリスコは見てるけどね。
#57「Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela」Sanjay Leela Bhansali/2013/インド/Nov. 17/PVR Koramangala○
TOIで五つ星だったが、そこまでではないと思う。Ranveer Singh=Ram=RomeoとDeepika Padukone=Leela=Julietというコンビによる、超有名な悲劇の翻案。紅白金のトーンが印象的。映画の舞台はGujarat。西部だ、砂漠だ。武器商人で溢れるきな臭い街の雰囲気はほとんどアラブだ。話はHoliに始まりDiwaliで終わる。Ramが登場したときのItem Number、これがこの映画の見どころ。“頭カイカイダンス”と名付けよう。あんなに高速に掻いたら頭皮から血が出そう。本作のDeepikaちゃんはずっと左の鼻に鼻輪付けてたんだけど、これ付けてると鼻かめないなあ、などとどうでもいいことを考えてしまう。よく見るとファニーフェイスだよね。一度はLeela役候補にあがっていたPriyanka Chopraが特別出演でダンスを披露。そのためだけに出てくるなんて、あんた白木マリか。冒頭の歌、歌声が『Bhaag Milkha Bhaag』のテーマのひとに聞こえた。ようやく僕も歌手に対する解像度が出てきたかと思ったのだが、どうやら幻聴だったようだ。
#56「Krrish 3」Rakesh Roshan/2013/インド/Nov. 17/PVR Koramangala
今年のDiwali作品の目玉。インド純国産スーパーヒーローもの。どう見てもスーパーマンの二番煎じである。Hrithik Roshan(誰それ?)が変装前のKrishna、変装後のKrrish、そして父親の三役を演じる。3というからには前2作があるわけだがチェックする気もないので本作だけでいろいろ推測する。Krrishは超人的ジャンプ力と怪力、高速移動能力をもつ。おそらくそれだけ。スーパーマンのように空は飛べない。(と思っていたのだけど、終盤ではどう見ても飛んでいた。うーむ、一貫性が欲しい。)Krishnaの奥さん役はPriyanka Chopra。少しだけ踊ってた。超能力者の悪の親玉Kaalの変身後の姿がなんともトホホ。クレイジー・ゴンか、おまえは。彼らがばらまくウィルスに最初に襲われたナミビアがどうなったのか、気になる。ムンバイは救ったくせに。Krrishは人道的に見えて、ビルとかはバンバン壊して被害額は甚大である。内容はともかく、技術はもうハリウッドの超大作とあまり変わらない。さすが映画王国ボリウッドだね。
#55「女っ気なし」ギヨーム・ブラック/2011/仏/Nov. 2/ユーロスペース○
遭難者』で変な男だったシルヴァンが主人公の『僕の伯父さんの休暇』。と言ってもシルヴァンはリゾートの住民で、ヴァカンスに来たお客をもてなす側。今年のお客さんは母娘。娘はハイティーン、母親も30代。ルックスもそこそこ。恋人のいないシルヴァンは、人なつっこくて奔放な母親に惹かれていく。シルヴァンは内気でとてもいい奴。へんなおたくっぽい服装だし、部屋は散らかっていて、フランス人(というかパリジャン?)に期待されるおしゃれ感は皆無なのだが、冷蔵庫にムーミンがいたりして、“こいつただものじゃない”という印象を与える。オルトというノルマンディーの町は、『史上最大の作戦』でも出てくる迫力ある断崖絶壁群を背景にした好対照ののんびり感がいい。シルヴァンに対し密かに好意をもっていた娘が最後の夜に彼の部屋をひとりで訪れる。シルヴァンがいちごを出す。そんなにたくさんホイップクリームをかけなくてもいいと思うな。かくしてひと夏の経験は思い出に変わるのであった。
#54「遭難者」ギヨーム・ブラック/2009/仏/Nov. 2/ユーロスペース○
邦題は大げさじゃない? 自転車でパリ郊外にやってきた男が、想定外のパンクでシーズンオフのビーチリゾートの町に一泊する短篇。パンクを修理していると通りがかりの第2の男に声をかけられる。この第2の男がいやに親切でいかにもあやしいのだが、単に親切でおせっかいな奴。彼は、なんと男のケータイをチェックし、恋人との会話を読んで、その恋人に男を迎えに来るよう、男を装ったメールまでする。内心その恋人にうんざりしていた男にはいい迷惑である。果たして、男と恋人は喧嘩し、破局は決定的になる。この、若いのに太っていて禿げかかっていて冴えない、シルヴァンなる第2の男は、本作品では単なる変な男であるが、『女っ気なし』を観た後だと記憶は見事に変わる。背景によって色が違ってみえる、目の錯覚実験みたいだ。たまに上映順序を変えてみると面白いんじゃないかな。こういうおとぼけ感はホン・サンスに通ずるものがある。もっと観てみたい監督である。シルヴァンは監督の分身かね。毎回出なくてもいいよ。
#53「クスクス粒の秘密」アブデラティフ・ケシシュ/2007/仏/Oct. 27/アンスティチュ・フランセ東京★
港町。造船所で働く初老の男を中心とした『そして人生はつづく』。ふたつの家族をもつ男の、それぞれの家族の事情が群像劇で語られるのだが、これが滅法面白い。チラシによればチュニジア移民家族の話らしい。アフリカからフランスに渡ってきて、小さなコミュニティーをつくり、差別と戦いながら生きている。退職金を元手に船上クスクスレストランを開こうとする男。別れた元妻の腕をアテにするというが、なぜその発想に至ったかの説明はない。許可をもらうために開いたパーティーで、果てしなくつづく、娘のベリーダンス。蒸し上がる、本人はおいしいと信じているクスクス。奪われたバイクを追い心臓が止まりそうになるほど走り続ける男。すべては絶望に突き進む。なんだこのクールな盛り上がりは。思わず笑ってしまう魔法の演出にまいった。クスクスってチュニジアの名物なんだろうか。で、クスクス粒というのはクスクスとは違うのかな。料理の全体像が見えなかったので、知りたい。食べたい。
#52「身をかわして」アブデラティフ・ケシシュ/2004/仏/Oct. 27/アンスティチュ・フランセ東京○
フィルムだ。最近、右肩の白丸を見ることがめっきりなくなったので、それだけで感動もの。でかい携帯電話がすでに懐かしい。どちらかというと下層社会に属する高校生の話。少年が幼なじみの少女に恋するがうまくいかない様を観客がいらつかないギリギリの線で見せる。少女に近づきたくて演劇の相手役にむりやりなっておきながら、まったくやる気のない演技。先生が怒りを募らせてもおかまいない。わかるね。演劇に入り込むには高いハードルがある。先生が言うように自分を解放しないといけないが、そんなこと普通の人間にはできないものだ。フランスの高校ではこんな演劇の授業を普通にやっているのだろうか。少年のデートの誘いに答えない少女の気持ちもリアル。高校生同士の会話がしつこいくらい生々しい。少女の顔が(ナスターシャではなく)クラウス・キンスキーに見えたのも生々しい。ところで、日仏学院はいつからこんな名前になったの?なんのためかさっぱりわからない。日仏学院でいいじゃん。
#51「高雄ダンサー」何文薰,ファン・ウチョル/2013/台湾=韓=日/Oct. 20/TOHOシネマズ六本木ヒルズScreen 1 (TIFF)
今年唯一の東京国際映画祭鑑賞。女ひとり+男ふたりの永遠の紋切り聖三角形映画なれど、出来はよくない。台湾人と韓国人の共同監督でかつ早大の研究室が製作に関わるという期待の取り組みは、それらがバラバラのままで終わったという印象。ファンタジーを狙ったのだろうけれども技巧ばかりが目立つというのは日本側の責任か? 引き合いに出すのも憚られるが『風櫃の少年』のような離島に暮らす若者の焦燥感が足りず、それが動機のはずの事件に帰結する必然性が感じられない。女の子がなぜ歌手あるいはダンサーになったのか、説明の必要はないが示唆は欲しかった。後半は高雄として、前半の舞台はどこ?やはり高雄だったの?高雄だとすると、そこを飛びだす=台湾離境になっちゃうし、そうじゃないとするとあまり離島には見えなかった。まさか、旗津ってわけはないよね。だったら笑える。海に沈んでいるものに所有権があるのは解せないな。戦艦大和も勝手に引き上げたりしちゃいけないんだろうか。
#50「Naiyaandi」 A. Sarkunam/2013/インド/Oct. 14/PVR Koramangala○
