[↓2024年]

2025年に観た映画の一覧です

星の見方(以前観たものには付いてません)
★★…生きててよかった。
★…なかなかやるじゃん。
○…観て損はないね。
無印…観なくてもよかったな。
▽…お金を返してください。
凡例
#通し番号「邦題」監督/製作年/製作国/鑑賞日/会場[星]

#6「映画を愛する君へ」アルノー・デプレシャン/2024/仏/Feb. 1/ヒューマントラストシネマ渋谷◯
デプレシャン監督のこころに残る作品を引用しながら、ストーリー仕立てで自分の辿ってきた映画人生を追想する、普段の同監督作品からは性質が異なるものの、雰囲気はいつものデプレシャン映画。マチュー・アマルリックも出てくるしね。ときどき本人も登場する。映画人が、“映画大好き、映画が人生だ”と訴えるの、静かに流行っている気がするな。演劇、映画、テレビそれぞれにおける、メディアと観客の立場の違いはわかりやすい。演劇は観客の役割が重いしテレビは落ち着かない。やはり映画が一番だ。現実をスクリーンに投影したとき何が起きるか。観客ひとりひとりの2時間に、凝縮された別世界の経験がはめ込まれるのである。あいにく、まもなく忘れてしまうのだけどね。シネ・ヌーヴォが写ったり、日本の童謡合唱が聞こえたり(小津?)、『侠女』が引用されたり、盛りだくさんで、お腹いっぱいになった。監督は一体何本の映画を観てるんだろう。
#5「Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり」王禮霖/2023/マレーシア/Feb. 1/ヒューマントラストシネマ有楽町★
李心潔がSNSで宣伝してた、彼女のプロデュースものがついに日本に来た。KLのPuduに住む吳慷仁と陳澤耀の身分証を持たない兄弟が社会で這いあがろうともがく悲劇で、手話も含め、マレー語、北京語、広東語、英語(タミル語はなかった気がする)が飛び交う多言語作品だが、沈黙が最も強い印象を残す。驚きの展開、何かしらほっとさせるエンディング。ヤスミンがいないマレーシア映画界も期待できるぞ。いわゆるBL映画ではないが、『ブエノスアイレス』への笑っちゃうくらいのオマージュがある。滝の走馬灯の向こうでふたりが踊るシーン(流れるのは鄧麗君ではない歌手の唄う『千言萬語』)と、陳澤耀が吳慷仁の肩で眠るバスのシーン。片山凉太の音楽はよかったな。ふたりを助けようとするNGO職員の林宣妤と、吳慷仁と心を通わせるミャンマー娘の周雪婷、どちらも可愛かった。吳慷仁はパパノエルのシェフ、陳澤耀は坂口京子に見えてしかたなかった。
#4「満ち足りた家族」ホ・ジノ/2024/韓国/Jan. 25/kino cinema横浜みなとみらい◯
久しぶりのホ・ジノ。何してたのかな? 期待して観に行った。行き着いた先はこれか。題材は興味深い、人間の本質を突くもの。デキは最近の韓国映画そのもので、単純に面白かった。監督の名前を見なければよかったかも。高価なマセラティを事故らせるなんて、らしくない。ソル・ギョング、チャン・ドンゴン兄弟の立場の逆転は予想できるものだし、彼らの、事件を起こすZ世代の息子、娘の不気味さ、冷血さも目新しいものではない。是枝版が観たいな。兄弟のくるまの格差には笑った。勤務医だってそれなりに高収入だろうに、弁護士との差があんなにあるとは。邦題に異議あり。『満ち足りた』なんて、冒頭から明らかに違うじゃん。原題や英題の『普通の』からこれを導くセンスがわからない。いろいろ文句になってしまったが、繰り返す。映画としては面白かった。キム・ヒエとクローディア・キムという女優もそれぞれ美しく&熱演だったしね。
#3「チェンナイの夜」Lokesh Kanagaraj/2017/インド/Jan. 19/キネカ大森◯
インディアンムービーウィークの1本。待望の字幕、しかも日本語字幕付での『Maanagaram』鑑賞である。結果としては大満足で、前回は言葉がわからない故の誤解がいくつもあったことも明らかになった。SriがTrichyからChennaiにやってきた理由もRegina Cassandraが彼を入社させようとする理由も、Sundeep Kishanを入れた三角関係にならない理由もわかった。やはりシナリオがいい。Rowdy志望のRamdossがさらう対象を間違えるある意味紋切りの間抜けな誘拐事件を軸に、Sundeep Kishanと、Sriと、同じくChennaiに出てきてキャブドライバーになったばかりのCharleと、息子を誘拐された大ボスMadhusudhanがさまざまなすれ違いに振り回されていく。どのスレッドも結末を見せないのがニクい。一番かっこいいのはMadhusudhanだな。愛車はTATA傘下のJaguarだった。誘拐された息子は、なぜEgg biryaniよりCurd riceがよかったのだろうか。Egg biryaniおくれ。
#2「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」鄭保瑞/2024/香港/Jan. 18/新宿バルト9◯
往年の香港巧夫電影と黒社会ものを合体させた、なんとも懐かしい香りのする作品。舞台は油麻地の果物市場と九龍城砦。(香港初訪問が1995年でまだ啟德機場ではあったものの九龍城砦に踏み込む機会はなかったのだが、敢えて、)セットのリアリティがすばらしい。ネオン華やかな彌敦道の光景にも感激した。ここで、古天樂、任賢齊、洪金寶、郭富城といった懐かしいメンツが壮絶なアクションを繰り広げる。動作指導は流石の谷垣健治。物語の中心は林峯、劉俊謙、胡子彤、張文傑の次世代4人組が、洪金寶の手下で九龍城砦を牛耳った極悪の気功使いを倒す。最後まで楽しめた。劇場もバラエティ豊かに満席で、みんなこういう映画を待っていたと思われた。香港で大ヒットしたのも、再現された80年代の街の姿も併せ、頷ける。洪金寶はまだまだ現役だね。古天樂がマツケンにしか見えなかったのが個人的には笑えた。え、続篇『九龍城寨之龍頭』があるの?
#1「5 No. Swapnomoy Lane」Manasi Sinha/2024/インド/Jan. 3/Basushree Cinema (コルカタ)◯
せっかくコルカタに来たのでベンガル語作品、というわけではなく、Basushree Cinemaに入ってみたいという理由での選択なので、映画には期待していなかった。が、意外にも英語字幕付だったのでちゃんと観た。残念ながらやはり映画としては面白みにかけるものの、古きよきコルカタを残したいという意図は伝わってきた。Calcuttaと呼ばれた首都時代の建築物はどれも壮大で渋い。それらがどんどん建て替えられている状況は経済発展の必然の過程ではあるが、経済発展がひと段落したときに後悔しないよう、いまから手を打ってもらいたいものだ。家長の死去に伴い手放した古い家をノスタルジーから買い戻そうと若い世代が奮闘するこの作品の形式はほのぼのファミリードラマであるが、主役はそのファミリーに加えその住居そのもので、コルカタ住民には訴えるものがあると思えた。客席はまばらだったけどね。Basushree Cinemaは期待以上の素晴らしさだった。日本にもBookMyShowが欲しい。

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Updated: 2/1/2025

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