[↓2013年][↑2015年]

2014年に観た映画の一覧です

星の見方(以前観たものには付いてません)
★★…生きててよかった。
★…なかなかやるじゃん。
○…観て損はないね。
無印…観なくてもよかったな。
▽…お金を返してください。
凡例
#通し番号「邦題」監督/製作年/製作国/鑑賞日/会場[星]

#91「Ugly」Anurag Kashyap/2013/インド/Dec. 28/PVR Koramangala○
去年のカンヌで上映されたのに、喫煙シーンに“吸うと死ぬで”テロップを入れるのを監督が拒んで公開が遅れた硬派ボリウッドノワール作品。(『pk』は軟派ね。) 少女の誘拐事件を軸に複数の近親者が絡んでいく群像劇で、タイトル通り人間の醜さが前面に押し出される。言葉がわからないので群像劇はやはりちと苦しいね。誘拐された少女の継父で警部(?)のRonit Royがおそろしい鬼警官ぶり。現実のインドの警察には紳士的であってもらいたい。警察の携帯電話追跡・盗聴技術には感心したが、それが結局は空回りするシナリオにも感心した。登場人物それぞれが思わせぶりな行動を取り、犯人は誰なんだー、少女はどうなったんだー、と思っていると、あっけなくも重い幕切れ。硬派だ。本作ではiPhoneが金持ちの持つプレミアムな電話として扱われているが、これはインドでは事実だ。街中ではあまり見せびらかせないようにしないといけない。これで今年の映画は打ち止め。来年も映画とカープだ。
#90「Kayal」Prabhu Solomon/2014/インド/Dec. 25/INOX Lido○
2004年12月26日に起きたスマトラ島沖地震によるインドでの津波被害を背景にしたすれ違いラブストーリー。Kayalを演じるAnandhiのアイドル映画のようにも見えるし、津波パニック映画のようにも見える、なかなか興味深い構成。観客をヤキモキさせた末にふたりを逢わせ、直後に津波、絶望の中での再会とダイナミックにドラマは終結。ハッピーエンドなのがいいね。Anandhiはボリウッドには行けそうにないけれど、南インド映画で活躍できそうな感じ。ただし、Nazriyaちゃんには及ばない。ふたりが津波に遭うのはインド亜大陸最南端のKanyakumari。ほんとにそこまで大津波が来たのかは知らないが、宇宙人来襲とかと違いリアリティがあるだけに津波映画は怖い。当然VFXを使っているのだが質は高くない。にも拘わらず津波シーン以外でも多用していて、その点は残念だった。ところで、普通のおっさんがたくさん集まってゆるい振り付けで踊るタミル映画のダンスはなかなか和めていいよ。自分でも踊れそうな気がするし。
#89「pk」Rajkumar Hirani/2014/インド/Dec. 21/PVR Koramangala○
題名は『E.T.』のもじりなんだろうか。Aamil Khanが異星人を演じる異色S.F.巨篇(?)。登場シーンは『未知との遭遇』か『ターミネーター』かってところ。共演は、やっと見ることができたAnushka Sharma。ショートカットなのが高得点。アヒル唇に胸の開いたブラウスにミニスカート。日本のアイドルか。マスコミ勤めなのがインド映画だ。Anushka SharmaとSushant Singh Rajputのベルギーパートはなかなかよかった。で、確かに地球人離れしたAamil Khan演じる宇宙人PKのインド訪問記。基本的には宇宙とインドのカルチャーギャップをネタにしたコメディーである。手を握るだけで相手の頭の中をコピーできたりするのに、通信機をひったくられて帰れなくなるというのは間抜けだな。いろいろおいしいインド料理を堪能すればよかろうに、出てくる食べ物がにんじんだけだったのは残念。あ、パーンもあったけど。宗教をやや茶化しているのは痛快(失礼)だった。PKのあの走り方はインド人の典型的走り方へのアンチテーゼか。
#88「Haggada Kone」Dayal Padmanabhan/2014/インド/Dec. 20/INOX: JP Nagar
死刑囚の最期の日の物語で、舞台劇の映画化。登場人物は、Naveen Krishna演じる死刑囚と、彼と主に会話する係官のほか数人のみ。カメラポジションも限定的。旧バンガロール刑務所で撮られたらしい。しんどかった。悪化してきた風邪に加え、まったくわからないカンナダ語会話をベースとして進むストーリー。Websiteによれば、現在の状態に至った原因を死刑囚がいろいろ検討しているらしいのだけど、ちんぷんかんぶん。執行直前に回想シーン(?)が入り、罪を問われる原因になったらしい殺人が観客に見せられる。それを見るかぎりでは、計画的な犯行ではないし、相手にも多少の非がありそうなので、日本だと死刑にはならないだろうと思った。冒頭と最期に登場する死刑執行人のじいさんが印象深い。淡々としごとをこなす。ロープを絞首用に結び、バナナと糖を練り込んだギーを塗る。ロープを嗅いだ死刑囚が何か言うのだが、それもわからず悲しかった。ミニマルな構成の中、盛り上げるピアノは邪魔に感じた。
#87「Mayura」Vijay/1975/インド/Dec. 14/Gopalan Cinemas: Arch Mall Mysore Road○
40年ほど前のものとは思えないほど褪色したフィルム。サンダルウッドのかつてのスーパースター、インドの本郷功次郎・Dr. Rajkumarがマハラジャを演じる歴史ものである。レスリングから始まる。インドでレスリングか。結構古いのかな。Dr. Rajのレスラー姿はいささか滑稽。マハラジャの話だけあって、ロケ地にバンガロールパレスやマイソールパレスが出てくる。これって本当のマハラジャが撮影用に貸してるんだよね。マハラジャものということでディスカウントがあったかもしれない。Dr. Raj演じるMayuraは、ブラマン時代はハヌマーンを崇拝していたのに辞めてからはシヴァを崇めていたようだ。さすがというべきか、観客席は結構埋まっていてしかも賑やか。やはりDr. Rajはカリスマなんだと実感したのであった。Dr. Rajと恋仲になる王女は“Rajkumari”と呼ばれてたと思ったが、Wikipediaを読むかぎりそんな記述は見つからないな。聞き間違いとも思えないのだけど。
#86「Lingaa」K.S. Ravikumar/2014/インド/Dec. 14/PVR Koramangala○
タミル、テルグ、ヒンディーの3言語バージョンがあって、どれもどうせわからないのだけど当然タミルを選択。スーパースター・ラジニ、待望の新作である。とはいえ、監督からしてあまり期待せずに、観客の反応なども一緒に楽しもうと出かけた。が、公開3日目だからか、お上品なシネコンだからか、たいして盛り上がらず。一方で映画自体は割に面白かった。いきなりマカオで踊るシーンでつかみは良好。ほどなくBrahmanandamがでてきてがっかりさせたが、スーパースター然としたRajnikanth、サヨンみたいなSonakshi Sinhaはなかなかよかった。マイソールパレス登場。中はセットかな。ほかにもLinganamakki DamとJog Fallsはカルナータカ州でカンナダ映画かという感じだけど、ラジニはMaduraのCollectorという設定だったので、やはりタミルを想定しているのだろう。ちょっぴり覗かせるナショナリズムが居心地を悪くさせた。二役のラジニ。現在の方(Lingaa)のシーンでは常に風がそよぎ、(カツラの)髪が揺れているのがおかしかった。
#85「Sulemani Keeda」Amit V. Masurkar/2014/インド/Dec. 7/PVR Koramangala○
PVR RAREシリーズの1本。同居する若い脚本家コンビのボリウッドへの売り込みをベースにしたマニアックな業界ものかと思ったら、片割れのラブストーリーだった。当の片割れNaveen Kasturiaが恋するのはAditi Vasudev演じるカメラウーマン。彼女がなかなか知的で魅力的だった。度のきついメガネっ子姿もよかったよ。ふたりは、エレファンタ島(たぶん)に行ったりNatural Icecreamでアイス食べたり。彼の恋は彼女の出国により実らなかったけれど、本人が言っているようにエンディングはオープンなのだった。後味のよい良品。ヒンディー語がわかればもっと楽しめたはず。で、映画がマニアックでなかったかというとそんなことはなくて、コンビが訪れるプロデューサーの部屋にはタルコフスキーやゴダールの写真がかけてあったり、彼らの部屋で『ラストタンゴ・イン・パリ』のDVDを観たりする。しかし、たった90分の作品にインターミッション入れないでもらいたい。予告篇はあってもいいのに、なかったし。
#84「Action Jackson」Prabhu Deva/2014/インド/Dec. 6/PVR Koramangala○
Ajay DevgnとSonakshi SinhaのDesiコンビによるアクション+ラブコメかと思っていたらそれは前半で、後半はAjay DevgnとYami Gautamという知らない美人女優とのアクション+ラブストーリーになった。しかも前半のAjayと後半のAjayは別人なのだ。最近二役ものって多くない? 主な舞台はムンバイとバンコク郊外。タイでのシーンは何やら怪しげで、タイ人の感想を聞いてみたいものである。敵のAnandarajが出てくると必ず中華的な銅鑼の音が入るのも妙だった。AJ (Ajayの後半の役名)は日本刀を使う。このアクションシーンはなかなかよくて、Ajay Devgnが割と気に入っているのはこのアクションのせいだ。Anandarajとの最後の戦いでは、工場内の障子のようなものがある部屋が出てきた。この監督、どこからそういう日本的なものを学んだのだろう。総じていえば下らないものの、見るに堪えないほどでもなかった。(ただし二役の関係が僕にはわからず仕舞い。) 最初の辺りのItem NumberでShahidヘラヘラKapoorが踊ってた。
#83「Ungli」Rensil D'Silva/2014/インド/Nov. 29/INOX Lido○
Emraan Hashmiが主演らしい、インド版『ハングマン』。最初は4人組でRandeep Hoodaがリーダーっぽく、Emraan Hashmiはいなかったので、あれっ?と思っていたら、彼は警官で、潜入捜査官としてグループUngli Gangに加入する。で、Emraan Hashmiの上官にSanjay Dutt。Emraan Hashmiの裏切りを追及するも、Sanjay Duttが悪役に回ることはないので、最後には彼もUngli側に付いてハッピーエンド。ストーリーは平板、演技も平板。“主演らしい”と書いたのも、各キャラクターに対する掘り下げが浅いから。まあ、CGバリバリのアクション作品よりはいいんじゃないかな。表のシステムが腐敗し正義が潰されるなら裏のシステムで対抗するしかないというのは革命を筆頭として普遍的なセオリーなれど、問題は“正義”の真っ当さ。だから、こういうストーリーは怖い。映画で済んでいればいいのだけれど。『ハングマン』、懐かしいね。植木等の和尚とか。山城新伍の役名は何だったかな?