タミル語作品。Dhanush主演のコメディーということでモテモテ男が素朴な娘に惹かれていく話かと思っていたら、最初からベタな一目惚れ猛烈アタックものだった。相手役はNazriya Nazim(ケララ出身なので苗字がある)という若き日の轟夕起子を思わせる南部的なかわいこちゃんで、大物に将来なるかもしれない女優。前半でなんとかNazriyaちゃんのハートを射止めながら他の男と無理矢理結婚させられそうになり駆け落ち。後半はお互いの関係は隠しての潜伏生活。まあ例によって例のごとくの勘違いや妊娠騒動でドタバタだ。とはいえDhanushはダンサーであってもコメディアンではないので周りが頑張っていた。潜伏先のおっさんの耳毛の長さ、多さがギネス級だった。ストーリーとは無関係な海外でのItem Numberあり。現地の人をバックダンスに使っていた。これは普通なんだな。富山や大阪がダンスシーンしかなくても、まあしかたないってことだ。今回アクションシーンとかも含め見てて気がついたのは、Dhanushって李小龍に似ている。
#49「Ramayya Vasthavayya」Harish Shankar/2013/インド/Oct. 13/PVR Koramangala○
2週続けてテルグ語作品。主演はJr. NTR。Jr.というからにはNTRの息子なんだろな。と調べたらおじいさんがNTRで俳優かつAP州の元Chief Ministerらしい。サラブレッドだ。相手役は、先週も観たSamantha。人気なの? Wikiにプロットが載っていなかったのでぶっつけ鑑賞。前半はJr.のSamanthaへの猛アタック。Item Numberもたくさんあって、なかなか楽しい。と思っていたら話が急展開。突然Jr.が暴れ出し、何人も人を殺してしまう。そして休憩。そういえばこの作品はA Ratingだった。後半はJr.の回想が中心で、ヒロイン=Jr.の(昔の)恋人が『D-Day』で娼婦を演じていたShruti Haasanにチェンジ。それはいいのだけど、Jr.が復讐に至る事件の殺人シーンはかなり残酷でインド映画もここまでやるのかという新たな印象。映画評はかなり割れているようだけど、プロットも面白かったし僕は結構気に入った。しかし、殺人シーンはそっちのけで通路で騒ぐガキンチョには参った。A Ratingでもノーチェックなわけね。(幼児はいいのか。)
#48「Attarintiki Daredi」Trivikram Srinivas/2013/インド/Oct. 6/PVR Koramangala○
テルグ語作品を映画館で観るのははじめて。ボリウッドに比べ、絵が濃い、人が濃い。オープニングでラジニのごとく“POWER STAR”と紹介された主演のPawan Kalyanは何歳か知らないが、やはり濃かった。一応Wikiでストーリーは予習していったのだが、会話がまったくわからない。人名も聞き取れないので、予習結果との突き合わせもままならず。全体としては、勘当あり、記憶喪失ありのファミリーアフェアもので、クローズアップも多用されていて韓流ドラマのような感じ。途中Bhaskarとかいうおっさんが出てきてからは吉本新喜劇になった。というわけで、もっと硬派なドラマかと思っていたのに、ジャンルとしてはコメディーらしかった。Item Numberは何度かあって、人数は比較的少ないが、なかなか派手。スイスロケもあった。Samanthaなどの女優陣は可もなく不可もなくといった感じ。インターミッションが1分もなかった。それでもインドの観客は文句も言わずに、ペプシとポップコーンをもって帰ってくる。
#47「Rush」 Ron Howard/2013/米=独=英/Oct. 5/PVR Koramangala★
1976年のF1GP。日本もとても盛り上がっていて、ケンメリGT-Rだ、240ZGだと友達とクルマで騒いでいた僕もにわかファンになった。中でもマクラーレンの11番、ジェームズ・ハントのファンだった。いやあ本人はともかく、赤いマシンがかっこよかった。赤で11番といえばカープの池谷も当時ファンだった。それはともかく、本作はまさにジェームズ・ハントとそのライバル、ニキ・ラウダの伝記映画。記録映像をどこまで使っているのかはよくわからなかったけど、リアルで大迫力。こういうのにSFXを使うのはいいね。派手なイギリス人ハントと、真面目なオーストリア人ラウダの、常に死と対峙しながらのレースは、ラウダの大事故で急展開。そして富士スピードウェイでのGP最終戦。テレビで見たと思うけど、よく思い出せなかった orz。などなど、ひとり盛り上がったのでおまけで★。ラウダの事故、火傷、治療のシーンで気分が悪くなったらしい女の子が通路に倒れ、少々騒ぎ。しかし、もうモータースポーツの時代じゃないよね。
#46「Besharam」 Abhinav Kashyap/2013/インド/Oct. 2/PVR Koramangala
日曜と祝日に映画を観に行くとお子ちゃまが騒いで賑やかなインド。でも本作は映画自体が賑やかな分、ほとんど気にならなかった。Ranbir Kapoorは僕の知る限り、ダンスが一番うまい。のは認めるが、作品ははっきり言って詰まらなかった。『Chennai Express』の方が10倍はいい。相手役のPallavi Shardaも悪くはないけど。まあ唯一の目玉はRishi KapoorとNeetu Singhが出ての親子共演かな。踊ってたし、夫婦漫才もやってたし。Item Numberはさすがに派手。派手はいいのだが、Item Numberが突然入って、終わるとシーンが脈絡なく転換するのに大きな違和感を感じた。街中のダンスで背景に映る観覧車が異様に速く回転していたのはわざとなのか、早送りの効果なのか。せっかくデリーからドライブしてチャンディガールに行くのに、コルビュジエ建築は出てこず。さらにダメダメ度が増した。そんなこんなで、話題作はとりあえず観るという姿勢にはひとまず区切りを付けたいが、まだ観ていないスターもいるしなあ…。
#45「Local Kung Fu」Kenny Basumatary/2013/インド/Sep. 28/PVR Phoenix Market Mall○
アッサム語作品。そんなの理解できるわけがない、と思ったら英語字幕付で助かった。Rs. 95,000というマイクロ予算でつくられたカンフー・コメディー。インド映画でカンフーというのは意表をついているが、舞台は背景の大きな河が印象的なGuwahatiで、ひとはタイ人とか中国人に近い人種なので違和感なし。主演は監督自身、他のキャストは多くがDeori姓で監督の母方の一族らしい。おじいちゃんの竿さばきが素晴らしかった。話はチンピラグループと彼らに目を付けられた少年、それぞれの兄が戦うもので、小学校対面にリカーショップをオープンさせようようと画策するチンピラ兄(強い)、少年兄(強くなる)のガールフレンドが絡んできて、最後の決戦に向かう。詠春拳を操る少年兄=監督は本郷功次郞に似ていた。葉問のように木人相手に練習。ワイヤーアクションなしという謳い文句は伊達じゃない迫力だった。まあ10万ルピーでそんなもの使えるわけないが。スローモーション多用は、他の映画同様のマイナスポイント。
#44「North 24 Kaatham」Anil Radhakrishnan Menon/2013/インド/Sep. 22/CineMAX Central Mall○
マラヤラム語作品。またロードムーヴィーだ。ケララ州のどこか(Cochin?)に住むEmbedded FPGA Architectの青年Hariが出張でTrivandrumに向かう途中でアクシデントに遭う。列車の同じコンパートメントに乗り合わせたじいさんと女の子の三人が列車を降り、携帯電話も持たずにそれぞれの目的地を一緒に目指す。自然の美しさとか珍しい種族の風俗とかをフィーチャーするような観光映画ではなく、潔癖症でかつ自閉症っぽいHariがこの旅程で徐々に心を開いていく過程が主題である。ある閉ざされた環境に男と女がいれば、質に関係なく互いに惹かれ合う確率はぐんと上がるのは間違いない。この女の子も普通だったけど、自然に彼らは近づいていったのだった。それに反比例するように、青年の潔癖症が徐々に軟化していくのも既定路線。でも、面白かったよ。じいさんが目的地(自宅?)で奥さん(?)の遺体と対面するとき、ソ連国旗のようなものをかけていた。共産党が強いと言われるケララ州ならではのエピソードである。
#43「The Lunchbox」Ritesh Batra/2013/インド/Sep. 21/PVR Koramangala○
え、監督は李安じゃないの?と思ってしまうような、Dharma Productions作品。ヒンディーがわかれば★付けたかもしれない。定年までひと月の公務員(?)、Irrfan Khan主演の弁当文通映画。ムンバイの電車・バス通勤の様子がわかって面白かったし、ストーリーを進めるツールになっている弁当配達サービスも興味深かった。残念ながらお弁当の中身(料理)をじっくり見せることはなかったが、思いがけなく始まった人妻との文通でのときめきとか、自分の後継者と心を通わせ始める過程とかの描写がなかなかよかった。終わらせ方も普通のインド映画とは一線を画す。Irrfan Khanに弁当をつくり手紙を書く人妻を演じたNimrat Kaurはナチュラルな美人だった。普段はビンディーを付けていたのに、父親が亡くなって実家に駆けつけたときには付けていなかった。そういうものなんだろうか。ムンバイの電車、ドアを開けたまま走るんだ。ドアからはみ出している乗客、落ちたりしないのか心配だ。ぜひ、字幕付きでまた観たい。
#42「Phata Poster Nikhla Hero」Rajkumar Santoshi/2013/インド/Sep. 21/PVR Koramangala
Akshay KumarへのSpecial ThanksとSalman Khanの特別出演があった。IMAXシアターでのデラックスな上映。開映前にわざわざ“この作品はIMAXではない”と注意書きが出たのに感心した。冒頭で“警察を尊敬している”と出たのには笑った。(客席は誰も笑っていなかった。) どこかで観たような…、もしかして澳門でIIFAの司会してたShahid Kapoor主演のドタバタコメディー。またまたスーパーコップもの、と言っても差し支えないと思う。最初はインド版『一人息子』かと思って観ていたら、新事実がヒンディーでどんどん明らかにされて目まぐるしく状況が変わるので、付いていけなかった。そもそも俳優志望のShahid Kapoorがなぜあんなに強いのか理解できない。Shahid Kapoorの相手役だったIleana D'Cruzは『Barfi!』でRanbir Kapoorの憧れのひとを演じていた美人女優。同作ではPriyanka Chopraがいたので扱いはやや下だった。主役の相手役なのに今回も前面に出てくる場面は少ないコメディエンヌに終わった感。
#41「John Day」Ahishor Solomon/2013/インド/Sep. 14/PVR Koramangala○
A Ratedのバイオレンス作品。娘を失い、妻を植物人間にされた壮年銀行マンの復讐物語。前半は(例によってヒンディーが理解できないため)プロットがよくわからず置いて行かれそうになったが、インターミッション後、俄然面白くなった。まずNaseeruddin Shah演じる銀行マンJohn Dayのタフさ。昔サッカーをやっていたらしく、走るわ走るわ、追い込まれると、猫に追い詰められた鼠のごとく相手に襲いかかり頸動脈を噛み切って殺してしまう。バッド元ルーテナントのRandeep Hoodaも、男の舌を噛み切って対抗。映画はこのクレイジーな二人の対決に向け突き進む。背景にあるのは日活アクションや東映やくざもの並みの土地絡みの陰謀で、その陰謀にまつわる書類を複数の組織が争奪戦。この部分が弱い。なんだか説得力に欠ける。というわけで、前出のふたりの対決を楽しむのが本作の正しい見方である。女優もたいしたのが出てないしね。舞台はムンバイ。ボリウッド映画にはやはりお手軽だからかな? いいけど、ちょいと飽きてきた。
#40「Lucia」Pawan Kumar/2013/インド/Sep. 8/PVR Koramangala★
久々のカンナダ語作品。舞台はバンガロール。映画館で客案内係をしている不眠症の男がLuciaという睡眠薬を手に入れて、自分の思い通りの夢を見られるようになり、その夢では人気俳優で好きな女優と共演できる。こう書くとたいしたことなさそうだけど、いやいやなかなか。現実、夢のスレッドが4本くらいあって、それを行ったり来たり。London Indian Film Festivalで観客賞を獲ったというが、確かにインドより欧州、日本などで受けそうな感じだ。映画祭出品作のため英語字幕が付いていたのがとても助かった。ラスト近くでわかるトリックに唸る。やるじゃんSandalwood。主人公の男はNeenasam Satish。有名なコメディアンらしい。相手役で、モノクロの“夢”の中では女優、カラーの“現実”ではウェイトレスなのはShruthi Hariharan。このひと、なかなかいい。最初に出てくる小林政広似のおっさんはキーパーソンなのかと思ったらただの脇役だった。バンガロールなのに、ひとつも場所がわからなかったのは無念。
#39「Zanjeer」Apoorva Lakhia/2013/インド/Sep. 7/PVR Koramangala○
Amitabh Bachchan主演同名作(1973)のリメイク。主演はRam Charan。二世俳優でお父さんはいまは中央政界にいるらしい。話はまたまたスーパーコップもので(インド人、なんでそんなに警察が好きなの?)、ムンバイを舞台にPrakash Raj率いるOil Mafiaを殲滅する。暴力バリバリなのだが、停職になってもまったくそれを感じさせない暴れん坊ぶりには呆れた。相手役にPriyanka Chopra。好みじゃないけど、土着性と愛嬌が感じられて好感が持てる女優だ。そのPriyanka ChopraとPrakash Rajのファッション対決を楽しむべし。本作にはテルグ語版もあるらしいけど、このヒンディー語版では刑務所行き直前のSanjay Duttが出演。登場時の派手な音楽がプロレスみたいだ。もちろん主役とは対等でなくてはならない。しかし、ダンスはしょぼい。港町を舞台にしているとか、祭の実写が入る(有名らしいムンバイのガネーシャ祭)とか、キャバレーのダンス(残念ながら白木マリではない)とか、主役の赤木圭一郎っぽさとかが日活アクションを想起させた。
#38「Shuddh Desi Romance」Maneesh Sharma/2013/インド/Sep. 7/PVR Koramangala○
Kai Po Che』のSushant Singh Rajput主演の恋愛ドタバタコメディー。結婚式を逃げ出したり逃げ出されたり、なかなか面白いプロットだった。舞台はJaipur。観光地だからか、ロケがほとんどで、街の音がたくさん聞こえてくるのがいい。三角関係や会話と食事シーンがたくさんあるところなどはホン・サンスに通じるものがあるのだが、あの境地にはまだ遠い。まあ主人公がイケメン過ぎだしね。女性二人はまあまあ。Parineeti Chopraの方がいい。たまに入る登場人物がキャメラに向かって話すパートは、自分が意味がわからないこともあるが、不要じゃないかな。伯父さん役のRishi Kapoorは遠藤辰雄に似てたよ。エンディングクレジットが始まってみんなが立ち上がっても、ダンスシーンがあったので今回は頑張って最後まで観た。最後まで観る客も結構いるね。本篇開始前とインターミッションの二度、今年のクリスマス作品、Aamir Khan/Katrina Kaifの『Dhoom 3』の予告篇がかかった。なぜか一度目だけ観客が盛り上がった。
#37「Satyagraha」Prakash Jha/2013/インド/Sep. 1/PVR Ambience Mall○
グルガオンに遠征中の鑑賞。同じPVRだからか、見せられるCMはバンガロールとあまり変わらなかった。主演はBathtub Bocchanこと、Amitabh Bachchan。主演映画を観るのははじめてだ。脇にAjay Devgn、Kareena Kapoor、Arjun Rampal。Ajay Devgnはただのマッチョ俳優かと以前は思ってたけど、『Once upon a Time in Mumbai』とか本作とか、結構インテリ?役なんだな。Kareena Kapoorはやはりまったくどこがいいのかわからない。小林幸子顔に変なアイライン。Saif Ali Khanは後悔していないんだろうか? Arjun Rampalは客寄せパンダかな? いなくてもよかったような気がするのは気のせいだろうか。ストーリーはシリアスな、インド映画では定番の政治の腐敗糾弾もの。シリアスながら、一応Item Songが何度かあるのが興味深い。見る限り、サービスショットとも思えない。悪役政治家のかつらが気になった。最後にAjay Devgnがこいつの悪を曝くときに、一緒にかつらをひんむくシーンを期待していたのだけど、なかった。
#36「Madras Cafe」Shoojit Sircar/2013/インド/Aug. 25/PVR Koramangala○