#82「Kill Dil」Shaad Ali/2014/インド/Nov. 23/PVR Koramangala○
予告篇のドンパチがよかったのとヒロインがParineeti Chopraという理由で観に行った。主演はRanveer SinghとAli Zafarで、捨て子のふたりがGuruであるGovindaに育てられお抱えの殺し屋になるが、Ranveer SinghがParineeti Chopraに恋してしまい破滅に向かうという、インド映画にはよくあるあらすじ。ミュージカルとまではいかないが予想よりも音楽シーンが多かった。Ranveer Singhのヘアスタイルがヘン。カツラか? Parineeti Chopraは珍しく洋装。ポチャポチャの体で洋装というのはいかがかと思ってしまうのは、まだまだ僕が外国人であることの証左であろう。舞台がムンバイではなくデリーというのがいいね。Ranveer SinghとAli Zafarが住む屋上のバーみたいなところの背景がPM2.5で煙っていた。クトゥブ・ミナールのてっぺんに二人(Parineeti ChopraとRanveer Singh)が登るのだけど、あれ登れるの? 撮影は合成だと思う。嵐の中の灯台守のシーンみたいだったよ。この手の作品では珍しいハッピーエンド。2週目だからか客席はガラガラだった。
#81「SHIFT 恋よりも強いミカタ」シージ・レデスマ/2013/フィリピン/Nov. 15/シネマート六本木○
束の間の日本滞在中に一本。事前知識まったくなしで鑑賞。日本語字幕とはありがたいものだ。DVDみたいな荒い画質に最初はひいてしまったが、この新人監督の作品はフィリピンの世相と相まってなかなか興味深かった。舞台はコールセンター。フィリピンがインドを凌ぐBPOビジネス大国になりつつある話は聞いているが、まさにそれである。そこで働くフィリピン人たちは流暢な英語を操り、クライアントのために海外のお客さんにソフトウェアを販売している。そのメンバーが多様。10人弱のチームにゲイが2,3人、ひとりは手術済み。お互い普通に付き合い、しごとをしている。で、チームメンバーのひとりの女の子がゲイのチームメイトに恋する。ふたりは仲良く付き合うが、女の子の想いが受け入れられることは最後までない、なかなか切ないラブストーリーであった。主役の女の子を演じた、以前通っていた美容院の美容師さんを思い出させるYeng Constantinoの本業はミュージシャン。本作中でもライブハウスで歌うシーンがあった。
#80「Kasturi Nivasa」Dorai-Bhagavan/1971/インド/Nov. 9/PVR Koramangala○
43年後に着色リヴァイバルとなったカンナダ語作品。往年のスタアDr. Rajkumar主演ということで観に行った。うん、音声がひどい(どうせ聴き取れないのだが)。着色も予想通り無用。話はマッチ工場を営む人のいいDr. Rajkumar (偶然かRavi Varmaという名前)が、自分同様妻を亡くした部下(藤山寛美にそっくり)の娘を預かっているときに、想いを寄せる秘書(Jayanthi; 京マチ子に似てる)を“母親”として娘にクリスマスプレゼントとして贈る(そりゃまずいでしょう)。これが元で秘書は部下と結婚してしまい、部下は退社してライバル会社を立ち上げ、自分の会社は落ちぶれてDr. Rajは追い込まれていく、という悲劇。3時間は長い。Dr. Rajは普通のおじさん。鼻の格好が確かにPuneetに受け継がれているな。歌の評判がいいが、まあ確かに旨いかもしれない。歌うシーンは3回くらいあったが、毎度観客が口笛を吹いたりしていた。そのほかに、女性ダンサーが歌って踊るシーンが2度あった。ギャグもあったが、ひどかった。
#79「Happy New Year」Farah Khan/2014/インド/Nov. 8/PVR Koramangala
しょうもないとわかっていながら結局大作を観に行ってしまうトホホな性格。Shahrukh Khan、Deepika Padukone主演、今年のDiwali目玉作品。『Sapthamashree Thaskaraha』に続く(?)金庫破りもの。しょうもない。会場地下の金庫にあるダイヤモンドを盗むために、Dubaiで開催されるWorld Dance ChampionshipにSRKが仲間を巻き込んで出場する。途中からDeepikaちゃんがコーチ兼メンバーとして参加。出場チームで最強なのが北朝鮮。格好はどう見ても韓国なのだが。会場で北朝鮮の国旗がたくさん振られているのをみるのは不思議な感覚だった。コンテストは国対抗の様相でナショナリズムもバリバリだし、もうどうしようもなかった。NaMoそっくりさんも出てきたよ。今回確認したのは、Deepikaちゃんはやはり僕のタイプじゃないということ。ところで、SRKの10パック、ありゃ本物かね。とても50近い男のものとは思えない。Dubaiも現実とは思えないばかばかしさがあるね。街全体がテーマパークなのか。
#78「Rang Rasiya」Ketan Mehta/2008/インド/Nov. 8/PVR Koramangala○
神話絵で知られる画家Raja Ravi Varmaの伝記映画。この女好きの男をRandeep Hoodaが演じていて、なんだかぴったり。彼のモデルでミューズとなるのはNandana Senという女優で、インド映画では珍しく乳首まで見せる熱演。というわけでもちろんA-Rating。話はわいせつ(といっても上半身をはだけているだけ)裁判を軸に、Ravi Varmaの半生を描いていて、印刷機を導入して自分の絵の複製を売りさばくとか、シネマトグラフを観て驚くとか挿話がある。実際に『列車の到着』と『水をかけられた散水夫』がかかる。ボリウッドダンスはないが、二人で官能的に踊るシーンは何度かあった。しかし、なんで絵を描くのに上半身裸の必要があるの? 単にスタジオが暑いのだろうか。エアコンがない時代のケララとボンベイだからね。そのうちRavi Varmaの本物の絵を見てみたい。Thiruvananthapuramの美術館にあるようだ。映画祭でかかったくせに英語字幕がなかったのは残念。
#77「やさしい人」ギヨーム・ブラック/2013/仏/Oct. 26/ユーロスペース○
(下記の過去情報は僕の記憶間違い(Bernard Menezが出演して乱入していたのは『オルエットの方へ』)という指摘があったので撤回しますが、内容は無修正とします)女っ気なし』と同じVincent MacaigneとBernard Menezのコンビ。今回は父子。部下の女性のバカンスに乱入する上司を演じていたBernard Menezが今回えらく老けていて驚いた。Vincent Macaigneは、髪の量を含めてあまり変わらない。父親が住んでいるトネールという街にやって来て、二回りくらい年が違う女の子Solène Rigotに恋してしまう中年ロッカー(Vincent Macaigne)の話。途中までるんるんだったのに、女の子が急にいなくなり、嫉妬で錯乱したロッカーは、女の子の元カレを殺そうとする。この前後の落差が激しい。インドならそこでインターミッションを入れる。なことはともかく、女の子の心変わりも怖いけど、錯乱したロッカーの思い込みは悲しいほど怖い。トネールってノルマンディーかと思ったら、パリから見て南東だった。あれ、海のシーンがなかったっけ?クロロホルムのテストに犬を実験台にする。あの犬の演技はすばらしい。4番目にクレジットしてあげたい。
#76「人生劇場 第二部 残侠風雲篇」佐分利信/1953/東映/Oct. 26/シネマヴェーラ渋谷○
日本に帰ったら佐分利信特集などという渋いものをやっていた。第一部を観ていないのだけど、まあいいか。スタンダード・モノクロの東映作品を観るのも久しぶりだ。青成瓢吉を演じているのが舟橋元というのを除けば、豪華出演陣。吉良常に月形龍之介、飛車角に片岡千恵蔵のほか、高峰三枝子、内田良平、轟夕起子など。笠智衆が例によってお酒が飲めないくせに、妙な酔っ払いの役で奮闘している。酔うとズボンを脱ぐのがおかしい。佐分利信自身もチラッと登場する。チラッとなのにクレジットは筆頭、というのが佐分利信だ。監督としてはかなり挑戦的で、モンタージュとかスローモーションとかを使用。面白がって多用していないところがさすがだ。日中戦争勃発前後を扱う映画は少なくないと思うけど、誰かが出征するシーンで君が代マーチが演奏されていた(と思う)。軍艦マーチよりマイナーだと思うが、佐分利信の好みだろうか。伊豆から帰京するのに進行方向左手に海が見えたのはご愛嬌。
#75「Govindudu Andarivadele」Krishna Vamsi/2014/インド/Oct. 5/Urvashi Digital 4K Cinema Lalbagh Road○
Urvashiという渋谷パンテオンみたいな劇場にテルグ語映画を観に行く。テルグ語が母語のドライバーMさんも観た。主演はRam Charanで相手役はKajal Aggarwal。恋愛ものでもアクションものでもないファミリードラマは珍しい。父Prakash Rajに勘当されロンドンで大学教授となった息子の息子がRam Charan。祖父母のことを知り、インドにやってくる。父が倒れたりいろいろあるが、最後に息子と父が仲直りして大団円。というわけで中身はない。Prakash Rajの家がピンクハウス。やたらと派手だ。APでは普通なの? テルグ語映画は、主演のほかはだいたいいつも同じ面子だけど、今回はあの鬱陶しいBrahmanandamが出ていないのが奇跡的。というわけで妙なコメディーシーンもなく、濃い血のメロドラマがひたすら展開していたのであった。K/TollywoodではSamanthaと二枚看板のKajal Aggarwalは、今回かなりきれいに見えた。Ram Charanがやたらとお腹の肉をつまんでいたのがおかしかったな。
#74「Bang Bang!」Siddharth Anand/2014/インド/Oct. 4/PVR Koramangala
Dasara休みの目玉作品。Hrithik Roshan、Katrina Kaif共演のロマンティックアクション。製作費Rs.140Crだって。観る前から下らないことは予想できるのだけれど、とりあえず行く。Hrithik Roshanは怪盗で有名なダイヤを盗み、大悪党(Danny Denzongpaが好演)に狙われ、銀行受付嬢Katrina Kaifを連れて、逃避行。ギリシャやらプラハやら世界中を飛び回り、最後はアブダビ。派手な戦いの末悪党は死ぬのだが、Hrithik Roshanは実は覆面捜査官で悪党を狙っていたのだ。Katrina Kaifが彼を息子は死んだと思っている両親の許に返し、めでたし、めでたし。って、疲れるね。唯一興味深かったのは、Katrina Kaifが住むShimlaというHP州の町。あそこまで行くと雪が普通に見られるんだな。“無冠の女王” Katrina Kaifは他のボリウッド女優とは別格(≠格上)。インドな格好の記憶がないくらい、インド臭さがない(褒めてない)。ところで、世界中どこでもヒンディーが通じるのは便利だね。おかげでいまどこにいるのか把握するのに時間がかかってしかたがないよ。
#73「Haider」Vishal Bhardwaj/2014/インド/Oct. 3/PVR Koramangala○
ヘラヘラにいちゃんShahid Kapoorへの評価を変える、一見、欧州か韓国ものを思わせる重厚作品。舞台は、パキスタンとの緊張が高い頃のカシミール。『ハムレット』が下敷きということがわかって出かけたので、結構すんなりストーリーが追えた。もちろんShahid KapoorがHamlet(=Haider)であり、復讐を図りながら苦悩から逃れられない青年を好演している。恋人はShraddha Kapoor。このひと、いいんだけど惹かれないんだよな。悪の義弟に嫁ぐ重要な母役は『Jai Ho』に出てたTabu。今回はきれいだった。Irrfan Khanがイスラムテロ組織の幹部みたいな役で相変わらず渋かった。実は政府に通じているSalman Khan好きのビデオ屋二人組、実はテロリストの墓掘り老人三人組の、重い作品内でのコメディーパートが結構よかった。そう、重厚な割にItem Numberもバランスよく入っていた点などは、まぎれもなくボリウッドだったな。結構凄惨なシーンがあるにもかかわらずU/Aレイティングで済んでいるのは不思議に思えた。
#72「Ajeyo」Jahnu Barua/2014/インド/Sep. 28/PVR Koramangala○
映画祭で上映されて賞も獲っているアッサム語作品。当然、英語字幕付。最初、台詞と字幕に5秒程度の時間差があり焦っていたら、途中から突然まともになった。インドで生まれた者にとって避けては通れない、カーストと宗教。インドの独立に希望をもつ青年Gojenが主人公。自身はヒンドゥー教徒だが、貧しいムスリム父娘の家に出入りし、娘に勉強を教えている。父の具合が悪いとき医者を連れてくるが、ブラミンである医者は敷居を跨ぐのを拒否するなど、厳しいカーストの世界が呈示される。独立が実現しようとしているとき、独立運動家の手によりムスリム虐殺事件が起きる。Gojenは生き延びた娘を匿うが、祖母は異教徒である娘を家に入れようとはしない。最終的には、娘を改宗させふたりは結婚する。イスラム教徒と結婚するにはもう一方もムスリムになる必要があるので、これはイスラム教からみれば認められないはず。カーストを語るのはタブーではないが、なかなか重い。インド人に感想を聞いてみたいものだ。
#71「Madras」Pa. Ranjith/2014/インド/Sep. 27/PVR Koramangala★
タミル語は一切わからないが、これは面白い。Kollywoodもやればできるじゃん。チェンナイの下町に暮らし、ITカンパニーで働き、休日はサッカーを楽しむ青年(Karthi飾)が、地域政界に入った親友の政争に巻き込まれ、最後にはその政争に絡む地域の過去と訣別する中心人物になる。並行して描かれる、同じ井戸を使う近所に住むかわいこちゃん(Catherine Tresa飾; 最初はNazriyaちゃんの案もあったらしい)との恋愛。地域政争(あるいは融和)のシンボルとして存在する街の中心にあるビルの壁に描かれた肖像。そして集団抗争。アクションシーンがリアルなのが好印象(特撮も使っているが最小限だし、拳銃も出てこない)。楊徳昌や張作驥の台湾を少し思わせる映像、特に給水塔を背景としたサッカーグラウンドのロングショットがよかったな。Blue Boysなるストリートダンサーズが随所に出てきて踊っていたが、妙なコメディアンが出るよりずっとマシだ。で、“まーちゃん、まーちゃん”で誰(何)のことだい?