シンハラ人とタミル人のスリランカ内戦に介入したインド軍の少佐(John Abraham)の回顧物語。インドから派遣の平和維持軍とLTFの戦い、インド元首相(ラジーヴ・ガンディー)の暗殺自爆テロ。硬派である。歌と踊りも、恋愛もこれっぽっちもない。関連するタミル・ナドゥ州でも公開は許可されたものの、テロを恐れて映画館が上映を自粛している。一応フィクションということになっているが、少佐以外の登場人物はモデルがいるらしい。スリランカ内戦についても勉強しないといけないな。前半は少佐がRAWに言われてスリランカに行きLTF幹部を狙う話で反対に奥さんが殺されてしまう。後半は元首相暗殺を察知しながら結局阻止できない。アル中になってしまった少佐は暗殺阻止失敗を盛んに悔いていたが、もう少し奥さんの死に拘ってもいい気がした。ところで、Madras Cafeがチェンナイにあるとはさすがに思っていなかったが、シンガポールというのも思ってもみなかった。実在したりしてね。
#35「Once Upon Ay Time In Mumbai Dobaara!」Milan Luthria/2013/インド/Aug. 15/PVR Koramangala○
見応えのあった前作はBDで予習しながら、本作の中身はチェックせずに公開初日、Independence Dayに鑑賞。チケットカウンター前が尋常でなく混んでいたが、ほとんどが『Chennai Express』の客らしく、劇場内は1/4程度の入り。続篇によくある代替わり物で、今回の若造はImran Khan。前作でEmraan Hashmiが演じていた若造ShoiabはAkshay Kumarが演じる親分になった。東映なら鉄砲玉・渡瀬恒彦と組長・小林旭って感じだな。このふたりはよかった。ヒロインのSonakshi Sinha(この人もよく見るな)も悪くない。でも実のところ、映画としては期待したほどのデキではない。おそらく、SohiabのJasmineへの絡み方が中途半端だからではなかろうか。また、前作でも使われていた曲はいいのだけど、俳優の台詞に合わせたサウンドイフェクトが最悪。台湾のTVバラエティ番組じゃないんだからさ。最後、Shoiabの死が明確に示されないことから、第3作も計画されているのだろう。そうそう、Vidya Balanがちらっと出てきたのを見逃さなかったぞ。
#34「Neelakasham Pachakadal Chuvanna Bhoomi」Sameer Thahir/2013/インド/Aug. 11/Galaxy Paradise○
マラヤラム映画専門館にて、はじめてのマラヤラム語作品鑑賞。なんて長い題名なんだ。しかも、意味が全くわからない。男ふたりがバイクに乗ってケララからナガランドのコヒマーまで駆けるインド南北縦断ロードムーヴィー。一瞬だけどバンガロールも出てきた。ムスリムの家族から恋人(Surja Bala Hijam)を認められなかった青年(Dulquer Salmaan)が、故郷に帰ってしまった彼女に親友と共に会いに行く行程で、いくつかのエピソードが語られる。ケララを出るとローカルとの対話はヒンディーか英語になって、字幕が付く。景色がどんどん変わる。人種も変わる。インドって広いなあ。と思いながらも、映画自体は無国籍な、ときに『イージーライダー』のような、ときに王家衛のような多彩な表情を見せ、監督がよく映画を観ていることが窺えた。何人かキーとなる女性が出てくるけど、サーファーの女の子(Paloma Monappa)が普通にかわいかった。Surja Bala Hijamはちあきを連想させて、不思議感が滲んできたのは気の毒だった。
#33「Chennai Express」Rohit Shetty/2013/インド/Aug. 9/PVR Koramangala○
EID休みに公開の、スーパースターShah Rukh Khanと人気絶頂Deepika Padukone主演作品。初日は当然満席。巻き込まれ型ストーリーで、SRKが許嫁から逃げ出したDeepikaちゃんと最後にハッピーエンド。話はオーソドックスなくせに、とにかく派手だ。Item Numberはいいけど、SFX(死語?)を使いすぎだと思う。ヒンズー語はまだわからないので、雰囲気と時折挟まれる英語で筋を追っていくのだが、ポイントのひとつであるヒンズー語話者とタミル語話者とのミスコミュニケーションの面白みが理解できなかったのは残念だった。ちなみにSRKの(英語の)口癖は、“Don't underestimate the power of a common man.” ふたりの逃避行中、Rameshwaramという街がわざわざスーパー入りで出てきた。スリランカに一番近いところ。観光地なんだろうな。Deepika Padukoneはやはり美人。Sonam Kapoorには負けるけど、愛嬌があるし踊れるから得だね。本篇終了後におまけで主演ふたりのRajinikanthトリビュートダンスあり。早く来い来いラジニの新作。
#32「Love in Bombay」Joy Mukherjee/1971/インド/Aug. 3/PVR Phoenix Market City○
製作は1971年だが公開されず、監督の死後、2013年に初公開。保存状態が酷かったらしく、部分的にかなり修復の跡あり。褪色した映像や音声の酷さには眼をつむり、内容について。確かにお蔵入りが納得できる破天荒な作品だった。ラブストーリーかと思われたが、さにあらずコメディ。しかもドリフ。船が難破して辿り着いた島には、昭和の日本人がもっていた“土人”イメージそのままの原住民が出てくるし、主役の男の相棒のCheetaという馬は擬人化していて何度も男を助ける。42年前のItem Numberはかなり質素ではあるが、現在のものに連なる系譜であることは間違いない。肌見せはかなり制限されていたようだ。一方で対女性、対動物の暴力がひどい。往年のインドの側面を見たような気がした。ボンベイの街のスクリーン・プロセスが貴重か。女主人公Prettyのお父さんが田崎潤そっくりだったよ。『モスコーの夜は更けて』のメロディがラストシーンでかかる。たばこのシーンがあるのに“Tobacco use leads cancer”のビデオが上映前になかった。
#31「Maryan」Bharat Bala/2013/インド/Jul. 27/PVR Koramangala○
Raanjhanaa』でSonam Kapoorを追いかけていたDhanush主演のタミル語映画。かわい子ちゃん系のParvathi Menonとの恋愛映画と思って観ていたら、途中からとんでもない展開に。おお、これは面白い。オヤジの借金のカタに恋人を獲られそうになった漁師(Dhanush)が、自分がアフリカで働くことにしその前金で借金を肩代わりし恋人を救う(タミル語がわからないので、ここまで想像)。そのアフリカでタクシーに乗っているとき盗賊に誘拐されてしまい、そのクレイジーな盗賊からの逃避行。延々と砂漠を彷徨う。タンタンみたいに相棒のミルゥはいないしデュポンらのジープは来ない。辿り着いたのは、慣れ親しんだ海。追っ手との攻守交代である。最後は故郷に帰り恋人に再会しめでたしめでたし。実話に基づいているらしいが、うまく脚本を仕上げたものだ。漁村のItem Numberもなかなかよかった。Dhanushはダンスうまいね。音楽はA.R. Rahman。クレジットを見ていたらSingersにも名前があった。あの顔で、唄うのか。
#30「The Wolverine」James Mangold/2013/米/Jul. 27/PVR Koramangala○
アメリカンコミックヒーローもの。有名らしいので、映画内でこの主人公についての説明はない。僕はウルヴァリンについてはまったく知らないので、第二次世界大戦時と現在でなぜ主人公の年齢が同じに見えるのかとか最初理解できず、ちょいと困った。終盤に侍型ロボット(実はアンドロイド)が出てきたときには、唖然とした。主要な舞台は日本。東京と長崎とどこか温泉地みたいなところ。長崎での原爆投下シーンあり。ちょっと原爆っぽくなかったれど。不死身の主人公ローガンを演じているのはHugh Jackman。その恋人ヤシダマリコ役に岡本多緒。って誰?スレンダーななかなかいい感じの女優、と思ったらモデルなんですね。なるほど。疾走する新幹線の屋根での格闘が笑える。おいおいさすがにそれは無理でしょう。ローガンは300miles/hourなんて言ってたけど、それじゃ上海のリニアモーターカーより速いぞ。しかし、日本といえばいまでも、ハラキリ、サムライ、ニンジャなんだな。テンプラやゲイシャは出てこなかったけどね。
#29「D-Day」Nikhil Advani/2013/インド/Jul. 20/PVR Koramangala○
インドにはアメリカのFBIに対応するCBIという組織があるが、同様にCIAに対応するRAW (Research and Analysis Wing)という組織があって、海外、特に対パキスタン、対中国の諜報活動をしているらしい。本作はRAWの諜報員4人がパキスタンのカラチにいるテロリストを捕らえようとする話。冒頭でテロリストを捕らえるシーンを見せた後でその40日前に遡りそこまでの経緯を追う前半と、テロリストを捕らえた後未知の結末まで引っ張る後半の組み合わせが、なかなか憎い。主な舞台はカラチ。もちろん現地で撮れるわけがないので、アーメダバードで撮影したらしい。本作にItem Numberはない。歌と踊りのない映画も結構あって、かなり受け入れられていると認識。4人のリーダーを演じるのはArjun Rampal。他にIrrfan Khan (どうやら最近Khanを取ったらしい)。4人の紅一点Zoya役はHuma Qureshiというちょいとイザベル・アジャーニ似の女優。でもこっちより娼婦役のShruti Haasanがきれいだったよ。安藤昇みたいな瑕つけて。
#28「Bhaag Milkha Bhaag」Rakeysh Omprakash Mehra/2013/インド/Jul. 14/PVR Koramangala○
インドの陸上選手Milkha Singhの伝記的映画。僕は知らないけど400mでやたら速かった人らしい。映画は1960年のローマオリンピックでメダルを取れなかったところから始まる。途中、現パキスタンの故郷の話、両親を亡くしてからの少年時代、Sonam Kapoorに出会う話、改心して軍隊に入る話、1956年のメルボルンオリンピック、1958年のアジア大会(東京開催)の話、と続く。アジア大会シーンでの金メダル獲得後のインタビュアーの日本人はどこかで見たことがあるような気がするな。肝腎のSonam Kapoorは前半ちょっぴりしか出てこず、いささか残念。軍隊に入ってからItem Numberがある。当然男だけで、華はないがノリはよかった。またPrakash Rajが出てたよ。軍隊の鬼教官役。また、といえば『Gippi』や『Lootera』に出てたDivya Duttaもまた出てた。本作ではMilkhaのお姉さん役。貴重なミドルエイジ役なんだろうな。ナショナリズム映画ではなく、安堵。しかし、本篇3時間もあるし、インターミッションも長かったな。
#27「Lootera」 Vikramaditya Motwane/2013/インド/Jul. 7/PVR Koramangala○
誰でも知ってるO. Henryの“最後の一葉”を翻案したという、1950年代を舞台としたラブロマンスもの。Item Numberは一切ない。オトナの映画だと思うが、なぜか客席はお子ちゃま連れのファミリーがいっぱい。謎だ。休憩時間、隣に座っていた男の子に知り合いらしいおじさんが声をかけたところ“Boring”と答えていた。子供には退屈だったかもしれないが、この作品はなかなか楽しめた。大地主の館を舞台とした華やかな前半と、雪の中の犯罪逃亡劇に転換する後半の対比がいい。主演のSonakshi Sinhaは『Dabangg』シリーズでSalman Khanの奥さんを演じている女優。あまり美人ではないが、怒ったときの顔が魅力的である。病気持ちのお転婆娘が、恋人に裏切られ、家は落ちぶれ、父親を亡くし、人生への希望を失っていたところへ、元恋人が突然現れる。メロドラマである。九份みたいな坂の町で展開する元恋人に対する警察の迫力ある追跡。サスペンスである。インド映画も、歌と踊りだけじゃないということがだんだんわかってきたぞ。
#26「Policegiri」 K.S. Ravikumar/2013/インド/Jul. 7/PVR Koramangala
Salman Khanの『Dabangg』シリーズ(うちで『Dabangg 2』のみ鑑賞済)と同様のスーパーコップもの。悪役も2と同じ俳優(Prakash Raj)なので、どうしても雰囲気が似てきてしまう。主演はSanjay Duttというおっさん。“Combo, buy one, get one free.”が口癖。オープニングから凄まじい怪力ぶりを見せるが、重力無視のかなりいい加減なCG合成を多用していて、“もっと体張れよ”と言いたくなってしまう。この勝負はSalman Khanの勝ちだな。ただし、ヒロインのPrachi Desaiという女優はとっても美人でここんとこはこっちの勝ち。インド、美人多いです。主人公は警官のくせに、相手が悪人とはいえ容赦なくバンバン殺してしまう。これがインドのモラルか? その割には喫煙シーンはまったくないし、King Fisherのラベルにもぼかしが入っていた。携帯電話爆弾で死んでしまう少年は『Bombay Talkies』のKatrina Kaif少年じゃないかな? 天才子役か? 警察署前の道路に(ドラえもんの)ジャイアンの巨大広告が見えていた。
#25「Ghanchakkar」 Raj Kumar Gupta/2013/インド/Jun. 30/PVR Koramangala○
予習なしで観に行った。錠前破りの男が銀行強盗に加担し大金を手に入れるもののなぜか都合よく記憶喪失にかかって金の隠し場所を忘れ、仲間とバタバタする話。オチはまあ普通だけど、終わり方はシニカル。男の奥さんは太ってて(といってもインド女性にはよくある体型)ど派手で料理が下手。メインストーリーには大きく絡まずコメディリリーフ役である。かわいい娘が出ないこともあって誰にも感情移入できないし、全体として娯楽映画としては失敗していると思う。けれども映画作りとしてはなかなかおもしろかった。娯楽映画なのにItem Numberが一切ない、同じシーンを繰り返しながら物語を組み立てる映画の定石をフォローしている、登場人物がきわめて少ない、等々。舞台はムンバイだと思うけど、それはたまたまそこだというだけ。それにつけても、ヒンズー語がわからないのは辛い。最後に出てきて主要登場人物をすべて撃ってしまう男は何者なのだ? ちなみに、映画館のロビーに『Chennai Express』の宣伝ボードが登場していた。
#24「Raanjhanaa」Anand L. Rai/2013/インド/Jun. 23/PVR Koramangala○
そういえばこの作品にはSonam Kapoorが出ているのだった。観に行ってよかった。彼女の写真はいろいろなところで見かけるのだけど、いちいち印象が違うので一度スクリーンで確認したいと思っていた。期待とは少し違ったけど、やはり超絶美人だ。“印度の原節子”と勝手に命名する。ヒンズー教徒の青年とイスラム教徒の女性のかなわぬ恋愛は、『ロミオとジュリエット』といった風情。序盤の学生時代のSonam Kapoorの制服姿は、彼女の大人っぽさにまったく不似合いで苦笑いした。舞台はガンジス川が流れるバラナシ。なるほど、これがガンジス川か。その悠然とした流れを背景にした人生模様に、ちらっと章明とか思い出しちゃったよ。こっちがずっと派手だけど。前半と後半でかなり展開が異なっていて、特に政治色の強い後半は何が起こっているのかヒンズー語がわからない者にはわからない仕様だった。真面目に見えるシーンで観客が大笑いするし、拍手もたくさん起こっていた。Item Numberは控えめ。音楽はあのA.R.Rahmanだった。
#23「Yeh Jawaani Hai Deewani」Ayan Mukerji/2013/インド/Jun. 16/PVR Koramangala○
Ranbir KapoorとDeepika Padukoneがコンビの大ヒット作品。インドに来てはじめて劇場が満席だった。Deepika Padukoneはバンガロール出身の美人ボリウッド女優。堅物であることを象徴する、大きな眼がはみ出す眼鏡が似合わない。彼女の衣装の替わること替わること。登山であんなに着替えがあるはずがないし、そもそもなんで登山にスカートで行くのだ?最初着ていたフラミンゴのワンピースがかわいかった。本作のItem Numberはいままで観てきたものよりレベルが高かった。派手さの勝負ではなく、マッチョ系俳優より動きが軽やかということだろうか。Ranbir Kapoorだけがパリに行っていてずるいな。二人の友人が結婚式を挙げる、立派なお城のある水辺の町はどこなんだろうと調べたらUdaipurというラジャスタン州の内陸。出てくる車がHR(ハリヤナ州)ナンバーだったけど、隣の州だからまあおかしくはないな。ホーリーのシーンあり。あれ、洗濯したらきれいになるのかね?