#70「Finding Fanny」Homi Adajania/2014/インド/Sep. 24/PVR Koramangala
ヒングリッシュ作品。Naseeruddin Shahが音信不通の恋人Fannyを捜しに、4人の友人と渋いを通り越したDodgeででかける。舞台はゴア。友人のひとりに未亡人Deepika Padukone。死んだという夫にRanveer Singh、相手役にArjun Kapoor。ストーリーや演出にちょっと奇をてらったところがあって、着いていけなかった。ギャグは笑えないし(観客席からは結構笑い声が上がっていた)、猫を殺したり、画家を殺したりも、あまりに唐突。見つかったFannyの現実にも笑えないが、ここはまあそのリアリティーに納得だな。さて、本作のDeepika Padukone、そんなにいいとは思わなかったな。ファッションはまあよかったけど。そもそも本作は言葉を除けばインド的要素が極めて希薄。この無国籍な状況で勝負するのにDeepikaちゃんだけでは負担が重い。見ればこの監督、まだ3作目。3作目にしてすでにDeepika Padukoneが使えるのはたいしたものだが、経験が足りないと思うな。例えばItem Numberを入れてみてはどうだろう。(ほんのジョークです。)
#69「Aagadu」Srinu Vaitla/2014/インド/Sep. 24/PVR Koramangala
“Super Star” Mahesh主演のスーパーコップもの。またか。テルグ映画って全部同じじゃない? またBrahmanandam出てるし。このおじさんのずっこけ顔アップは、ほんとやめてもらいたい。スーパーコップものといっても、とても正義の側に立つとはいいがたい。アクションというよりバイオレンスの連続。スーパーヒーローといえど戦っている中でヒヤリとするシーンが普通はあるけど、本作ではそんな隙はまったくなし。常に余裕で相手をやっつける。雑魚は平気で殺すし、子供に見せるものじゃないよ。隣席の子供、じっとしてろっ。ガタガタシートを揺らすな。肘掛けを越えてこっちに来るなっ。Maheshの相手役はTamannaah。ふーん、こないだ観たSkarlett Johanssonにちょっぴり似ている気がした。もうどうでもいいんだけど、唯一よかったのはShruti HaasanのItem Numberへの出演かな。こういうひとを相手役にもってきてもらいたい。しかし、Mahesh、よく喋るなー。これは役のためなのか、地なのか。
#68「Daawat-e-Ishq」Habib Faisal/2014/インド/Sep. 21/PVR Phoenix Market City○
最近はスナック菓子KurkureのCFで毎週のように見ているParineeti Chopra出演作。彼女とPriyanka Chopraのダブルチョプラは、好みではないが好印象のボリウッド女優の双璧。Priyankaの方も仁丹(?)のCFでよく観る。現在は法律で禁じられていながら根強く残る結婚持参金を利用して詐欺を目論むHyderabad暮らしのParineeti Chopra、Anupam Kher父子。Lucknowに出かけて花婿オーディションをやる。そこで見つかった、金持ちなのに場末の飲食店を営むAditya Roy Kapurと恋と金の駆け引きが始まる。アメリカに留学するために犯罪まで犯す心理にはついていけないものの、全体としては軽いコメディーの形式をとっていて楽しめた。その分、毎日女性の死者が出ているなど大きな問題である持参金の習慣クソ喰らえ、という大きなメッセージはあまり伝わってこなかった。食べ物のショットがもっとたくさんあるのかと思っていたのにそうでもなかったのは残念。Parineeti Chopraはスクーターや自動車を街中で実際に運転していた。わぉっ。
#67「Njan」Ranjith/2014/インド/Sep. 21/Innovative Multiplex
予習皆無で出かけたら撃沈した。終映後パンダゴロに背景を聞いて少し話が見えた。しかし、その時点でも本作はかなり観客を選ぶと感じた。ただし、単なるDulquar Salmaanフォロアーを除いて。映画は二層構造になっていて、K.T.N Kottoorというインド独立時期の伝説の人物を映画(演劇?)にしようとする集団と、その映画。いずれもDulquar Salmaanが主役である。つまり、K.T.N KottoorをDulquar Salmaanが演じている。もともと言葉がわからないのに、劇中劇を観ていてもK.T.N Kottoorなる人物がよくわからない。政治的にCongressなのかCommunistなのかわからなかったし、女たらしのようにも見えて、歴史上どんな重要な役割を演じたのかも不明。二層構造も成功しているようには感じなかった。こんな内容でも劇場はほぼ満席。よほど人気の人物なのか、ケララ人は辛抱強いのか、バックウォーターの奥深さを感じた。どうでもいいけどDulquar Salmaan、髪が多い。ヘルメットをかぶると髪がもさっとはみ出してたよ。
#66「Sapthamashree Thaskaraha」Anil Radhakrishnan Menon/2014/インド/Sep. 20/INOX Magrath Road○
ごく大ざっぱなシノプシスを読んで面白そうだったので観に行ったマラヤラム語作品。細かい点は例によってわからないものの、とても面白かった。前半は獄中。思いもよらず刑務所入りした男7人の背景が、ムショ暮らしの描写とともに順次紹介される。そして出所したインターミッション後は金庫破り。主役のPrithviraj Sukumaranが妻を亡くしムショ入りする原因となった悪徳病院の、厳重に管理された隠匿金を男7人に女2人(看護師とサーカス芸人)を加えたチームで盗み出す。深作欣二や杜琪峰のハードさではなく『黄金の七人』に近い華麗さで7人はお金を手に入れた。はずだが、Prithviraj Sukumaranはお金とともに失踪し、最後にどんでん返しがある。残念なことにここがマラヤラム語話者以外には理解不能。Prithviraj Sukumaranの話はまったくの嘘(ここまでは明確)で、彼は実は警察官あるいは税務捜査官だった、という香港映画的展開の気がする。詳細はDVD発売までお預けだ。劇中、『Jilla』をテレビで見る警察官のシーンあり。
#65「Khoobsurat」Shashanka Ghosh/2014/インド/Sep. 20/INOX Lido○
Sonam Kapool主演の、なぜかDisney映画。前作『Bewakoofiyaan』に続くコメディー出演だが、本作の方がはじけてキュートでずっといい。相手役はパキスタン俳優のFawad Khan。美男美女の階級を超えた恋はありふれたストーリーをおとぎ話に昇華してしまう。主な舞台のFawad Khanが暮らす宮殿はRajasthan州BikanerにあるLalgarh Palaceのようだ。整体師(?)であるSonam Kapoorは、雇われてスーツケースひとつで宮殿にやってきたのに、毎日ファッションが変わるのはお約束。山城で射撃を勧められ“Sholay好きだから”(推定)とか言ってトライするぞ。今回は、2回ほど踊ってた。でも、どうみても撮影技術で誤魔化してたな。最近ヒンディーの二人称の使い分け(“Aap”と“Tum”)がわかるようになってきたが、Fawad Khanが一人称を“Ham, Ham”言うのを一般市民であるSonam Kapoorの母親に揶揄されていた。高貴なひとは自分をそう呼ぶのかな? ワインとかシャンパンを呑んだくれるシーンが何度もあったけど、有害広告テロップはまったく出なかった。
#64「Mary Kom」Omung Kumar/2014/インド/Sep. 6/PVR Koramangala○
Bhaag Milkha Bhaag』に続くスポーツ選手伝記物。といっても主人公の女性ボクサーMary KomはRioオリンピックを狙うバリバリの現役らしいので“伝記”ではないかも。彼女を演じたのはPriyanka Chopra。本物はNorth Easternなのでだいぶ容姿が違うが、ま、いいか。舞台はManipur。こないだ食べたKing Chiliの産地だ。女子高生あたりからPriyanka Chopraが演じるのだけど、さすがに女子高生には無理があったな。彼女の演技は(相変わらず)好印象ではあるが、ストーリー自体は割と平板。事実とはそんなものだ。手術中に心肺停止に陥った子供の蘇生に同期してダウンから立ち上がるエピソードは信じないけどね。その、中国・寧波(画面には上海が映った気がするけど)での試合に勝ちワールドチャンピオンになったとき、インド国歌が流れ、“ご起立ください”のスーパーが入った。観客には座ったままのひともいたな。民主主義国家だね。USHA、TATA Saltほか、スポンサーの宣伝が目立って、日本の'60年代映画を思い出させた。
#63「Crossing Bridges」Sange Dorjee Thongdok/2013/インド/Aug. 31/PVR Koramangala○
PVR Director's Rare配給のShertukpen語作品。どこの言葉だそれは。ムンバイのIT企業で働いていた男がレイオフされ、故郷の村に帰ってくる。ケータイ電波なし、電気は1日1時間。都会の生活に慣れきっていた男はなかなか田舎生活に順応できない。その象徴がタイトルになっている丸木橋で、最初はひとりで渡れなかったが、定住を決めた頃にはひょいひょいと渡れるようになる。インド東北部Aruanachal Pradesh州、クルマのナンバーはAR。素朴ではあるがあまり美しいとはいえない田舎具合からしても住民の顔つきからしても、グルジア映画とか、チベットものと言われたら信じたかもしれないな。男は小学校の非常勤として働くのだけど、雅子さんみたいな同僚の女性に惹かれる。が、ムンバイに住んでいた割には物静かで、結局女性と結ばれずに映画は終わる。まあ、ムンバイで普通のインド人とやり合うのは大変だったろうしね。PVR Director's Rare、なかなかやるな。ほかの良品も適宜かけてもらいたいものだ。
#62「Rabhasa」Santosh Srinivas/2014/インド/Aug. 31/PVR Koramangala
Ramayya Vasthavayya』以来のNTR Jr.とSamantha共演作品。館内は超寒いし、自身は眠いし、テルグ語はまったくわからないしで、かなり苦痛の鑑賞になってしまった。途中からまたBrahmanandamが出てきて閉口。観客は結構笑っていた。どこが面白いのだ、あのおっさんのギャグの。話は例によって結婚式をぶっちぎる花嫁が出てくるお家騒動。NTR Jr.はSamanthaに直接アタックするのではなく、何やら頭を使っていた様子。とにかくきょうのストーリーはほとんど追えずじまい。最後はふたりが結婚してハッピーエンド。ふむぅ、疲れた。エネルギー保存則などまったく無視のアクション。動き回り、ズームアップを繰り返すカメラ。こう書くとBollywoodも同じようなものだが、やはり洗練度による差なのだろうか。こっちが数段つらい。久しぶりにスイスロケのアイテムナンバーを見たな。今回、Samanthaはあまりお腹を出していなかった。Tollywoodの松方弘樹、安井昌二が出てた。
#61「Buno Haansh」Aniruddha Roy Chowdhury/2014/インド/Aug. 29/INOX Magrath Road★
言語はベンガル語だがWikipediaをみるとTollywood作品のようだ。英語字幕付。舞台はコルカタ、ダッカ、バンコク、プネ、ムンバイ。コルカタに住む正直で平凡な警備員の男が、運び屋の悪の道へ足を踏み入れ、一気に奈落へ。救いのないドラマなのだが、これは面白かった。難病に冒された恋人、自分をかわいがる嫂、バンコクで知り合う謎の女との微妙な距離がそれぞれいい。最初の海外でダッカを訪れ、父親の故郷を訪ねるシーンは泣かせるし、きれいだった。謎の女Rijulaが悪魔的魅力を放ち、いつのまにか大金をもって逃亡、手に入れたお金が偽造とわかると、それを元手にプネの競馬場で大儲け。もちろん、足が付いて、やくざと警察の両方から追われる羽目になるも、Rijulaはまんまと逃げていく。したたかな女である。Moon Moon Senというベテラン女優が演じる、密輸を仕切るマダムも貫禄十分。映画は男の行く末を見せないが、見せる必要などもちろんない。バンコクの中華街、楽しそう。
#60「Singham Returns」Rohit Shetty/2014/インド/Aug. 29/PVR Koramangala
Chennai Express』のRohit Shettyの新作は、インド人の大好きなスーパーコップもの。主演はAjay Devgan、相手役はKareena Kapoor。Ajay Devganは嫌いではないが、Kareena Kapoorは好きではない。改革を進めようとする政治家Guru jiと怪しい宗教家Baba jiの対決で、Guru jiを暗殺したBaba jiを執念で捕まえようとする警官Singham。そもそもAjay Devganは吠えるタイプではないし、格闘もテクニシャンではない、演技もいまひとつなのでコップものに本当に合っているのか疑問。静かに正義感を燃やし悪人を逮捕してハッピーエンドというのならわからぬもないが、本作では最後に『ハングマン』みたくGuru jiを私刑してしまう。いやハングマンは殺さないが、Singhamは殺してしまうのだ。どうなの、道義的に。インド人はこれでオッケー? 警官がストするとき上着をみんな脱ぐ。みんな一様に白い下着だったのは偶然、必然? これまでいくつもコップものを観てきたが、誰も手錠をかけない。まさかインドの警察は手錠を使わないとか?