#22「Theeya Velai Seiyyanum Kumaru」Sundar C./2013/インド/Jun. 16/PVR Koramangala○
タミル語作品をインドで観るのははじめて。『Chashme Baddoor』に出ていたSiddharthが主役のラブコメ。舞台はチェンナイのIT企業。Siddharth演じるKumarが勤めるそのIT企業にヒロインHansika Motwaniが入社してきて、エリート社員と恋のさや当てをするという紋切りストーリー。Item Numberのいくつかがストーリーとはまったく無関係の富山県でロケされている。なぜ日本?なぜ富山?謎である。Item NumberのシーンはKumarの夢想と思われるが、そうするにはKumarが富山のことを知っていなければならない。観客はそこがどこかノーアイデアに違いない。こっちだってタミル語がまったくわからないのでおあいこだ。予算の関係だろう、バックダンサーは現地調達。ボリウッド(コリウッドか)ダンスはむずかしいので、ダンスとも呼べないようなアクションをやらされていた。話は元々つまらないが、会話が分からないので細部が掴めず、もっとつまらなかった。チェンナイ駅やチェンナイ空港が登場。ヒロインは若いのにもうでっぷり腹だった。
#21「金環蝕」清水宏/1934/松竹キネマ/Jun. 8/フィルムセンター○
うちに録画したDVD-Rがあると思うけどそれだけで安心して観ていない作品を最近すっかりごぶさたしていた暇人じじばばの巣窟で。話は原作のある、すれ違う男(藤井貢)と女(川崎弘子)のメロドラマである。はっきり言ってこの二人にはなんの思い入れもないが、本作は桑野通子ミッチー・デビュー映画として名高い。おそらく。政治家の娘として我が儘にふるまうモガ鞆音ちゃんはぴったりの役柄。アップショットがないので左奥上にあるはずの銀歯は確認できなかったものの、とにかくキュート。彼女の登場シーンだけで満足できるが、もちろん清水の演出は手堅く、なぜかおとなしい突貫小僧もちらっと存在感をみせていた。一方、クレジットにはある三宅邦子や忍節子が確認できなかったのは不覚であった。与党党首が下野したからといって家まで貧乏になるのが現代からみると不思議なところ。それがあの頃の政治の実態だったのだろう。サウンド版で、江戸川蘭子が唄っているのが興味深い。
#20「日も月も」中村登/1969/松竹/Jun. 7/神保町シアター○
原作、川端康成。これだけで、ドロドロした愛憎劇を期待してしまうが、ちゃんとそれに応えた中村登の佳作。主人公・岩下志麻の相手役の兄弟、中山仁+石坂浩二のTVドラマ組はしょぼいのだけど、父親は森雅之、母親は久我美子と堂々たる布陣で、特に久我美子のダメ女ぶりは同じ川端原作で鎌倉映画の『千羽鶴』の若尾ちゃんには遠く及ばないものの、彼女の新たな面を見させてもらった。あと、やはりTV組の大空真弓も中山仁のいじわる妻役で頑張っていた。まあでもね、キャストでいえば何といっても笠智衆。何処に行っても笠智衆。何を演っても笠智衆。若いお嫁さんをもらっても老人。いいなあ。笠智衆の家は由比ヶ浜か長谷辺りだろうか。確かにいまでもあの辺りは電車から他人の家が覗ける。ところで本作は鎌倉の他に、東京のブリヂストン美術館、そして京都が重要な位置づけで登場する。光悦寺には行ったことがない。北鎌倉の口悦ならあるけど。それはともかく、京都に最後に行ったのはいつだっただろう? 今度、行こうっと。
#19「グランド・マスター」王家衛/2013/香港=中=仏/Jun. 7/TOHOシネマズ日劇Screen 3★
王家衛、待望の新作はカンフーもの。あの葉問が主人公で、これを常連の梁朝偉が演じる。なんだか武侠ものの『東邪西毒』を連想してしまうが、時代は第2次大戦を挟んだ20年間程度なので『花様年華』のようでもあり、王家衛によくある悲恋物語で、李小龍や成龍や李連杰や甄子丹のようなカンフーが見せ場の作品では断じてない。もちろん葉問だからむちゃくちゃ強いのだけど、梁朝偉が演じると詠春拳でも眼力で相手を倒しているようだ。相変わらずスローモーションを多用するもののぶれない端正なキャメラワークは好印象。悲恋の相手は章子怡。このキャスティングはいまひとつの感。章子怡には華がないんだよな。張震には髪がない。まあ、それなりに歳もとったようなので相応といえるかもしれないが。國民党の工作員から香港で八極拳の流派をもつようになる彼のサイドストーリーは、王家衛らしくわかりにくい。袁和平が最後に特別出演するのは、王家衛らしくないサービス精神に思える。とにかく、久しぶりの王家衛を堪能した。
#18「Ishkq in Paris」Prem Raj/2013/インド/May 25/PVR Koramangala○
パリを舞台とした『恋人までの距離』みたいな感じで前半は進行するボーイミーツガールストーリー。なのだけど、そこはボリウッド、しっかり、といってもストーリーにはうまく沿わせた形でItem Numberも入ります。なんと、イザベル・アジャーニが特別出演で、主人公Ishkqの母親役。もうこの頃の彼女は恐くて凝視できない。浅丘ルリ子を連想する。Ishkqはインド人との混血という設定なので、イザベル・アジャーニもヒンズー語を一部喋ってた。話自体はたわいもない。パリ観光映画としても物足りない。おそらく20代半ばと思われるIshkqのくるくる替わるファッションはパリを意識しているのだろうけど、あのバストで赤いタータンチェックのミニスカートに丸襟のブラウスなんつーのはちょっと犯罪的ですらある。二人目の特別出演はSalman Kahn。結婚披露宴の特別ゲストというほんとにそれだけの出演で、バリバリ踊ってた。封切りから2日目の土曜日で第1回目の上映なのに、僕を入れて4人しか観客がいなかった。
#17「The Great Gatsby」Baz Luhrmann/2013/米=豪/May 19/PVR Koramangala○
『華麗なるギャツビー』といえばロバート・レッドフォード、単にギャツビーといえば松田優作だ。なのに、ロバート・レッドフォード版を観た記憶がない。原作のペーパーバックをもっているけど、読破した記憶もない。それはともかく、先日カンヌにも行っていた、ボリウッドの重鎮、Big. BことAmitabh Bachchanが出演。なかなかの存在感だった。肝腎のギャツビー役はレオナルド熊、じゃなくてディカプリオ。この人も最近よく見るな。パラノイア的役柄には合っているのでは? Daisy役のCarey Mulliganというイギリス女優は美人ではないけど透明感があってよかった。一方、大恐慌前のバブル・狂乱をこれでもかというくらい誇張した描写にはウンザリした。本当はもっと渋かったんじゃないかなあ。何故この題材で3Dなのかさっぱりわからなかった。3Dグラス、重くていやなんだよ。映画が始まったら英語字幕が出てきて、びっくりした。そういう上映もあるんだな、Old sport。
#16「Bombay Talkies」Karan Johar, Dibakar Banerjee, Zoya Akhtar, Anurag Kashyap/2013/インド/May 11/PVR Koramangala○
ヒンズー語作品。インド映画100周年記念の4作オムニバス。ちょいとこれまでのインド映画にはないテイスト、アート系の香りがする。そういう監督陣なんだろうか。(まだまだインドの映画監督を見わける解像度がない) そもそも1作30分足らずで作品を完結できるということがこの国では驚異的だ。ただし、第4話『Murabba』終了後に始まる、Deepika PadukoneからSRKまでの豪華出演陣のおまけ映像(?)はまんまボリウッド。Bombay Talkies♪ その他、第3話『Sheila Ki Jawaani』にKatrina Kaif、第4話にAmitabh Bachchanがそれぞれ本人役で出演。 第2話『Star』の評判がいいみたいだけど、僕は第3話の方が好きだな。主人公の男の子のダンスは最高だし、主人公のお姉ちゃんもかわいいし。第1話『Ajeeb Dastaan Hain Yeh』でのキーパーソン、唄う物乞いの女の子もよかったよ。歌が明らかな吹き替えだったのは残念だけどね。第3話まで子供が重要な役割を果たしていたので最後までそうかと思っていたら、その予想はしっかり外れた。
#15「Gippi」Sonam Nair/2013/インド/May 11/PVR Koramangala○
ヒンズー語作品。思春期の女の子が少し大人になるどこにでもありそうなお話。この主人公が太めで元気というのもよくある設定。舞台はどこかのミッション系International School。ここはスイスか?って感じの地方で、マンガちっくにするための設定か、あるいは本当にこんなところがインドにあるのかは不明。主人公Gippiとスリムでまあ美人で頭もよいけど性格悪い同級生が対立し、学園代表を決める選挙で対決する。ダイエットに苦労するところとか、女の子同士の会話とか、どこの国も同じだなあと感心する。違うのは、すぐに唄って踊るところか。まあ、それは映画だけの話だけど。太っちょの弟まで一丁前にボリウッドダンスを踊るのを見ると、負けてはおれんという気になるよ。家族でチョコレートケーキを食べるとき、みんなが手づかみで食べるのにいささかたじろいだ。あれが普通なんだろうか。とにかく、全体としてはそつなくできた映画だった。Gippiのつながり眉毛が気になった。
#14「Chashme Baddoor」David Dhawan/2013/インド/Apr. 21/INOX Magrath Road