#59「Mumbhai Connection」Atlanta Nagendra/2011/インド/Aug. 24/Cinepolis Banerghatta Road○
いかにも低予算だが、タイトルクレジットが70年代あたりの映画やTVドラマを想起させとてもかっこいい、Atlantaで撮影されたヒンディー語作品。監督の名前は洒落か? 映画祭で上映されているので英語字幕付。ありがたや。Atlantaで働くインド人セールスマンがIT企業に再就職するのだが、その会社はやくざを顧客に持ち、社長もムンバイのやくざだったことがわかり、さあ大変という話。MumbhaiはMumbaiとbhai(兄弟)をかけている。売り上げがたたず、放っておくと殺されることを知ったセールスマンが知恵を働かせて難を乗り切る。なんとやくざ相手に、やくざの商売のサプライチェーンマネジメントやリスクマネジメント、ITを利用した詐欺システムのサービスを始めてしまうのである。そういう商売、現実にありそう…。売り込みにItem Numberを利用しようというのも画期的。お客さんはイチコロである。とはいえ、本作の踊り子(セールスマンの同僚)はちと痩せすぎていた。お腹たぷたぷじゃないとインドでは通用しないぞ。
#58「Lucy」Luc Besson/2014/仏/Aug. 24/PVR Koramangala○
ベッソンはとうに“向こう側のひと”なので普段は観ないのだけど、本作は台北が舞台ということで足を運んだ。CPH4なるドラッグの運び屋としてはめられたSkarlett Johansson演じるLucyが、体内でCPH4を吸収し脳を100%活性化する。くだらないSFかと思っていたら、ベッソンのやりたい放題。清順がつくったらこんなSFになるかも、といったノリで結構楽しめた。舞台が台北からパリと、知っているところに移動していくのも好印象。悪役がチェ・ミンシクで、なぜ突然韓国人なのかわからないが、まあ狂人役としてベッソンのお気に召したのだろう。おかげで英語、北京語、韓国語、フランス語が入り交じる、グローバル臭のつよい作品になっている。脳をたくさん使うには相当のエネルギーが必要なはずで、そのためにLucyはしこたま食べなくてはならないのだから、台北でおいしいものをたくさん食べて欲しかった。Lucyが時間を遡っている最中、眼前をフリックするのが笑えた。もっと未来的なインタフェースがあろうに。
#57「Mardaani」Pradeep Sarkar/2014/インド/Aug. 23/INOX Lido○
主演はRani Mukerji。Vydia Balanと同い年で雰囲気も近いベテラン女優である。よく憶えていないのだけど、『Bombay Talkies』でRandeep Hoodaの妻役だったようだ。本作の彼女はムンバイ警察に勤務する凄腕のシニア捜査官。知り合いの少女の失踪をきっかけに、組織的少女誘拐事件に立ち向かう。実話に一部もとづいていて、インドでは年に4万人も少女が誘拐され国内外の風俗産業に送り込まれているらしい。映画中はともかく、この国の黒社会は僕のような身にはまったく現実が見えない。が、ありそうなことだ。そのような背景には心を痛めながらも、Raniさんの強さを楽しむのが本作の見方。Salman Khanなどのように超人的あるいは漫画的に強いのではなく、普通に強い。組織が運営する高級売春クラブにやってきた大臣をこてんぱんにやっつけたりするのは爽快。序盤で見られる、捜査のための七変化も楽しい。探偵だったVidya Balanのそれとは違いコメディー性はないにも拘わらずだ。
#56「Alludu Sreenu」V. V. Vinayak/2014/インド/Jul. 29/PVR Koramangala○
Bellamkonda Sai Sreenivasという新人が主演のテルグ語作品。台湾か韓国の俳優の雰囲気。相手役は久しぶりに見る腹出し女優Samantha。顔がぷにぷにしてて、触ると気持ちよさそう。Tollywoodって、やたらとItem Numberが入って、最初はいいんだけどだんだんうんざりしてくる。そのひとつが日本ロケ。例によって本篇との関連は微塵もない。主演ふたりが神戸や新宿などで踊る。違うナンバーでは、セットに謎の鳥居が設置してあって、その鳥居に謎の漢字らしきものが書いてあって笑った。ストーリーはPrakash Rajが主演ふたりのそれぞれの父を演じる二役で、水戸黄門みたいに相手になりすまして悪を裁く勧善懲悪もの。コメディーリリーフにBrahmanandam。相変わらず何がおもしろいのかさっぱりわからない。バンジージャンプのところでマカオタワーが出てきたり、CochinのBack waterが出てきたり、ロケは充実してたな。もちろんハイデラバッドも出てくる。これはTollywoodのお約束。
#55「Kick」Sajid Nadiadwala/2014/インド/Jul. 29/PVR Koramangala
テルグ映画のリメイクらしい。Salman Khan主演。あれがJacqueline Fernandezか。そういや『Race 2』にも出てたっけ。美人ではあるが、どうでもいいや。Salman Khan作品は何作か観てきたが、どれもヒューマニズムが押し出されていて居心地が悪い。(あ、『Dabangg』は違うかも。サングラスを同作のように背中にかけるシーンあり。トレードマークかな?)本作も病気の子供たちを支援するための資金を集める義賊の話。腕や胸毛を剃っているくせに耳毛が見えるとか、なんか変なおじさんだ。酔っ払いの演技も下手。で、本作ではSalman Khanを追いかける警官役のRandeep Hoodaがやたらとかっこいい。BataのAll Weatherを履き、走る2階建てバスの屋根に仁王立ち。やり手の警官の割にはSalman Khanの正体に気づくのが遅かったが。舞台はデリーとワルシャワ。ワルシャワで出てくる人たちが次々とヒンディーを喋るのはいかがなものか。『BOSS』に出てくる曲『Party All Night』がかかったよ。もしかしてスタンダード?
#54「Vikramadithyan」Lal Jose/2014/インド/Jul. 27/INOX Lido○
Mollywoodの若手といえばDulquer Salmaan。一体何作出てるんだろうか。本作品はKochiが舞台の、竹馬の友というか永遠のライバル関係にある青年2人の成長記。片や警官、片や泥棒の息子(こちらがDulquer Salmaan)で、警官は恋人までその泥棒に盗られ、その怨念は深い。息子同士は町医者の娘と警官の地位を巡り競争するが、警官(父)の陰謀により泥棒の息子は警官になれず姿を消す。なかなかの大映ドラマ的ストーリーで面白い。ここから先も、ツッコミどころ満載なれど話が急展開し、ハッピーエンド。終盤にNivin Paulyが出てきてびっくりした。デリーロケあり。Qutub MinarやOld Delhiが登場。娘Deepikaを演じていたのはNamitha Pramodという女優。まだ二十歳前とは思えないほど老けて見えた。Dulquer Salmaanには2人の妹がいるのだが、こちらも存在感がなかったなあ。それに、2人である必要性が微塵も感じられず。しかし、警官になるのは本当にあんなに大変なんだろうか。であればみんなムキムキのはずだ。
#53「Thirumanam Enum Nikkah」Aneesh/2014/インド/Jul. 26/PVR Koramangala○
Nazriyaちゃん、結婚式をひと月後に控えての、ラマダン中の公開となったタミル語作品。相手役はJaiという俳優。細かいところは不明だが、お互いに本当はヒンドゥー教徒なのだけど、チェンナイからコインバトール行きの列車で別人名の切符で乗ったことからお互い違う名前で認識し、しかもお互い相手をイスラム教徒だと思い込み、自分も見かけ上ムスリム化しようとするお話。ちょっぴりヒンドゥー教とイスラム教の対立場面もあるが、ふたつの宗教にまつわる儀式や祭を、実写を組み合わせて見せているところが実に興味深い。特にイスラム教のものは映像が少ないからね。Nazriyaちゃん自身ムスリムだから、演技は堂に入ったものだ。ただし、頭をふわっと覆ういつものスカーフスタイルは見られず。あれがいいのに。ビリヤニについて、ベジだのマトンだのいろいろやり取りがあって面白そうだったのだけど、わけがわからず残念。例によって、コリウッド独特のギャグ、ダンスシーンもあり。これだけは慣れないなあ。
#52「Velaiyilla Pattathari」Velraj/2014/インド/Jul. 19/PVR Koramangala○
ラジニの娘婿Dhanushの第25回出演作品。工学部を出たプータローでマザコンのDhanushが建設会社に入社して政府系プロジェクトを成功させる話で、並行してラブストーリーが描かれる。相手役はAmala Paul。ちょいとDeepika Padukone似でタミルっぽくないなと思ったらケララ出身のようだ。Dhanushの演技は相変わらずいまひとつ。最後には上半身裸で見せるアクションは、以前も書いたがやはり李小龍の影響大だ。ストレートで無骨、コメディ性なし。土着性の高そうなダンスはなかなかいいと思う。歯医者さんのAmala Paulとの恋愛にはSurabhiという加賀まりこみたいな社長令嬢が絡んできて、『喧嘩太郎』のいづみさまvs中原早苗のように面白くなるのかと思いきや空回りでがっかり。入札で負けた会社がDhanushのじゃまをしてきて、堪忍袋の緒が切れるあたりは『昭和残俠伝』シリーズの趣。土曜の初回上映にしては劇場は混んでいて、しかも結構盛り上がっていたのは、何か理由があったのだろうか。
#51「Humpty Sharma Ki Dulhania」Shashank Khaitan/2014/インド/Jul. 13/PVR Koramangala
Varun DhawanとAlia Bhatt主演の恋愛コメディー。はっきり言ってこのふたりは僕にとっては若手というより苦手で、ストーリーに入っていけない。Alia Bhatt、『Highway』はまあよかったのに。冒頭でVarun Dhawanが観ていたのはSRKの『DDLJ』かな? TOIであれのパクリ(“オマージュ”ともいう)とか書いてあったし。というわけで、前半はDelhiを舞台にした、Varun Dhawan、Alia Bhattに一目惚れするの巻。後半はAmbalaを舞台にした、Varun Dhawan、Alia Bhattのお父さんに気に入られるよう頑張るの巻。前半ではデリーのカフェが何軒か出てくるのをはじめとして、なんだかおしゃれな雰囲気。オールドデリーの出る幕はない。これは後半の地方都市Ambalaとの対比も考えているのだろう。Ambalaはハリヤナ州でもChandigarhに近い方の側。街のシンボルらしいGurudwara Shri Manji Sahibが何度も出てくる。さて、鑑賞の真相は、会話がわからず話の展開について行けないので、途中で放棄したのであった。
#50「Lai Bhaari」Nishikant Kamat/2014/インド/Jul. 12/Q Cinemas Whitefield○
今度はマラーティ語作品。そんなのわかるわけないのだが、ありがたいことに英語字幕が付いていた。はじめての劇場で、観客の盛り上がりようが尋常ではなかった。誰かのかけ声で劇場全体が叫ぶ。シネコンとは思えないノリ。『Ek Villain』のシリアルキラー、Riteish Deshmukh主演。二枚目ヒーロー役には違和感あり。マラーティもボリウッドもつくってるスタジオは同じだろうし似たようなものかなと思っていたら、Item Numberこそかなり派手だったが、あとは違っていた。そもそも女優が不細工だし、ストーリーがベタベタの南インド系。Salman Khanが特別出演して謎のギャグをかますのも南インド風。ただし、ホーリーが派手なのは北インド風だし、Riteish Deshmukhが実は双子だったという設定はインド映画共通か。とにかく、滅法面白かった。ビシュヌ神の化身Vitthalと主人公を重ね合わせているらしく、煉瓦を武器にしたり姪の名前がRukminiだったりする。冒頭の聖地Pandharpurへの巡礼シーン(実録)は圧巻。
#49「Chaar」Sandip Ray/2014/インド/Jul. 6/PVR Phoenix Market City○
いよいよベンガル語作品にまで手を出してしまった。監督があのサタジット・レイの息子ということで、エンタメ作品でもないのにバンガロールでかかっているのだろう。作品は4つの独立した短いエピソードからなるオムニバス。それぞれ結構面白そうなのだが、肝腎の所には言葉の壁。なのでストーリーを想像しながら映像に見入ることにした。細かい撮影テクニックはともかく、それぞれ素材は美しかった。どれが好きかと聞かれたら2話目の、高貴な方の誕生日(10月6日)に再会を誓った竹馬の友がスーパースターになっていたという話かな。1話目の主役のおっさんは西村晃を思わせた。4話目のみモノクロ・スタンダードのクラシカルな雰囲気で撮られていた。いいんだけど、書き割り、特に時間がたっても動かない月がわざとらしかったな。Chaarというのは4のことでヒンディーと同じ。最近憶えた。文字もデーヴァナガリーに似ているようだ。客席が混んでいてびっくり。ベンガル人も多いのか、バンガロール。
#48「The Fault In Our Stars」Josh Boone/2014/米/Jul. 6/PVR Phoenix Market City○
英国ものかと思わせるハリウッド作品。末期癌を患う少年・少女が知り合い、愛し合い、死別する。覚悟や諦念のない若さで死ぬというのは気が狂いそうだが、すでに死に目を一度見ている彼らはふたりとも悟りの境地に達している。憧れの小説家役でWillem Dafoeが登場する。いつのまにこんなじいさんに? 辛くあたった若者たちには幻滅のいやな奴と思われてしまったけれど、彼の本意を知るにはふたりは若すぎた。ベッドシーンがあったと思われる個所での唐突なカットに笑ってしまった。インドだ。インターミッションを入れるタイミングにも喝だ。Willem Defoeが住むところとしてアムステルダムが出てくる。やはりヨーロッパは雰囲気がいいね。英語作品に英語字幕か。アメリカのテレビでCC出して見ていたのを思いだしたよ。LINEのようなアプリでふたりがコミュニケーションするのが、アニメーションでスーパーインポーズされるのだけど、まったくいやみがなかったな。と、どうでもいいことを書いたけど、いい作品でした。
#47「Bobby Jasoos」Samar Shaikh/2014/インド/Jul. 5/PVR Koramangala○
クルタを着ているとよくわからないけど実は結構太めのインド人好み美人Vidya Balanのコメディー。ハイデラバッドのムスリム家庭の娘Bobby (Vidya Balan)が私立探偵で七変化。高額の依頼を受け人捜しをする。話自体は結末も含め予想が容易なたわいもないもの。でも、コメディーだからとタカをくくっていたわけではないけどストーリーを追うのが精一杯。Wikipediaで復習し、なんとか人間関係を把握した。おそらくヒンディー語とテルグ語のやりとりもあったと思うが、まったくわからず。ヒンディー語は端々に知っている単語が出てくるようになったが、会話を追えるレベルには深〜い谷がある。“ありがとう”で“シュクリヤー”と“ダンニャワード”両方聞こえたけど、どう使い分けているんだろう。結婚式は典型的な北インドのものに見えた。ムスリムもヒンドゥー教徒も結婚式のスタイルは同じなのかな。ハイデラバッドといえばビリヤニ。ふんだんに登場。お昼に食べたばかりだったのでなんともタイムリー。また食べたい。
#46「Athithi」Bharathan/2014/インド/Jun. 28/PVR Koramangala○
南印の本郷功次郎、Nandha主演。Ananyaという女優が奥さん役。どうみても南方系のふつうの女性である。スターなの? 冒頭から観客に対するちゃちな脅しが何度か入り気が滅入ったが、そのうち話の進みに引き込まれていった。なのに、それをぶった切るかのように、謎のギャグタイム2回、謎のアイテムナンバー2回。脚本は結構おもしろいので、これらがなければ評価は高まると思うのだけど、どうもタミル映画の趣味はわからない。社内のいざこざに絡んで娘を誘拐された(ように見える)Nandha、Ananya夫婦が犯人と延々チェンナイをドライブし、ときどき犯人(Nikesh Ram)に指図され街に入っていく。チェンナイは暑いはずなのに、そんな雰囲気はまったくない。もしかして、現地のひとは暑いと思っていないのだろうか。劇中CMがさかんな映画だった。日産もドーン。娘はドラえもんのパジャマを着ていた。インドでも人気のドラえもん。どら焼きってインド人にわかるのかな?