ヒンズー語作品。いわゆるラブコメである。ムンバイに住む女の子が自分の部下に嫁がせようとする父親の許をバイクで逃げ出し、ゴアの叔父さんのとこに行く。バイクがゴアナンバーなのを気にしてはいけない。(ムンバイからゴアにミニバイクで行かないだろうから、現地で買ったということだろう。)ゴアには同じアパートに住む青年3人組がいて、いろいろあるけど一人とハッピーエンドを迎えるというストーリー。青年3人が職業として何をやって生計を立てているのかまったくわからない。まあ、オールドミスの大家さんに滞納している家賃を催促されているので、全員無職かもしれないな。一人のベッドサイドにラジニカーントのピンナップあり。どこでもスーパースターである。全体として女の子(Taapsee Pannu)に魅力がないので話に没入できない。舞台のゴアはビーチリゾートって感じ。インド洋もきれいだ。『インド夜想曲』のイメージとは違うが、一度は行ってみたいね。最近ビーチが禁酒になったと新聞で読んだけど。
#13「Simpallag Ond Love Story」Sunil Kumar/2013/インド/Apr. 6/PVR Koramangala
カンナダ語作品。題名からラブストーリーだと心構えはできるものの、内容はからっきし不明で観に行った。あに図らんや、ほとんど着いていけず玉砕。映像、サウンド、登場人物を眺めている限り、残念ながら直感的魅力も感じなかった。唯一、ベースストーリーの季節がモンスーンで、雨がしょっちゅう降るのがなかなかよかった。主演女優(Shwetha Srivatsav)の顔は恐すぎ。巷の評判は上々らしいので、主人公二人の会話がいいのだろう。ベースストーリーには、その二人の会話から派生する架空のストーリーが2,3挿入されるのだけど、すべてのストーリーは同じ二人で展開する。どういう流れで架空ストーリーが入ってきるのかもわからないのが悔しい。Item Numberと呼べるほどではないが一度だけそういう謎の中途半端なシーンがあった。2時間ちょっとで終了したのが救い。恋愛ものはやはり予習が必須だなあ。しかし、先日も思ったけどカンナダ語映画の映像にはどこかしら'80年代の匂いがする。きょうのは香港というより台湾だった。
#12「Django Unchained」Quentin Tarantino/2012/米/Mar. 24/PVR Koramangala○
日本より遅れて公開のインドでは、A Ratingで18禁。まああれだけ血と暴力が出れば多少の規制はしかたあるまい。オリジナルの『ジャンゴ』を観たのはスカパーだと思うけど、のっけから“ジャンゴ〜♪”と懐かしいメロディでごきげん。タラちゃんらしい作品づくりで堪能した。フランコ・ネロとの会話なんて最高だね。キャンディ妹が殺されるときのぶっ飛び方に大笑いした。奴隷解放前夜のディープ・サウスを舞台にした黒人の反撃を描いたというより、ひとりの男が妻を奪い返すため無敵の強さで突き進むアメリカ的ヒーローものとしてカテゴライズしておきたい。白人が観たら微妙かもしれないけど。レオナルド・ディカプリオが楽しそうに悪役を演じていたね。さて、きょうは料金250ルピーのところ500ルピー札を出すと、“おつりがない、映画が終わったらね”と窓口で言われた。終わってから行くとやはりまだなくて10分くらい待たされた。インドの“おつりない”攻撃はまったく困ったものだ。
#11「Topiwaala」MG Srinivas/2013/インド/Mar. 16/PVR Koramangala
どうせわからないついでにタミル語作品を跳び越えてカンナダ語作品に挑戦。カンナダ語はバンガロールのあるカルナータカ州で話される言語で当然この州でしか公開されない。ということは当然ローバジェット。冒頭からワーナーのマークやハリウッド俳優のイメージを勝手に出したりしてやりたい放題である。“スーパースター”と称するUpendraという俳優が、スイス銀行に預けられている預金の引き出しを巡って暴れ回る。相手の女優はBhavana。知らんがな、ふたりとも。1980年代後半の香港映画を観ているような画面だと思っていると『マトリックス』のパロディがあったりするし、プロットもごちゃごちゃしてよくわからない作品だった。Item Numberは3回くらいあったけど、衣装とセットがやはりややチープだったな。カンナダ語映画には恋愛ものも結構あるので、今度はそっちを試してみよう。カンナダ語、勉強しないとね。きょうは“ナマスカーラ”と“バンニ”しかわからず。
#10「Saheb, Biwi Aur Gangster Returns」Tigmanshu Dhulia/2013/インド/Mar. 10/PVR Koramangala
続篇のようだが、オリジナルを観なくても十分、というか、あちゃ、ヒンズー語がわからないので同じことだ。20世紀半ばの話だろうと勝手に思い込んでいたら、登場人物がみんなスマホ使ってた。4人の男女が入り交じっての権力と恋愛の争い。『Life of Pi』のIrrfan Khanが野心的な元王族(?)を演じている。相手役はこれぞアーリア人という印象のSoha Ali Khanという女優。この二人が続篇の中心で、Saheb(『Special 26』に出てた俳優)とBiwiは別の貫禄ある男女。細かい話はややこしいので割愛するが、ドンパチのある黒社会もので、恋人を奪われたIrrfan KhanがSahebに復讐する話だ。この映画でもたばこのシーンでは注意の字幕が出ていた一方で、飲酒運転シーンでは何も出ず。それは片手落ちとちゃいますか、とツッコミを入れたくなった。派手な映画なのでItem Numberも盛りだくさんと期待したら、1.5回くらいしかなかった。初回とはいえ公開二日目でガラガラの場内。席を後ろから詰めて指定するのはやめてもらいたい。
#9「Kai Po Che!」Abhishek Kapoor/2013/インド/Mar. 3/PVR Koramangala○
ヒンズー語作品。アクションやサスペンスものではないので鑑賞に困難が予想された。ので、あらかじめWikipediaで予習してから赴いた。Item Numberもない、まじめな(?)映画。主人公は20代の男三人組。舞台はアーメダバード。ひとりが元クリケット選手で、三人でスポーツクラブ事業を始める。元クリケット選手はイスラム教徒の才能ある少年を見つけて指導に夢中。二人目は政治家の叔父に誘われてヒンズー教徒系の政党へ。勉強家の三人目は元クリケット選手のかわいい妹の家庭教師をするうちに恋仲に。事業は順調で拡大、と思ったところで2001年のグジャラート地震が発生。ここからヒンズー教徒とイスラム教徒の抗争が表面化。叔父が選挙で敗れ、両親がイスラム教徒による列車放火で死亡すると、復讐が始まり最後に悲劇が待つ。書いていると盛りだくさんだけど、おもしろかった。海(どこか不明)へ三人で休暇に行くシーンがよかったな。2001年のオーストラリアとのテストマッチが背景にもなっていて、グッドタイミング。
#8「Zero Dark Thirty」Kathryn Bigelow/2012/米/Feb. 24/PVR Koramangala○
インドの映画上映は他の国同様エンディングクレジットが始まると会場は明るくなり観客は退場、フィルムも最後まで回らない。で本作で何が起こったかというと、映画タイトルが結局出なかったのだ。あときょう面白かったのは、たばこのシーンでは“たばこ吸うとガンになるよ”という字幕が毎回出たこと。なるほどねー。さて、肝腎の映画は、ウサマ・ビン・ラディンの行方を追うCIAと居場所を襲撃する特殊部隊SEALの話。160分の長尺でインドにはちょうどいい。(ただし、インターバルはむりやり入った。) 襲撃シーンは実際とほぼ同じ30分。僕はそっちより、大半を占めるCIAのストーリーの方が興味深かった。911で3,000人を殺した張本人ということで、超法規的になりふり構わず執念で突き進む組織。恐い。CIAのBlack Siteというのはたくさんあるんだろうか。メンバーはパスポートなんか関係なく各国を行き来してるんだろうな。パキスタンの街はインドで再現され撮影されたらしい。もうすぐヒンズー語吹き替え版も上映開始。
#7「Special 26」Neeraj Pandey/2013/インド/Feb. 17/PVR Koramangala○
CBI(インド版FBI)を騙り、金持ちから隠し資産を堂々と奪う犯罪集団の爽快な物語。実話ベースらしい。『黄金の七人』や『危いことなら銭になる』のようにグループに紅一点がいるとかお色気があるとかそういうのではなく、おっさん4人の硬派集団。ただし、トム・クルーズみたいなリーダーには小学校の先生をやっている恋人がいて、Item numberも二度ほど挿入される。今回は98%ヒンズー語だったので、会話は皆目わからずジョークには付いていけなかったものの、途中から本物のCBIが捜査に入ってくる全体のストーリーはとても面白かった。テンポがいいなあと思って見ていたら、登場人物が集団で歩く際、脇目もふらず迷いもせず目的地に等速度で進むんだな。舞台はデリーだったりカルカッタだったりボンベイだったりで国内旅行の気分である。設定は1987年なので背景や車には気を使っているようだった。ところでitem numberのダンスはいいんだけど、インド女性の衣装って脇の下の汗染みが気になってしかたがない。
#6「Life of Pi」李安/2012/米/Feb. 10/PVR Koramangala
李安の新作。IMAXシアターで3D版を観た。インド人の少年がカナダへ移住するために乗った日本の貨物船が沈没し、虎と一緒に漂流するという話。相当ファンタジックでSFXバリバリ、3D効果にところどころ感心する場面はあった。ビジュアル的には派手な反面、李安だけあって、人間の描き方はそれなりによかった。パイ少年の宗教や動物に対する興味、思春期に入っての初恋とか。大人になったパイが、訪ねてきた白人青年に昔話を語るという構造になっているのだけど、その対話場面もいい。考えてみれば、昔話場面はパイが語る物語なのだから、多少ファンタジックに増幅されていてもいいような気がするな。沈没した貨物船は日本の船だというけれど、船名は日本名ではなかったよ。隣席のおじさんらは歌と踊りがないのに落胆してか早々に出て行った。120分ほどの作品にむりやりインターミッション入れなくてもいいんじゃないかな?ペプシコの陰謀か?