#45「Ek Villain」Mohit Suri/2014/インド/Jun. 28/PVR Koramangala○
奥さんを殺されたアイスCFのにいちゃんSidharth Malhotraとドライバーが凶器の冴えない連続殺人鬼Riteish Deshmukhの対決映画。奥さん役のShraddha Kapoorがうざいくらい異常に明るく、しかも“やることリスト”など作ってせっせとこなしているところから、難病ものと推測して観ていくと、さにあらず。なかなか憎い脚本である。舞台はゴアとムンバイ。ゴアは何ヶ所か知っている場所が出てきた。Riteish Deshmukhは人を殺すとき黒いカッパを着る。わざわざ着る。自分で気分を盛り上げているのだろうか。結局、何が気に障ってShraddha Kapoorが殺されることになったのかがわからず、残念。やはりヒンディーがわかるようにならないとだめだな。ガネーシャが何度もシンボル的に出てくる。この辺りもヒンディーやインド文化がわかっていないと理解できないようだ。Apolloの病院が出てくるけど、中でロケしているのだろうか。するわけないか、病室がグチャグチャになるもんな。
#44「Oggarane」Prakash Raj/2014/インド/Jun. 15/PVR Koramangala○
強面役Prakash Raj主演のロマンス作品。自身で監督。マラヤラム映画のリメイクらしい。前半のテーマは食。のっけからさまざまなインド料理の調理場面、食事場面を畳みかけられ、お腹が空く。食に拘るPrakash Rajが、ケララ料理屋と間違えて電話をかけてきたSnehaと電話・メールを介した恋に落ちる。ここまではちょいと『The Lunch Box』。いよいよ会うというときに、お互い自分の弟、妹を身代わりに派遣し、その弟、妹が互いに一目惚れしてしまったおかげで、兄、姉はすれ違いを続け、後半、観客をずっとヤキモキさせるという展開。で、ハッピーエンド。SnehaがPrakash Rajに会ってその歳に動じないのは、おっさん趣味ということかな。それともPrakash Rajの年齢設定はずっと若いのか…。兄弟、姉妹の仲直りがあっさりしすぎ。でも、演出はベタすぎず、コメディーにも走りすぎず、結構いい感じだった。本作はカンナダ語版だが、単なる吹き替えではないテルグ語版、タミル語版もあるらしい。そういうの、どうやって撮るんだろう。
#43「How Old Are You」Rosshan Andrrews/2014/インド/Jun. 14/PVR Koramangala○
女性の自立をテーマにしたマラヤラム映画。主演のManju Warrierは実に15年ぶりの映画出演。10代で結婚して引退していたらしい。年齢からいってもNazriya Nazimと同じような感じ。Nazriyaちゃんも将来復帰してもらいたいものだ、太っていなければ。さて、そのManju Warrierは公務員を兼業する主婦。夫と娘と一緒にアイルランドに移住する計画に挫折。降って湧いた大統領との面会も緊張しすぎて大失敗。元気をなくしているところに、昔の同級生が現れ、彼女を変える。巷に溢れる農薬漬けの野菜を糾弾し、無農薬野菜の栽培事業を近所の協力を得ながら立ち上げる。最後に大統領との、今回は堂々たる面会。Manju Warrierは性格が変わろうとも、サリー姿は絶対に変えない。年齢は関係ない、立ち上がれインドの女性よ、というメッセージばりばりである。ちょいとお腹いっぱい。大統領官邸のシーンは、中庭も本物なのだろうか? ぱっと目にはジャイプールで入ったCity Palaceに似てた。まあ、似ていて当たり前なのかもしれないが。
#42「Holiday: A Soldier Is Never Off Duty」A.R. Murugadoss/2014/インド/Jun. 8/PVR Koramangala○
Akshay Kumar主演のアクション。彼のいささかオーバーなハードアクションは結構気に入っている。相手役はSonakshi Sinha。前半でボクシングをはじめとする多才なスポーツウーマンぶりを見せるのだけど、ここまで太っていては説得力半分だ。いつ太ったの? 陸軍のAkshay Kumarが休暇でムンバイに帰ってきて、いきなりSonakshi Sinhaとお見合い。必ず花嫁候補さんがお茶を出すんだね。途中に意味もなく入るItem Numberがボリウッドの証し。アクション映画ゆえ、もちろんそのまま恋愛喜劇という訳にはいかず、爆弾テロ発生。明らかになるAkshay Kumarの正体。明らかに小さくなるSonakshi Sinhaの存在。テロ集団sleeper cellsとの頭脳戦。ムンバイの街は最近行ったこともあり、結構ファミリアになってきたよ。協力企業らしく、Cafe Coffee dayやPVR Cinemasが登場人物の口から発せられるのがどこか懐かしい。この週末の目玉作品だけあって、劇場はほぼ満席状態だった。
#41「Filmistaan」Nitin Kakkar/2012/インド/Jun. 8/PVR Koramangala○
映画祭に出品して賞までもらってるんだし、字幕くらい付けてくれてもよかろうに。ボリウッドの俳優志望助監督が、アメリカ人監督に付いてラジャスタンにドキュメンタリーの撮影に行き、テロリストに襲われパキスタンに拘留される話。ラジャスタンってパキスタンと接しているけど、そんなに簡単に国境を越えられるものなんだろうか? タイトルバックが『Sholay』みたいな感じで、映画オタクものとわかる。Jaipurの街もたくさん出てくるのだけど、本筋でないので早廻し。なんてところが、いい。で、本筋部分はたっぷり砂漠の中である。タール砂漠の中の小さな村に拘留されながら、映画好きのパキスタン人と仲良くなり、果てはテロリストのひとり(どこか松方弘樹を思わせた)ともわかり合えるようになる。村での映画上映会。Salman Khanの映画がかかる。元は同じ国だし、メンタリティも同じなんだろうな。インドにとってのパキスタンって韓国にとっての北朝鮮みたいなものかな。
#40「CityLights」Hansal Mehta/2014/インド/Jun. 1/PVR Koramangala○
イギリス映画のリメイクらしい。予告篇を見て、よさそうだったので鑑賞。ラジャスタンで職を失った男が妻、娘と生活の糧を求めてムンバイにやってくるものの、当然そこでも辛い生活が待っていた、という話。いきなりアパートの契約で前金と称してお金をだまし取られる。そもそもインドって領収書とかくれないことが多々あって実際とても不安なときがあるので、妙に共感。男は警備員に、妻は水商売に。女性が踊り、それに対し客がお札をばらまくという、話には聞いているインドの飲み屋(キャバレー?)。ふーん。男を演じているのはRajkummar Rao。どこかで見たと思ったら『Kai Po Che!』の3人のひとりだった。妻の方もどこかで見たような女優だけど、Patralekaという名前は初めてだ。(Parineeti Chopra+Divya Dutta)/2といったところ。救いのない暗い結末を期待(予想)していたけれども、意外にもややハッピーな終わり方。これがボリウッドウェイか。一部、ロングショットを使っていたのが印象に残った。
#39「Bangalore Days」Anjali Menon/2014/インド/May 30/PVR Koramangala★
Nazriyaちゃん映画。スケジュールが合わず、公開初日の深夜に観ることになった。ほぼ満席。バンガロールってケララ人多いのか。現在のマラヤラム映画の若手俳優代表Dulquer Salmaan、Nivin Pauly、Fahadh Faasilの3人全部を相手にした青春もの。SalmaanとNivinとが仲良しのいとこ同士で、実生活でも婚約したFahadhとは冒頭でお見合い結婚する。このケララ出身の4人がバンガロールに出て暮らし、それぞれが大人の仲間入りをしていく。3時間近い長尺だが、面白かったし、何よりNazriya Nazimが時折見せる美しさが素晴らしかった。男2+女1のいとこ同士で男女の意識がかけらもないところがおとぎ話だな。もちろんバンガロールロケ。なじみ深いFM局Indigo 91.9の外観が出てきたし、Phoenix MallやそこのPVR Cinemasとか、Mainland Chinaで食事とか、盛りだくさん。初めて高層マンションに暮らすNazriyaちゃんがベランダに出てうっかり窓を閉めロックアウトされてしまうエピソードには、自分はやらないようにと気を引き締めた。
#38「Heropanti」Sabbir Khan/2014/インド/May 25/PVR Koramangala○
Jackie Shroffの息子Tigerのデビュー作。相手役のKriti Sanonも新人。典型的なボリウッド勧善懲悪お気楽ムービーを期待していったのだが、そうお気楽ではなかった。例によって結婚式から駆け落ちした娘を奪還すべく、例によってやくざのボスである父親Prakash Rajが、娘の相手らしい男の知り合いTigerらを拉致し、居場所を履かせようとする。Tiger Shroffが一目惚れした相手は、例によってPrakash Rajの次女Kriti Sanonで、という展開。意外にもPrakash Rajの父親としての苦悩が前面に出てきて、最後にはいい人に…。Tiger Shroffは体操選手なのか? これまでのヒーローとは体の動きが違う。色は白いしインド人にありがちな髭(そり跡も)や胸毛がない。寄り目で、あまりカリスマ性もなさそうだ。Kriti Sanonも、どちらかというと美人系だけど、普通。Item Numberもいまひとつだった。舞台は後半デリーに移動。いろいろ出てきて、そこは楽しかった。しかし、こんなんだったら南インド映画にするんだったな。
#37「Kochadaiiyaan」Soundarya R. Ashwin/2014/インド/May 24/PVR Koramangala
2D/3Dとあると、つい3Dを選んでしまうのが性というもの。だいたい後悔するし、これもした。例によって冒頭に“SUPERSTAR RAJNI”(RAJINIじゃない)と出て映画は始まったが、アニメーションだからなー。これ、ほんとにラジニ作品と呼べるのだろうか。『ロボット』も相当CGの力を借りていたけど、もう実写のラジニは無理ということか。実際、じいさんだしね。しかし、アニメーションがちゃちい。三役のRajinikanthも、Deepika Padukoneもしょぼい、というかディーピカちゃん恐いし。僕はゲーマーではないけど、一世代以上前のビデオゲームって感じ。なんでアニメでItem Numberやらんといかんのだ? 物語は簡単にいうと復讐もの。時代はよくわからないけどずっと昔。そんな昔からサリーはセクシーだったのか怪しい。予告篇がかかったけど、シルベスタ・スタローンも老体に鞭打っているみたいだし、ラジニにももう一度頑張ってもらいたいものだ。あ、李連杰みたくアクションやめてドラマにする手もあるな…。誰も観ないか。
#36「The Xpose」Ananth Narayan Mahadevan/2014/インド/May 18/PVR Koramangala○
音楽から脚本から出演までするマルチアーティスト(たぶん)Himesh Reshammiyaのための作品。監督まではやっていないが、演出もスタイリッシュなところをあざとく狙っている。この男、藤竜也に見えるのが憎たらしい。殺されたセクシー女優について、犯人は誰だってなものよと元警官現俳優の藤竜也が推理するのが骨格なのだけど、関係者の誰もが動機に乏しくこりゃしょうもない結論ではと思っていると、しょうもなくはないけど、やはり弱い結末であった。舞台は1967〜8年のボンベイ映画界で、時代考証まったくなし。便器に赤外線センサが付いていたし、これがデビュー作というSonali Raut(殺されるセクシー女優役)のビキニも60年代のものとは明らかに違う。ま、これも狙いの範囲かもね。もうひとりの女優Zoya Afrozもボリウッドデビュー。Soha Ali Khanを若くしたような感じ。脚本で一番わからないのが、月曜ロードショーの荻昌弘みたいに出てくるIrffan Khan。なんなのかな、必要な役なの?
#35「Godzilla」Gareth Edwards/2014/米/May 17/PVR Koramangala○
ゴジラってTVでしか観たことはない気がするのに、ハリウッド版ができたというので観に行ってみた。奮発してIMAX 3D版。ハリウッドの特撮(SFX)ってやはりボリウッドより上。えらく自然。反面、ゴジラも敵のMUTOも“人間入ってます”っぽいルックスがよい。放射線を含むあらゆる(?)エネルギーを吸収して成長する化け物MUTOはフィリピン、日本、ハワイ、ラスベガス、サンフランシスコと飛び回り、それを追いかけゴジラが戦う。富士山に近い原発がメルトダウンして“ゾーン”化している様が痛々しい。そこに侵入するストーカー。タルちゃんか。ハワイの津波シーンもぞっとする。(このあたり日本ではカット?ビルに何かが突っ込むシーンはアメリカではカット?) 放射線を吸収するMUTOを利用して除染する、うまいこと考えたな渡辺謙。でも、MUTO夫婦が死んでから、あの核弾頭はサンフランシスコ沖で爆発したはず。今度はどうやって除染するのだ? そうそう、1999年のシーンでジュリエット・ビノシュが出てた。
#34「Mastram」Akhilesh Jaiswal/2014/インド/May 11/INOX Forum Value Mall
1980-90年代に出回ったというエロ・パルプフィクション(このインターネット時代、いまでもあるかは不明)の匿名作者Mastramの仮想伝記。まったく凝ったことを考えるものだ。ただ、ふたを開けてみれば、自作を認めてもらえない小説家志望の男がエロ小説で食いつなぐというひとつの紋切りだった。前半、お昼にビールも飲んでいないのに睡魔が襲ってきてストーリーが完全には追えず。男は若くして結婚するのだが、奥さん(Tara-Alisha Berry飾)がなかなかセクシーだ。こういう役でデビューするとやはりPoonam Pandeyみたくセクシー路線でいくしかないのだろうか。なんかこの映画の主題に通じるね。PCはまだない時代ゆえ、男はタイプライターを勧められるがペンで執筆する。デーヴァナーガリーの手書きは楽しそうだけど、あれ自分で書くとかっこよくないのは何故なんだろう。悪筆はどんな言語でも共通ということか。ところで、このForum Mallに入っているシネコンはINOX。なんでPVRじゃないのかな?
#33「Manjunath」 Sandeep A. Varma/2014/インド/May 10/INOX Lido○
実話ベースだからかエピソードが散漫で(ヒンディーがわかれば言葉でしっかりつながるのかもしれないけど…)映画としては全体としていまひとつ感。普通のひとを犯罪に巻き込んで殺すことへの社会的批判メッセージが前面に出ているものの、実際の事件を知らない者(僕だ)にはそのインパクトがあまり伝わらない。まあ社会派エンターテイメントとして観れば気楽だし、石油商売を巡る不正は興味深いので印象は悪くない。カルナータカ出身で陽気な青年Manjuが大学卒業後大手石油会社に就職し、普通のサラリーマンとして顧客廻りを担当するうちに不正に気づき、脅され、周囲からは精神病扱いされながらも、最後には不正の告発に乗り出し、怨みで殺されてしまう。映画はここで終わらず、その後の犯人逮捕や裁判を巡る社会の反応や面倒を避けることを優先し彼を助けられなかった同僚・友人らを見せていく。恋人かと思われたAnjori Alaghの存在が中途半端(事実なんだろう)。久しぶりにDivya Duttaを見た。Mysoreの大学教授(?)役だった。
#32「魔警」林超賢/2014/香港/May 3/TGV Cinemas 1st Avenue○
バカンス中のペナンで香港映画を観る、また愉しからずや。Nazriyaちゃんのタミル映画もあったのだが、2本も観るこたないのでそちらはパス。たまには広東語も聴きたいよね。これはサイコスリラーかな。呉彦祖演じるくそ真面目警官と残虐強盗団リーダーの張家輝の鏡像映画。中文・英文字幕もあるので物語構造は理解できるのだが、それがかなり不自然に思え、ストーリーにのめり込むことはできない。そもそも張家輝の二役の存在がデリケート、いや安直過ぎる。でも、呉彦祖も張家輝も十二分恐くて、その点では見応えがあった。特にちょい張震似の呉彦祖という役者は初めて見たが、一見して“こいつ危ない”というキャラを見事に演じていた。呉彦祖を助けようとする、元大学の友人らしい上官の女性(思漩飾)の存在が中途半端。あれならいなくても映画は成立するんじゃない? ホラー映画的要素も若干あるのだけどあくまで“若干”で、ペナンの酷暑をクールダウンするには至らなかった。
#31「Samsaram Arogyathinu Hanikaram」Balaji Mohan/2014/インド/Apr. 27/Innovative Multiplex: Marathahalli○
しゃべる過ぎるとH10N10ウィルスに感染してしゃべることができなくなってしまうDumb Fluがある町で流行し、静かなパニックに陥るコメディー+純愛ストーリー。いつものDulquar SalmanとわれらがNazriya Nazim主演。Nazriyaちゃんは女医役。メガネっ子だ。今回は下のアイラインが強くて元々目が大きいので似合わない。それがないシーンではホッとした。言葉が生み出す人間関係の災い〜言葉を失った社会の苦闘〜言葉の回復が新たな人間関係をつくりだす、という展開はまさに小津の『お早よう』であった。厳戒態勢のなか、しゃべった人間を消毒剤で瞬間的に隔離する場面がおかしい。なぜそこまでしなくちゃいけない? しゃべると感染るのか? 最後にSalmanとNazriyaちゃんは結ばれてハッピーエンド。中盤は誰もしゃべらなくなるので観ていても問題なかったが、序盤がわかっていないので例によって細かい役どころがよく把握できなかった。舞台は山間部の町。ケララ州、インドのイメージから遠い、とても風光明媚なところだな。
#30「Gangster」Aashiq Abu/2014/インド/Apr. 13/Galaxy Paradise○
(黄秋生+若山富三郎+安井昌二)/3なおっさんMammoottyが凄腕のギャングを演じる黒社会もの。面白かった。Mollywoodなのに、舞台はカルナータカ州マンガロール。そこのボスAkbar(Mammootty飾)は滅法強く、迷いというものが一切ない。MHナンバーの年代物Land Roverに乗り、渡哲也のごとくショットガンをぶっ放し、坊ちゃん刈りのくせに渋い。演出で好感を持ったのは、主要な人物だろうとなかろうと容赦なく死んでいくところ。それがリアリティーというものだ。Akbarと結婚する美人女医さんもさっさと殺されてしまう。と言いながら、もちろんAkbarは死なないし、敵の大男には現実味が丸でないのだが…。ボンベイのオープニングから現在に至るAkbarの生い立ちをアニメで表現し、クライマックスシーンでも一部アニメを利用。もう少し質がよくてもいいな。ビーチリゾートでロシア人の裏組織が出てくる。インドではロシア人はろくでなしというレッテルが貼られているのだろうか。
#29「7th Day」Syamdhar/2014/インド/Apr. 12/PVR Koramangala
ナマスカーラ。『Race Gurram』かこれかで迷い、Shruti Hassanが出てるので『Race Gurram』にしようかと一旦思ったが、Wikiの紹介を見る限りこちらの方が断然面白そうだったので心変わりした。うーん、残念ながらストーリーが掴めない。主役の刑事が実は悪い奴でまんまと1,750万ルピーを手にするという結末(いきなりネタバレですまぬ)だけはクリア。しかしそれに至る、事件にかかわる5人のやり取りが想像の域を出ず、その断片的な想像が全体としてストーリーにならなかった。雰囲気は『名探偵ポワロ』。刑事が不可解な事件に“偶然”関わり、謎解きをやっていく。登場人物は限られ、ロケーションも数ヶ所で、かなりの低予算映画。滝(Athirapally waterfalls; もちろんケララ州にある)での自殺シーンはCGだろうか? 女優(Janani Iyer)を筆頭にキャストに魅力がなかったのが残念。やはりShruti Hassanを取るべきだったか。きょう感じたのは、マラヤラム語ってカンナダ語に似てるね、ってこと。PVRの新装8番スクリーンはグッド。
#28「Rowdy」Ram Gopal Varma/2014/インド/Apr. 6/PVR Phoenix Market City
レーイ。A ratedの黒社会もの。Mohan Babu親分が主人公で、実の息子Manchu Vishnuが“よい息子”Krishnaを演じている。冒頭のKrishna登場シーンから暴力描写がうんざりするほど続く。例によってA ratedでも赤ちゃん、少年少女が鑑賞しているので、こんなもの見せたらいかんだろう、と心配になってしまう。Krishnaの相手役の女優は鼻の下が短いShanvi Srivastava。Neural Networksの本をもって歩く理系女子である。途中で入るItem Numberでは思い切り出したおへそを舐めるように撮られてお気の毒。まあ痩せてるからいいやね。しかし、何人殺してもOK。ボスの私的警備に平気で拳銃、マシンガン。こんな世界がいまでも実際にあるとしたらおそろしい。(あるのかな?) 舞台はAP州のどこかだが、郊外だけでなく街中のロケがたくさんあり、撮影の野次馬らしき人たちが映り込んでいてその点は楽しかった。演出は各脇役にわかりやすいひと癖を持たせていて、それが次第に鼻についてくるのが残念。“Respect”等の口癖も同様。
#27「Jal」Girish Malik/2014/インド/Apr. 6/PVR Phoenix Market City○
グジャラートの砂漠が舞台の、水をテーマにしたドラマ。シナリオはチープだが映画としてはなかなか面白かった。砂漠に住む民族の風俗がまず興味深い。女性の服の背中全開なのは何かの知恵? フラミンゴの生態調査にやってきたロシア人女性が、フラミンゴへの淡水供給の必要性から井戸を掘ることにする。水脈を当てたのは科学ではなく、地元の生活用井戸掘り男。男は同じ村に自分の助手にしているいい子がいるのに他の村の女と結婚し、それが元で破滅する。砂漠で生きるのは過酷だ。“いい子”を演じているのはTannishtha Chatterjeeという女優で、どこかいづみさまに似てるのが超高得点。男が結婚する女を仮に南田洋子と呼んでおくと、男と南田洋子に対する菩薩のような偽いづみさまの行動は『結婚相談』に勝るとも劣らない。国際的にも上映されたからか、性的描写は他のボリウッドに比べるとかなり大胆。でもA ratedじゃないね。ところで水は“パニ”じゃないの?台詞でもそう言ってたし、“ジャール”とは?