#5「RACE 2」Abbas Mustan/2013/インド/Jan. 27/PVR Koramangala
インドでの初映画鑑賞。万が一字幕がなくてもなんとかなるよう、アクションものを選択。果たして、やはり英語字幕はなく、ヒンズー語。ただし、上流階級のヒンズー語は1/3くらいのボキャブラリーが英語なので、なんとなくわかるんだな。プーチンみたいな男ともう一人ごつい男のタフ対決というか、プーチンの彼女がごつい男の陰謀で殺されそれに対する復讐物語。舞台はイスタンブール。インド映画ってリッチだよね。カーチェイスあり、ランボルギーニは炎上、飛行機内でガンをぶっ放して、車ごとパラシュートで降下するは、軽薄で品の悪い007みたいな展開で、もちろん美人付き。もちろん、歌って踊る。(これをitem numberと呼ぶらしい。最近規制しようという動きがあるらしいけど、断固反対だ) 映画については以上。インドの観客は予想通り行儀が悪い。会話は当たり前。普通にケータイで通話。上映中も買い物に行く。エンドロールが始まったらさっさと退出。まあ、日本以外はどこもこんなもんだけどね。
#4「北陸代理戦争」深作欣二/1977/東映/Jan. 13/新文芸坐○
福井を舞台にした抗争劇。本作も主役は松方弘樹。ベースは山口組の内部抗争が代理戦争の形で北陸で展開された話。深作欣二による最後の実録ものらしい。雪に人を埋めてジープで首をはねるシーンがエグいのを筆頭に、かなり残虐。松方が滅法タフな男で、普通ならとっくに死んでいるようなところでしぶとく生き延びるのが、香港映画を見ているみたいだった。千葉ちゃんが浅田組(山口組)の暴れん坊・金井で適役。遠藤太津朗が浅田組の硬派な幹部ってのが、ちょいと腑に落ちないね。天津敏が冴えなかった。冒頭、松方にリンチされる組長・西村晃の奥さんにはわれらが中原早苗。ちょい役で残念。特筆すべきは松方の奥さんになる高橋洋子。なかなかよかったよ。野川由美子の妹には全然見えなかったけど。新文芸坐は結構混んでいて、例によって男子トイレは長蛇の列。設計ミスの典型例だよ。くど〜い館内放送は、僕はなかなか気に入ってるけど、ほとんどの観客はうざったいと思ってるだろうな。
#3「県警対組織暴力」深作欣二/1975/東映/Jan. 13/新文芸坐○
舞台は倉島という架空の地方都市だが、誰がみても広島。菅原文太演じる所轄極道刑事と松方弘樹ら演じるやくざの馴れ合いに対し、梅宮辰夫演じる県警本部の警部補が乗り込んできて壊滅を図る。梅宮の作られたストレートさがあまりに不自然で笑ってしまう。その梅宮が抗争の対象だった土地を得た企業に収まるオチはいまひとつ腑に落ちないものの、菅原の末路の悲しさは沁みるね。本作での一番の役は汐路章だ。他の刑事はやくざが相手なのに、この人だけは“アカ”が相手。何かというと無関係なアカを敵視して、周囲から浮いているのに本人は一向に構わないのが最高におかしかった。菅原の奥さんにわれらが中原早苗。監督のコネで家計を支えるため出演しているのかな? でも彼女はちょい役で、菅原は情婦として池玲子を松方からあてがわれる。登場人物が喋る広島弁はなかなか本格的で、本当にこれが全国の人に100%通じているか疑わしい。出てくる車がちゃんと“倉島”ナンバーになっているのに感心したよ。
#2「今年の恋」木下惠介/1962/松竹大船/Jan. 4/オーディトリウム渋谷○
吉田輝雄と岡田茉莉子コンビの恋愛喜劇。同じ年の中村登の『求人旅行』などに共通する軽快で爽やかなノリがいい。吉田輝雄の松竹第1回主演作品らしい。当時の観客から見て新東宝時代の怪しい雰囲気はすっかり払拭できていたのだろうか、大学院生の役で、弟に高校生の田村正和。田村正和の親友の姉が岡田茉莉子で、小料理屋の看板娘である。ほんとこの頃の岡田茉莉子はきれいだな。この小料理屋の女将がやや大人しめの浪花千栄子。千栄子といえば、吉田・田村のばあやがやや豪快な東山千栄子であり、母を亡くした兄弟の父親は野々村潔(岩下志麻のお父さん)が演じている。往年の横浜駅が出てきたり熱海に車で向かう途中で真鶴道路が出てきたりロケもなかなか楽しい。時期もクリスマス〜年末。高度成長期に突入する当時の日本の賑やかさが伝わってくる。最後は京都で除夜の鐘を突いてハッピーエンド。とはいえ、あのまま吉田と岡田が結婚すると、岡田が与党になるのは間違いないところだな。
#1「最初の人間」ジャンニ・アメリオ/2011/仏=伊/Jan. 4/岩波ホール○
2013年の映画一本目は、アルベール・カミュの未完の自伝的遺作の映画化作品。なぜかイタリア人の監督だが、気にしないことにしよう。独立に揺れる1950年代のアルジェリアを訪れたカミュ(小説ではジャック・コルムリ)が、母親に会い、恩師に会い、旧友に会い、子供時代を回想する。砂っぽい街の中に白人が大勢いてフランス語が話されている世界は、インターナショナルというよりやはり違和感を感じざるを得ない。そこが“フランス”であることに何の疑いも持たない時代の終わりには、当然のようにきな臭い社会情勢が待っているのであるが、それに対して民族融和のようなものを唱えるカミュに世論は冷たい。映画は世間の喧噪からは一歩引いて、穏やかな(?)カミュの内面を表現するかのように静か。砂色の街の合間にときどき覗く青い海がきれいだ。岩波ホールは老人でいっぱい。ここはトイレもバリアフリーではないし特別割引もないのに、なぜ集まってくるんだろう?
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Last update: 12/31/2013

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