#26「Huchudugaru」RJ Pradeepa/2014/インド/Apr. 5/PVR Koramangala○
友人4人からなる青年グループの話。『Kai Po Che』みたいな青春モノかと思いきや、お決まり政治腐敗ストーリーをミックスしたなかなか見応えのある作品だった。田舎で暮らす仲良し4人組が、土地買収絡みで死んだひとの仇討ちに出かける。やくざとの二足のわらじを履くいかにもな政治家(P. Ravi Shankar)が悪玉で、そいつはバンガロールに住んでいる。そこでバスなど乗り継いでの上京。ここはロードムービー。途中でお約束の、女の子登場。ひとりが懇意になる。バンガロールに出てからも含めひとつひとつのエピソードはしょうもないのだが、不思議と眠くならなかった。女の子のファッションが毎日変わるのは当然だが、田舎での4人組はブルー系のおしゃれチェックルンギ姿だったし、バンガロールでもどんどん服(Tシャツではない)を着替えるのが、監督のこだわりか。『Rangan Style』でも出てきたGopalan Mallがまた登場。スタジオに近いのかな? 『Lucia』だったかに出てた風変わりなじいさんがまた出てた。特異ないいキャラだ。
#25「Youngistaan」Syed Ahmad Afzal/2014/インド/Mar. 31/PVR Koramangala○
何年か前にふかっちゃんが出てたキムタクが総理大臣になるドラマがあったけど、あれのインド版かな。Jackky Bhagnaniという俳優がPrime Ministerの息子で父親が亡くなり突然自分がPMになってしまうお話。側近はふかっちゃんではなく、最近亡くなったFarooq Sheikhというおじさん。映画はいきなり日本シーンで始まる。新宿、渋谷、どこかのウォーターフロント、飛騨高山(?)。PMの恋人〜奥さん役のNeha Sharmaという女優がかわいい。新発見だ。6年のキャリアでまだ8本目というのは不遇。これからトップスターになるのはむずかしそうだが、要注目。物語は思ったほど波瀾万丈ではなく、まず順調に国民の理解を得ていく。選挙の年に選挙のシーンはなかなかタイムリー。PMが率いる政党ABKPのマークは拳。Congressのパクリかな。しかし、日本時代の同僚に電子投票システムを勝手に発注して導入するのは、どうみてもまずいでしょう。PMの部屋にあったクッションのひとつがうちのによく似ていた。
#24「Dishkiyaoon」Sanamjit Singh Talwar/2014/インド/Mar. 31/PVR Koramangala○
一単語(?)のヒンディー題名は憶えにくくてかなわない。本作はムンバイ黒社会の仁義なき戦い。孤独な少年が黒社会の男に拾われ成長とともにのし上がっていく。いろいろな面子がそれぞれの思惑、野望で動き、あるときは警察に通じ、あるときは仲間を撃つ。人間関係がスパゲティー状態で、よくわからなくなる。主人公のViki(演じるのはややHrithik Roshanを思わせるHarman Baweja)は強いんだかそうでもないんだかよくわからないのだが、スーパーヒーローでないところがいい。また、重要人物が途中であっさり撃たれて死ぬのもいい。こういうのがリアリズムというものだ(嘘だけど)。Vikiの恋人、ギタリストのMeera役はAyesha Khannaというかっこいい女優。デビュー作らしい。ムンバイは海があるからいいね。横浜が舞台の日活アクション映画みたいになる。そうそう、Sunny Deol演じるつながり眉毛で左利きのLakwaというおっさんが若山富三郎に見えてしかたなかった。熊虎親分は日活アクションには出てこないはずだけども…。
#23「Ulidavaru Kandante」Rakshit Shetty/2014/インド/Mar. 30/PVR Koramangala○
Simpallag Ond Love Story』の主演俳優Rakshit Shettyの監督デビュー作。主演もしている。英題の“As seen by the rest”から『羅生門』のような話かな、と予想して臨んだ。6章からなるストーリーは、章ごとにフォーカスされる人物が異なり、なるほどそれぞれ違う視点でコトを見ていることはわかったのだが、その視点による認識のズレは、カンナダ語が理解できない限りわからなそうだった。語り部の役目を担う、ジャーナリストの女性の印象が薄い。映像はときどき奇をてらった小細工をしていて、この辺は新人監督を感じさせるものの、全体として陰気なトーンで統一され、好ましかった。舞台はUdupi近くの港町。物語の背景としてみんなが虎の格好をして踊るSri Krishna Janmaashtamiという祭が据えられていた。奇祭だな。小さめの劇場ではあったが、かなり観客席が埋まっていたのに驚いたのだが、どうやら関係者がいたらしかった。Sandalwoodも、アクションスターを擁しない新路線を模索している昨今である。
#22「Station」Saad Khan/2014/インド/Mar. 29/PVR Koramangala○
健さん主演ではない。キャスト、スタッフがバンガローリアンでロケもバンガロール界隈という珍しいヒンディー語インディーズ(と言っていいと思う)クライムムービー。なぜヒンディーなのか興味あるな。公開にあたってはPVRが後押ししているらしい。殺し屋組織の内紛もので、登場人物は限定。後半のほとんどはどこかの駅舎で男3人が延々と(ヒンディーで)会話する。なわけで詳細はよくわからないが、時制とか手持ちキャメラとかの特徴的な使い方もあり全体としてかなりタランティーノの影響を感じた。超クロースアップは監督の趣味か。短尺で休憩を想定しない作品にも拘わらず、しっかり入るところがPVR無情なり。終映時、スクリーン前に監督、プロデューサーが出てきて知人10人に紹介してくれとあいさつ。クレジットがまだ後ろで流れているときだったけど、インドでは監督さえもクレジットは軽視しているのかと納得した。TOIの評価は星ふたつと散々だけど、悪くないと思うよ。
#21「Ankhon Dekhi」Rajat Kapoor/2014/インド/Mar. 23/PVR Koramangala○
Phata Poster Nikhla Hero』で見たSanjay Mishraという個性的な爺さん(有名なコメディアンのようだ)主演の、Old Delhiを舞台にした下町物語。Delhi版長屋暮らしの家族。娘の恋愛が発覚しての大騒ぎに始まり、結局めでたく結婚するまでと、隣に暮らしていた友人(監督が演じている; 俳優としても著名らしい)と仲直りするまでのダブルストーリー。なぜ隣は引っ越したのか、なぜ爺さんは口をきかなくなったのか、なぜあのエンディングなのか、もうわからないことだらけ。ヒンディーがわからないとダメダメだ、なひーん。最後の大自然はどこなんだろう? Alexander Resortとか看板が出てたけど。Chandni Chowk辺りの街中のロケシーンでは背後にRed Fortが見えたりして雰囲気抜群。派手派手結婚式パレードも興味深かったな。当然Item Numberなどなかったが、結婚式の準備をするために集まった女性たちが家の中で踊るシーンがあった。巨漢にサリーをまとったおばさんのダンス。これがリアリティーというものだ。
#20「Rangan Style」Prashanth S/2014/インド/Mar. 23/PVR Koramangala
Pradeepというあんちゃん主演のカンナダ語作品。いかにもなSandalwoodもので頭痛くなった。そもそもこれはSudeepが出るからというので観ることになったと理解しているが、特別出演らしい彼の出番は5分程度。あの渋い声で、Pradeepの相手役Kannika Tiwariの父親である政治家を諭す。それはそれでよかったのだが、それで話が解決しないところが、この映画の変なところ。教訓はFacebookは恐い、ということだろうか。インド映画には珍しい悲劇的な結末。これは大衆にはうけないでしょう。女優もだめだめだし。謎の究極は、変な太った女(Bharti Singh)が突如出てきてのItem Number。3パートにわかれる本篇の第2部と第3部の間。結構長かった。ここが売り物? Sandalwoodはなかなか先行き厳しいな。Gopalan Mallでのロケあり。と言っても行ったことないところ。おそらくバンガロール郊外。本篇で出るからか、きょうはジョイアルカスのCFが流れなかった。特別出演といえば、Katrina Kaifも出てたよ。本人は知らないだろうけど。
#19「Bewakoofiyaan」Nupur Asthana/2014/インド/Mar. 16/PVR Koramangala○
インドの原節子、Sonam Kapoor待望の新作。Rishi Kapoorがお父さん。恋人に、濃いインド人の典型みたいなAyushmann Khurrana。この男に魅力がないのが入りの悪さの原因ではないだろうか。話自体もたわいないライト・ラブコメディーだが、酷評されるほどでもないと思う。まあ、こちらとしてはSonam Kapoorが堪能できれば文句はない。バリバリのキャリアウーマンの役で、とっかえひっかえファッションが替わるのは当たり前として、今回の話題はビキニ姿を披露していること。時間は30秒くらいか。左腰あたりにタトゥーがあるのを確認。あとDeepika Padukoneに対抗してか、伊達メガネ姿も。うーん、似合わない。一方、Sonam Kapoorはダンスが苦手なのでItem Numberは免除。残念ながらDeepikaちゃんには絶対かなわないところ。Rishi Kapoorがスプーンでビリヤニを食べるのに、Sonam Kapoorは手で食べるのが印象的。舞台はDelhi。三人でフマユーン廟にピクニックに行っていた。ただし、ふたりが働いているのはGurgaonだと思う。
#18「Yeh Dil Ramta Jogi」Swaroop Kanchi/2013/インド/Mar. 15/INOX Magrath Road○
バンガロールが舞台のヒンディー語作品。ボリウッドではない。監督のSwaroop Kanchiが自ら主演する、どこかジャームッシュのような香りのする良品。功夫・空手に憧れるちょっとヒネた流しのタクシードライバーが女の子ふたりにアタック。ひとり目に失敗後、ふたり目のやくざの情婦をゲット。襲われるが、拳銃で戦い、最後にハッピーエンドとなるおとぎ話。タクシーのシーンではカメラを車外と車内に固定し、夜のバンガロールを走る。映画的だ。女の子とのやり取りは基本、昼間。どこかは皆目わからないが、バンガロールっぽい住宅街の普通の街角。デートではマイソールも出てくる。ふたり目の女の子を演じていたのはRageswari MahantaというSandalwood女優。なかなかいいよ。今後も注目。ひとり目の女の子Cajole Kapoor が働くカフェ・バーは(失念した名前さえ思い出せれば)簡単に見つかりそう。映像で何度かハヌマーンを強調していたけど、何か神話的な意味があるのかもしれないな。インドの神様の勉強が足りないのを自覚。
#17「Ugramm」Prashanth Neel/2014/インド/Mar. 9/PVR Phoenix Market City○
『Balfi!』とか『Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela』のカメラマンRavi Varmanが参加したという、バンガロールロケありのカンナダ語作品。Srimuraliが無敵のハード・アクションものである。巷の評判は高いらしいけれど、例によって会話が皆目わからず、ときどき気も失ったのでストーリーが追えず、映画としての全体評価をする資格は得られず。もちろん、ちりばめられたギャグシーンにもさっぱり笑えず仕舞い。ただし、アクションシーンは文句なくすばらしかった。終盤の周潤發もどき二丁拳銃シーンもワクワクもの。Srimuraliの相手役Haripriyaはなかなかの正統派美人。こういう一見普通に痩せた若手女優でもお腹たぷたぷなのが南方系の証か。そのお腹を揺らしながらのItem Numberあり。また、この映画にもホーリーのシーンがある。いくら近いからといって、ホーリーのある映画が最近やたらとある気がする。観客が好きなのか、視覚的効果が高いから採用したがる映画人が多いのか。
#16「1983」Abrid Shine/2014/インド/Mar. 8/CineMAX Total Mall○
評判がすこぶるよいクリケット映画。クレジットで監督がSachinのHard core fanであることが宣言されており、実際、映画中(実世界でもだが)Sachinは神様扱いである。主演はNivin Pauly。つい先日『Ohm Shaanthi Ohshaana』でNazriyaちゃんの相手役を演じていた役者だ。このクリケット大好き男の少年時代から青春を経て結婚、クリケット好きが息子に引き継がれていく30年が緑豊かな自然の中で描かれる。1983年というのはインドがワールドカップで初優勝した年らしい。カープが1975年に初優勝したときのようなもんだ。あのときは盛り上がったよ。図工の時間にカープ坊やの絵皿をつくったのをよく憶えている。閑話休題。主人公の初恋は結構長くつづくのだけど、あるとき破局してしまう。これがなぜなのかわからなかった。身分の差かな? 結局お見合いで普通の女性と結婚するのだが、この辺りのリアル感も観客にウケている一因かもしれないね。息子が見るからにひ弱そうなのが気になった。他に子役はいなかったの?
#15「Shaadi Ke Side Effects」 Saket Chaudhary/2014/インド/Mar. 1/PVR Koramangala○
Farhan AkhtarとVidya Balanが夫婦を演じるオトナのコメディー。アスリートじゃないFarhan Akhtarを見るのは初めてなのでなかなか新鮮。Vidya Balanはいつ見ても一世代前の美人の風格をそなえているが、太り気味なのがどうにも受け付けない。仲睦まじく暮らしていた夫婦に突然子供ができ、少しずつお互いの距離が離れていく。子供中心に生きる妻と、家庭外にオアシスを求める夫。そして後戻りのできない深刻な状況に陥るのだが…、一転仲直りし、立場を換えてのハッピーエンディング。何が起こったのかさっぱりわからない。10年間くらいの話だが、ふたりともルックスがまったく変化しないのが不自然。スマホも10年同じのを使うわけがない。スポンサーにSamsungが入っていて、スマホはもちろん家電も全部Samsung。ダンボール箱もSamsung。どの家に行ってもSamsungのSMART TV。あり得ない。オーストラリア観光局(?)もスポンサーで、突然のオーストラリア旅行シーンにも笑えた。
#14「Highway」 Imtiaz Ali/2014/インド/Mar. 1/PVR Koramangala○
Randeep HoodaとAlia Bhatt主演のロードムーヴィー。といっても、富豪の娘Alia Bhattが強盗犯Randeep Hoodaに誘拐され、デリーからラジャスタンの砂漠を経由して、カシミールの高地にいたる逃避行である。幼少期のトラウマを持つふたりは予定通り途中から心を通わせ、Alia Bhattは自宅に帰る気がなくなるのだが、最後には悲劇が待つのもお約束。Alia Bhattを映画で見るのは初めて。ボリウッドでは極めて珍しい、日本人ウケしそうな童顔の女優。誘拐されているくせにどんどんファッションがお洒落になっていく。割と凝った映像の使い方をした作品で、ベルリン映画祭でも上映されたらしい。ならば、英語字幕があるはずだ。付けて欲しかった。ガードレールのない険しい道をエッコラ上っていくバス、流れる風景、横切る羊の群れ。ドライバーが“ありがとー”と言い出しはしないかと、一瞬期待してしまった。ところで、カシミールでもヒンディーが通じるのだろうか? 道中、ふたりがコミュニケーションに不自由することはなかった。
#13「Gunday」 Ali Abbas Zafar/2014/インド/Feb. 27/INOX Magrath Road○
Ranveer SinghとArjun Kapoorが、バングラデシュ独立戦争時に戦乱のダッカから脱出しカルカッタでひたすら走ってのし上がる、双子のようなコンビを演じるアクションもの。ヒロインはPriyanka Chopra。彼女の登場がふたりの仲に初めて亀裂を生み、長いとはいえない波乱の人生の終焉に向けドラマが展開する。不法移民がのし上がるには多少、いや相当悪いことを重ねる必要があり、警察が目を付けるのは当然。あるとき、おしゃれな刑事Irrfan Khanが登場、ふたりに挑戦する。はっきり言って、主演の筋肉ムキムキのふたりより、こっちの方がかっこいいよ。演技もうまい。スターシステムのボリウッドにあって、貴重な俳優。タイトルバックは『Sholay』っぽく、エンディングは『明日に向かって撃て』っぽい。Priyanka Chopraは真っ向勝負ではDeepika Padukoneには勝てない。コケティッシュさを前面に出すとか、この業界で生き残るには戦略が必要だ。コンビがしていたヤッターマンみたいな格好は最後まで謎。
#12「Hasee Toh Phasee」Vinil Mathew/2014/インド/Feb. 27/INOX Magrath Road○
Shuddh Desi Romance』のParineeti Chopra主演のラブコメ。これも結婚ドタキャンものである。伝統的に見合い結婚が多く離婚も少ないインドでは、現実にはなかなかできないこういうシチュエーションに一種の憧れがあるのかもしれない。実際、本作も結構ヒットしている様子。Parineeti Chopraはたいして美人ではないが、“7年前”のショートカット姿はなかなかキュートに見えた。一方で、ドラッグを使ってラリっているときの表情が醜かったのは残念。その7年前に失踪してからは中国に行っていた想定らしく、中国人とSkypeのようなもので北京語で会話したりする。彼女の北京語は、イントネーションはそれなりに聞こえたが発音に難があるように聞こえた。今回は予習まったくせずに出かけた。複雑なシナリオである上に、重要な事項が言葉で説明されており、背景や人間関係がよくわからず閉口した。あとでWikipediaを読んで補完。何度かItem Numberはあるものの、海外ロケなし。そういうのも新鮮だね。
#11「Ohm Shaanthi Ohshaana」Jude Antony Joseph/2014/インド/Feb. 10/PVR Koramangala○
『Bangalore Days』という楽しみな題名の映画も公開予定のNazriya Nazim主演のMollywood作品。彼女が誕生してからお転婆な少女時代を経て初恋の男性とラブ・マリッジに至るまでの半大河ドラマ(?)。基本的に彼女のモノローグで進行する。Nazriyaちゃんが演じるのは中学生あたりからで、『Raanjhanaa』のSonam Kapoorに比べれば、ずっと女子学生っぽい。出ずっぱり。なんたって主役だからね。演出により、徐々に大人っぽくなっていくさまを堪能できる。オートバイにトロトロ乗ったり、自動車を運転したりもするよ。従兄弟を除くと、いい(という設定の)男に囲まれながら、初恋の男性を想い続けるストーリーは、別に深刻ではなく、ハッピーエンドのコメディーとして普通に楽しめる。ほんのちょっぴり、女の子だけで踊る謎のダンスシーンあり。相手役のNivin Paulyは少林寺拳法の使い手という設定だったが、一度もその技を見せなかった。今回は話によくついていけたなあ、と思ったら、なんと英語字幕が付いていたのであった。
#10「Jai Ho」Sohail Khan/2014/インド/Jan. 26/PVR Koramangala
Republic Dayなので、上映前に観客全員起立して国歌拝聴。この国で絶大な人気を誇る俳優Salman Khan主演作品。勝手に社会派映画だと思って出かけたら、偽善的アクションヒーローものだった。PTSDを患っているらしいSalman Khanが社会悪に対して容赦ない制裁を加えていく。“たばこはダメ”警告を出すのもいいけど、“殺人はダメ”警告も出した方がいいんじゃないか? Salman Khanって、そのマッチョな体型におちょぼ口がアンバランスだ。映画は、登場人物がたくさんいて人間関係がよく理解できなかった。Salman Khanの相手役はDaisy Shah。うーん、いまいちだ。女優陣は全滅だな。男優陣も冴えなかったが、『Bombay Talkies』のKatrina Kaif少年(名前いまだ不明)がSalman Khanの甥役で出てきて大活躍。彼はなかなかいいね。それだけが収穫の映画だった。インターミッション中に流れたマッサージチェアのCFで鄭秀文、小Sが出てきてぶったまげた。インド人、誰も知らないだろう。
#9「Salala Mobiles」Sharath A. Haridaasan/2014/インド/Jan. 25/Innovative Multiplex: Marathahalli○
ボリウッド女優では断然、超美人Sonam Kapoor推し。一方、南方系で注目しているのが『Naiyaandi』で発見したNazriya Nazim。ほんとは厚い唇が好みではないのだが、南方系かわい子ちゃんとしてイチオシだ。先日婚約を発表した。相手役は『Neelakasham Pachakadal Chuvanna Bhoomi』のDulquer Salmaan。同作とはかなり雰囲気の異なるコメディタッチ。携帯電話の通信を傍受するソフトを入手したケータイ屋の店主Dulquer Salmaanが、プリペイドケータイの通話料をデポジットしに来たNazriyaちゃんの通話を盗聴し悶々としたり、ひとの不幸を聴いて義賊的なことまでやらかす。この極悪ソフトをつくった男として登場するのはタミル映画のコメディアンSanthanam。最近よく見かけるな。さすがにマラヤラム語はあまり喋れないので、タミル人として登場する。この映画、Dulquer Salmaanの夢想としてItem Number的なものが数度流れる。Nazriyaちゃんが歌ったり踊ったりするよ。結局ふたりは結ばれず、ラブコメというより犯罪映画になっちゃった。
#8「Ninnindale」 Jayanth C. Paranjee/2014/インド/Jan. 19/PVR Koramangala
バンガロールで映画開映前のCFといえば、SudeepのJoyalukkasかPuneeth RajkumarのNandini。ついに後者の出演作を観ることになった。Sandalwood作品らしからぬビッグバジェット作品らしいが、はっきり言って期待はずれだった。ニューヨークを舞台とするラブストーリー。まともなしごとをしているように見えないのにマセラティなど乗っているPuneethは大金持ちの息子らしい。中流階級の娘Erica Fernandesが彼と知り合いふたりは接近するのだが、それぞれの思惑は異なり一旦破局するものの、最後はハッピーエンド。一方が事故にあったり重病になったりしないだけましだが、下らない。そもそもお坊ちゃまのPuneethが何を考えているのかまったくわからない。おそらくカンナダ語がわかっても知り得ない。ダンスやアクション、演技もいまひとつ冴えなかった。Power Starなのに、そんなのでいいのか? Erica Fernandesは2012年のMiss Indiaに最終ノミネートされた人らしい。インドの司葉子と命名する。
#7「Miss Lovely」 Ashim Ahluwalia/2012/インド/Jan. 18/Cinepolis: Banerghatta Road○
カンヌ映画祭“ある視点”で上映されたというヒンディー語作品。16mmの手持ちキャメラを多用したアート系(というか非商業系)フィルムだ。インドでは珍しい、と思う。物語の背景はムンバイのC級(エロ・グロ)映画界、でそのプロダクションを手がける兄弟の弟が主人公。『The Lunch Box』のNawazuddin Siddiquiが好演している。このひと、根上淳に似てるね。明度を落とした陰鬱なムンバイ、弟のモノローグが、揺れる画面と相まって王家衛を想起させるが、兄、恋人の裏切りから絶望する弟の末路は、東映やくざ路線に近いかもしれない。Wikipediaによれば松竹ヌーヴェルバーグの影響を受けていると監督本人は言っているようだ。エログロ映画の部分だけ見ると石井輝男だし、なかなか興味深い。刑務所内シーンがあるのもいつものボリウッド裏社会映画と違っていたが、拷問とか、ほんとかね。もちろんA Rated映画なのだが、キスシーンとかになると笑い出す観客がいて、この辺りはインドの純朴性が感じられた。
#6「Yevadu」Vamsi Paidipally/2014/インド/Jan. 15/PVR Koramangala○
ポンガル映画第3弾のトリウッド作品。またリベンジものかよ、と思ってみていたら、インターミッションまでに復讐は終わってしまった。これからどうなるの?と思ったら第2部のはじまり。第2部には第2.5部が挿入されていて、ストレートではあるがなかなか面白い筋書きだった。第2部は『日本侠客伝』みたいな感じ。主演はRam Charan。つまり、第2部では健さんだ。あ、でも我慢しないけどね。とにかく、二役でも『Dhoom 3』よりは捻りがあった。でも、コーマから復帰して包帯を取ったら、髭はスッキリ、髪の毛バッチリ。そりゃあり得ないよ。Ram Charanの相手役は爬虫類系美人のShruti Haasan。前半の前半、第0.5部にはまたKajal Aggarwalが出ていた。舞台はハイデラバッドとVishakhapatnamという海辺の町。ハイデラバッドではハイテクパークが背景に見えた。Item Numberでは定番のスイスロケ。なぜそんなにスイスがいいの、ヒマラヤじゃだめなんですか? 名前は不明だけど、前にも何かで見たインドの遠藤辰雄が出てた。
#5「1 Nenokkadine」Sukumar/2014/インド/Jan. 12/INOX Lido○
ポンガル映画第2弾。きょうはトリウッド。Mahesh Babu主演のサイコスリラー・アクション、とでも書いておこう。オープニングで“Super Star”と紹介されるのにはもう慣れた。舞台はハイデラバッド、ゴア、ロンドン。幼い頃に両親を殺されたことがトラウマで両親の顔も忘れ白昼夢を見るようになったロックスター、というMaheshが歌うのは“サヨナラー、サヨナラー♪” ゴアのビーチシーンで、女性のビキニ姿にモザイクが…。何が写っていたのだろう? ゴアはビーチのほか、オールドゴアも出てきた。Ruins of St. AugustineとかMonte Hill Churchとか。Maheshが襲われるシーンで、凶器がなんと野球の金属バットだった。これは珍しい。ロンドンでは、観光名所てんこ盛り。おまけにインドキャバレーみたいなところでボリウッドダンス見なくてもいいと思うが、これも必然の展開か。全体のストーリーは一見無関係に見えた事柄が結びつくなかなか面白いものだったが、いかんせんテルグ語。細かいところについては皆目わからず撃沈されてしまった。
#4「Jilla」R. T. Neason/2014/インド/Jan. 11/PVR Koramangala○
ドライバーのMさんによるとポンガル公開のタミル語2作品とテルグ語2作品は必見らしい。その一本。MohanlalとVijai主演のアクション。共にスターらしく、初登場時には会場から拍手喝采。Vijaiの相手役にKajal Aggarwal。どこかで見たことのある女優だと思ったら、『Special 26』でAkshay Kumarの相手役だったひとだった。相手役とはいえ、インドのアクション映画では女優は添え物。なんだか可哀想な役柄だった。幼い頃実父が警察官に殺されたため、警官とカーキ色が病的に嫌いな青年Vijai。警官を見ると制服を引っぺがしにかかるとか、“カーキー”という歌が流れるのがおかしい。養父Mohanlalの指示でなんと警官になるのだが、最初から★みっつなのが謎だ。まあ、アクション映画としては普通だけど、コリウッド映画特有の濃さを満喫した。Item Numberで日本ロケあり。見たところ太秦や京都のようだ。しかし、唐突だなあ。インド人、きっと誰もわかりませーん。こっちは、タミル語会話、全然わかりませーん。
#3「Sholay」Ramesh Sippy/1975/インド/Jan. 5/INOX: Malleshwaram○
3Dでリバイバルの旧作。インド映画の傑作のひとつと言われているらしい。結論から言えば、2Dでよかったな。元々2Dで撮影されているものを3D化するのはやはり少々無理がある。ロケがなんとバンガロールの近くのRamanagaraという町で行われている。岩山はこの辺りで普通に見られるが、あそこのはかなり大きいらしい。『インドへの道』もそこらしいので今度行ってみよう。DharmendraとAmitabh Bachchanの『明日に向かって撃て』的コンビがかつて命を助けた元警官の町を盗賊から守るプロットは西部劇そのもの。製作年からして描写にやや残酷な面もあるが、それなりに面白かった。Dharmendraが恋する馬車屋の娘が轟夕起子そっくりで笑ったよ。若い頃のBig Bを観るのははじめてだったけど、喋り方とか仕草とかいまと変わらん。きょうの劇場はふかふかのレザーソファ仕立てで電動リクライニングまで付いていた豪華仕様だった。周囲をじいさんばあさんグループに囲まれて、ややうるさかったのは残念。
#2「Mr Joe B. Carvalho」Samir Tewari/2014/インド/Jan. 4/PVR Koramangala
最初興味がなかったのだけど、先日予告篇がかかったときバンガロールパレスが出てきて、Wikipediaをチェックしたらバンガロールロケと確認できたので、観に行った。しょうもない探偵ものドタバタコメディー。しょうもないギャグが次々と繰り出される。ときどき笑ってしまうのが我ながら情けない。Joeを演じていたのはArshad Warsiという俳優。ポスターではSudeepみたいに見えたのに、結構太ってた。相手役はSaif Ali Khanの妹Soha。35歳なのに、ビキニ姿を披露したりして、あんた釈ちゃんか。体はインド人らしからぬ痩せ型だが、残念ながら顔は下り坂と言わざるを得ないところが釈ちゃんとは違うところだ。他の登場人物で目立ったのはJaaved Jaaferi演じる、江口寿史のマンガに出てきそうな変態殺し屋かな。わかったのは1MG Mallとバンガロールパレスくらいだったけど、KAナンバーのクルマが結構使われていたので、全篇の半分はバンガロールロケじゃなかろうか。BMTCのバスも出てきたよ。
#1「Tom Yum Goong 2」Prachya Pinkaew/2013/タイ/Jan. 2/Gopalan Grand Mall○
新年第1作はタイのマーシャルアーツ映画。トムヤムクンとはふざけた題名だ。喰わせろ、ガパオも。それはともかく、本作はTony Jaaのためだけの映画のようだ。どうも格闘技系はナルシストが多いね。色恋がないのは李小龍とは違うところ。このTony Jaa、誰かに似てる。残念ながら、これという人を思い出せない。元々タイ語作品なわけだが、これは英語吹き替え版。みんな英語を喋るのだ。まあヒンディーを喋られるより理解はしやすいが、なんだかね。途中、英語通訳が出てきて、英語を英語に訳していて呆れた。中身は荒唐無稽なストーリーを背景にしてひたすらTony Jaaが戦う。普通、ヒーローでも一度はやられて負傷してピンチが来るものだが、これといった大きなピンチもない。台詞中の“f**k”は消され、お色気部分もカットされていた。観たのは効果がほとんど感じられない3Dバージョン。3Dグラスのデポジットに100ルピーも取られて、返ってくるのかとっても不安だった。

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Last update: 12/28/2014

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